ヴェノスタ渓谷(前編) サイクリストの聖地、ステルヴィオ峠を越えてスイスへ
7月中旬の猛暑から一転、このところ拍子抜けするほど気温が下がって過ごしやすくなっているイタリア。とはいえ、やっぱり日中の太陽はジリジリと痛いですね。そこで先日、涼を求めてスイス国境、ヴェノスタ渓谷まで行ってきました。大自然だけじゃない、この地域の魅力を2回に渡ってお届けしたいと思います。
ヴェノスタ渓谷〈Val Venosta(伊)/Vinschgau(独)〉というアルプスの谷はアルト・アディジェ地方の北西に位置し、スイスやオーストリアへとつながる峠へと続くことでも知られています。たとえば、オーストリアとの国境にある、ダム湖に沈んだ町レージアの鐘楼は見たことがある人も多いでしょう。1950年にダムを建設し、当時の住民150世帯が高台の方へ移住を強いられたという悲しきストーリーの舞台です。
しかしながら、象徴的に鐘楼だけが残されたことから、その景観が皮肉にも観光客を惹きつける、寂しさと美しさが入り混じったような場所となっています。
一方、スイスとの国境で訪れる人を魅了するのがステルヴィオ峠。
標高2758メートルはイタリアで1番高い舗装された峠であり、ヨーロッパでも2番目の高さを誇ります。ここは観光目的というより、この峠を自転車やバイクで越えることを夢見る人が多く、彼らにとっては聖地のような存在。イタリアの自転車レース、ジーロ・デ・イタリアで1953年にステルヴィオ峠が初めて登場した際には、伝説の自転車選手ファウスト・コッピが先頭通過したという歴史も刻まれており、サイクリストたちの憧れの地となっているのです。
ステルヴィオというと、ロンバルディア州とトレンティーノ-アルト・アディジェ州にまたがる13万ヘクタールの広大な国立公園の名としてご存知かもしれませんね。まさしく、その公園内の北側にこの峠はあり、公園内最高峰オルトレス山も間近に望めます。
車道の頂点を境にロンバルディア州へと入るのですが、アルト・アディジェ側から登るとカーブは48か所、出発地点となる町プラート・アッロ・ステルヴィオからの高低差はおよそ1840メートルとあって、サイクリストたちの体力と忍耐力は計り知れません。ただし、最近では電動自転車という手もありますので、それならいつか挑戦できるかも、という感じもしています。
今回は時間もなかったため(←言い訳)、車で楽々ドライブを。峠だけあって、山々に囲まれているので圧巻の景色をずっと楽しめるのが一つ。
さらに、峠に着いてから-
見下ろすこのクネクネ道がなんとも見事ではありませんか。サイクリストであれば、登り切ったときの感慨もひとしおでしょう。
途中でスイス、ウンブライル峠へと右折。国境らしい警備やチェックは何一つなく、スイスに入って麓の村まで下りていきます。
余談ですが、このとき、携帯は必ずフライトモードに!イタリアの携帯SIMはヨーロッパ諸国でも無料で互換性がある国々が多いのですが、お隣スイスは別。メッセージ着信だけで数ユーロ取られたこともありますからね。要注意です。
スイスを通り抜け、地上の町(と言っても標高1240メートル)トゥーブレから再びイタリアへと戻ります。このときも、国境はスルー。通常、イタリアからスイスに帰るスイスナンバーの車のほうが税関で検査されやすいんです。物価が違いすぎますからね。
さて、このヴェノスタ渓谷一帯はアルプスの可愛い村々を回るのも楽しいのですが、実はロマネスク建築の宝庫と言っても過言ではありません。特に目を引くのが素朴な外観の教会たち。中世の頃、数々の教会がこの辺りに建てられたのには理由があるのです。後編ではその見どころに迫ります。
ヴェノスタ渓谷〈Val Venosta(伊)/Vinschgau(独)〉というアルプスの谷はアルト・アディジェ地方の北西に位置し、スイスやオーストリアへとつながる峠へと続くことでも知られています。たとえば、オーストリアとの国境にある、ダム湖に沈んだ町レージアの鐘楼は見たことがある人も多いでしょう。1950年にダムを建設し、当時の住民150世帯が高台の方へ移住を強いられたという悲しきストーリーの舞台です。
しかしながら、象徴的に鐘楼だけが残されたことから、その景観が皮肉にも観光客を惹きつける、寂しさと美しさが入り混じったような場所となっています。
一方、スイスとの国境で訪れる人を魅了するのがステルヴィオ峠。
標高2758メートルはイタリアで1番高い舗装された峠であり、ヨーロッパでも2番目の高さを誇ります。ここは観光目的というより、この峠を自転車やバイクで越えることを夢見る人が多く、彼らにとっては聖地のような存在。イタリアの自転車レース、ジーロ・デ・イタリアで1953年にステルヴィオ峠が初めて登場した際には、伝説の自転車選手ファウスト・コッピが先頭通過したという歴史も刻まれており、サイクリストたちの憧れの地となっているのです。
ステルヴィオというと、ロンバルディア州とトレンティーノ-アルト・アディジェ州にまたがる13万ヘクタールの広大な国立公園の名としてご存知かもしれませんね。まさしく、その公園内の北側にこの峠はあり、公園内最高峰オルトレス山も間近に望めます。
車道の頂点を境にロンバルディア州へと入るのですが、アルト・アディジェ側から登るとカーブは48か所、出発地点となる町プラート・アッロ・ステルヴィオからの高低差はおよそ1840メートルとあって、サイクリストたちの体力と忍耐力は計り知れません。ただし、最近では電動自転車という手もありますので、それならいつか挑戦できるかも、という感じもしています。
今回は時間もなかったため(←言い訳)、車で楽々ドライブを。峠だけあって、山々に囲まれているので圧巻の景色をずっと楽しめるのが一つ。
さらに、峠に着いてから-
見下ろすこのクネクネ道がなんとも見事ではありませんか。サイクリストであれば、登り切ったときの感慨もひとしおでしょう。
帰りはあえてロンバルディア州の方から下ります。
途中でスイス、ウンブライル峠へと右折。国境らしい警備やチェックは何一つなく、スイスに入って麓の村まで下りていきます。
余談ですが、このとき、携帯は必ずフライトモードに!イタリアの携帯SIMはヨーロッパ諸国でも無料で互換性がある国々が多いのですが、お隣スイスは別。メッセージ着信だけで数ユーロ取られたこともありますからね。要注意です。
スイスを通り抜け、地上の町(と言っても標高1240メートル)トゥーブレから再びイタリアへと戻ります。このときも、国境はスルー。通常、イタリアからスイスに帰るスイスナンバーの車のほうが税関で検査されやすいんです。物価が違いすぎますからね。
さて、このヴェノスタ渓谷一帯はアルプスの可愛い村々を回るのも楽しいのですが、実はロマネスク建築の宝庫と言っても過言ではありません。特に目を引くのが素朴な外観の教会たち。中世の頃、数々の教会がこの辺りに建てられたのには理由があるのです。後編ではその見どころに迫ります。