お料理説明・背景
ボローニャは、イタリアの住みやすい街ランキングの常連の街であり、ヨーロッパ最古の大学「ボローニャ大学」がある。それゆえ、多くの人がボローニャ以外から移り住んできている。 そんな中、リアは家族代々のボロニェーゼ。小さい頃から、お婆さまやお母さまが作るボローニャ料理を食べて育ってきた。
現在は、モデナ・ゾッカ近郊育ちのご主人と、5歳になったばかりの娘さんとボローニャで3人暮らしをしている。そんなリアに「マンマのレシピ」のために作ってもらう一品を尋ねたところ、真っ先に上がってきたのが今回ご紹介する「フリッジョーネ」だ。
「簡単で最高においしいボローニャ料理といえば、これよ!」と、キッパリと宣言するリア。「フリッジョーネ」は、タマネギとトマトがベースのシンプルな料理。しかし、なんと、ラグー(ボローニャ風ミートソース)や、緑のラザーニャなどと共に、ボローニャ商工会議所にレシピが登録されている、れっきとしたボローニャを代表する郷土料理なのだ。
商工会議所が作成した『ボローニャの「メルカンツィア(*)」伝統料理にまつわる話:トルテッリーニ、タリアテッレなど…に』記載されているオリジナルレシピは、「ボローニャ1886年」という日付が記されたマリア・マンフレディ・ヴァスキエーリ夫人の手書きのもの。
“材料: 白タマネギ4kg、トマト(湯むきしたもの) 300g、砂糖 ティースプーン1杯、粗塩 ティースプーン1杯、ラード テーブルスプーン2杯”
・タマネギを非常に薄くスライスし、塩と砂糖を振って、しんなりするまで2時間以上置いておく。
・必ずアルミ製の鍋を使用する。鍋にタマネギ、タマネギから出た水分、ラードを入れ、鍋底に焦げ付かないように木じゃくしでかき混ぜながら薄茶色になるまで約2時間とろ火で煮る。
・タマネギの鍋に小さい角切りトマトを加え、さらに約一時間半混ぜながら煮る。
・ラードに桃色がかった気泡が出てくる頃、トマトとタマネギは完全にとろけて、出来上がり。
どこの郷土料理でもそうであるように、「フリッジョーネ」も家庭によって作り方は様々。商工会議所のレシピにも「今日一般的に作られているフリッジョーネのレシピの分量とは、かなり異なる」と記載されている。
今回は、朝6時から仕事をして14時に戻ってきたリアマンマが、パパッと作ったスピードバージョンをご紹介。パンにのせて食べたり、ボローニャ料理の付け合わせとして、今でもボロニェーゼに愛されている一品。とっても簡単なので、日本の皆さんもぜひお試しあれ!
リアマンマから、最後にお願い。「パンにつけて食べる時は、フランスパンは選ばないで! ぜひ、トスカーナのパンや、チャバッタ(スリッパのような形をしたパン)など、シンプルなイタリアのパンを選んでみて!」
(*)メルカンツィア:現在、ボローニャ商工会議所は「Palazzo della Mercanzia(メルカンツィア宮殿)」を拠点としている。「メルカンツィア」とは「商業」という意味で、14世紀末以降、この宮殿は商業活動を統括してきた場所である。商取引裁判所の判決がある際には、この建物の「Lucardina(ルカルディーナ)」と呼ばれる鐘が鳴り響き、判決が読み上げられていた。
エミリア=ロマーニャ州、ボローニャ在住。オリーブオイル国家鑑定士&イタリア政府認定旅行添乗員。日米の大学を卒業後、大手外資系企業にて経営コンサルタントとして勤務。その後、2006年に渡伊。現在は、異文化間プロジェクトディレクターとして、イタリアやアルバニアを中心に活動。ビジネス通訳や観光支援のみならず、大使館・省庁・地方自治体主催の食文化交流イベントコーディネートや、各種視察コーディネート(大学研究視察、レッジョ・エミリア・アプローチといった幼児教育視察など)、世界と日本をつなぐお手伝いをしている。男の子2人のマンマ。自分を3語で表すなら「食いしん坊」「楽天家」「晴れ女」
作り方
- タマネギを半分に切った後、1cm程度のざく切りにする。(写真a 参照)
- タマネギを、辛味をとるためボールに入れ、水で洗い、水気をしっかりと切る。(写真b,c 参照)
- 鍋にオイルを入れ、タマネギを加えたら弱火~中火で炒める。(写真d,e 参照)
- 塩ふたつまみ入れ、引き続き中火で炒める。(写真f 参照)
- トマトを1.5cm~2cm程度のざく切りにしたら、(4)に入れ、混ぜる。(写真g 参照)
- 白ワインを100ml程度加え、全体に行き渡るようにかき混ぜた後、弱火で煮込むと野菜から水分が出てくる。(写真h 参照)
- 火を中火に戻し、再び塩をひとつまみ加え、さらにコショウをを振りかけ、時々こげないように混ぜる。(写真i 参照)
- 野菜がお好みの硬さになるまで火が通ったら器に盛り付け、仕上げにエクストラ・ヴァージン・オリーヴオイルをかけて完成。(写真j 参照)