”黒い羊”が描くもう一つのミラノ
イタリア語で「ペコラ・ネーラ(黒い羊)」とは、“集団の中の他の人と違っている人”のこと。文字通り、白い羊が大半を占める群れの中に黒い羊が混じっているということですね。黒という色が不吉を意味するところから“厄介者”とか“要注意人物”といった悪い意味があると思われがちですが、実際のところは必ずしもネガティブな意味だけではありません。
ご縁あって、この「イタリア好き通信」に寄稿させていただくことになりましたが、私は多分、他の著者の方々の中の「ペコラ・ネーラ」です。ほとんどの方々が美味しい食べ物やワイン、そして郷土の伝統や地域色溢れる話を書かれる中で、私が書く話はファッションとデザイン。そしてたまにイベントやサブカルの話、または時事ネタで毒を吐くかもしれません。なぜなら、ミラノにそんな心温まるのんびりした日常などないからです。いわゆる外国人がイメージするイタリアはミラノにはありません。でも、沢山の可能性があって、常に前進している・・・それがミラノのいいところだと思っています。
以前に「イタリア好き」本誌の記事にも書いたかもしれませんが、ミラノは3Fの街と言われます。3つのFとはFASHIONファッション、FURNITUREファニチャー=インテリア/デザイン、FOODフード。食と並び、ファッションやデザインもイタリア随一のビジネルの街であるミラノを支える大事な要素であり、ミラノの顔でもあるのです。
そんなミラノの別の顔を、箸休め程度にお楽しみいただければと思います。