お料理説明・背景
2011年の6月に、エミリア・ロマーニャ州のロマーニャ地方を中心に取材をしていました。
パオラさん家族もそのロマーニャ地方のカーゾラ・バルセーニオという小高い丘に囲まれた自然豊かなところでアグリトゥリズムを営んでいました。風が心地よいさわやかな午後でした。
アグリで料理を担当しているのが、兄のグラツッアーノさんの奥さんパオラさんと、次男のダニエレさんの奥さんミルナさん。この日紹介してくれた料理はホウレンソウを練り込んだ生地で作ったラザーニャと、仔牛の香草ミルク煮でした。
この地方ではラザーニャの生地には必ずホウレンソウを入れるのだとか。ゆでて、刻んで練り込んで寝かす。これだけでもちょっと……。それにラグーにベシャメルも作る。「それぞれ作り方はシンプルだけど行程が多くて大変なんだけど、これを作るとゲストも家族も皆が喜んで食べてくれるから、その顔を見れば作った甲斐があるし、私もうれしい」と言っていたパオラさん。人気のメニューの秘密は、皆さんの笑顔だったのだ。
慣れた手つきでパスタを打って、ラグーを作って重ねて焼いて、さすがだった。もちろん味も生地とラグー、ベシャメルのバランスがよくおいしい。
もう一品は、酸っぱいレモンのような香りの葉ロゼッテ(日本では酸葉に近い)を使って、焼いた仔牛肉をハーブとロゼッテを使って牛乳で煮込む料理。葉野菜の酸味と牛乳の独特な味わいも、この土地ならではのものだとか。 春の収穫祭の帽子をお茶目に被ってくれたお父さんに、カーゾラ・バルセーニオ人の気質について聞いたら、ホスピタリティの精神が強く、客がきたらまず1杯のワインを出して歓迎するのがカーゾラの気質。リミニ(海沿いの大きな街)に行ったらすぐ金を取られるだろって。リミニの話は冗談としても、この地に誇りがあって、コミュニケーションがとっても好きなんだと。
そんな家族に囲まれて、和やかな食事の時間を過ごしました。
文:イタリア好き編集長 マッシモ 写真:萬田康文
材料
ラザーニャ・アル・フォルノ(6人分)
・グラナ・バダーノ | 約300g | すりおろし |
---|---|---|
【ラグー】 | ||
・タマネギ | 2個 | |
・セロリ | 1本 | |
・ニンジン | 1本 | |
・牛豚の合い挽き肉 | 400g | |
・トマトソース | 600cc | |
・オリーヴオイル | 大さじ4~5 | |
・水 | 適量 | |
・塩 | 15g | |
・コショウ | 5g | |
【ベシャメッラ】 | ||
・牛乳 | 1L | |
・無塩バター | 100g | |
・小麦粉 | 500g | |
・塩 | 適量 | |
【パスタ生地】 | ||
・小麦粉 | 600g | |
・卵 | 5個 | |
・ホウレンソウ | 100g |
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作り方
下ごしらえ
- ラグー、ベシャメッラ、生地はそれぞれ事前に作っておく。
ラグーとベシャメッラを作る
- ラグーを作る。オリーヴオイルを引いた鍋に、みじん切りにしたタマネギ、セロリ、ニンジンを入れ、しんなりするまで炒める。
- 1に牛豚の合い挽き肉を入れ、全体に火が通ったらトマトソース、塩、コショウを入れて、途中水分が不足したら、ひたひた程度に水を加えながら調整し、2時間程度煮込む。(写真a 参照)
- ベシャメッラを作る。弱火でバターを鍋に溶かす。
- 3に小麦粉を2,3回に分けながら入れ、木べらで混ぜながら粉っぽさがなくなったら人肌程度に温めた牛乳をダマにならないように数回に分けて加え、よく混ぜる。
- 木べらの跡が残るくらいのとろみが出たら、塩を加えて味を整える。(写真b 参照)
ラザーニャ生地を作りラザーニャ・アル・フォルノを仕上げる
- ホウレンソウを軟らかめにゆでて、細かく刻んでおく。(写真c 参照)
- 小麦粉で土手を作り、中央に卵と1を入れ、フォークで混ぜながらまとめながらこねる。(写真d,e 参照)
- 耳たぶ程度の硬さになったらボウルを被せて2時間程度寝かせる。(写真f 参照)
- 3を適当な大きさに分け、麺棒で1mm程度の厚さになるように伸ばしたら、7cm四方の大きさに切り、重ならないようにトレイに置く。(写真g,h,i 参照)
- ラザーニャ・アル・フォルノを仕上げる。オーブンを180℃に温めておく。
- 鍋に湯を沸かし、1%の塩を加えてラザーニャ生地をゆでる。(写真j 参照)
- 1分くらいで浮いてきたら取り出し、冷水で洗い、水分を布で拭き取っておく。(写真k,l,m 参照)
- ベシャメッラの入ったボウルにラグーを入れて混ぜる。(写真n,o 参照)
- 耐熱容器の底に8のラグーソースを入れ、すりおろしたグラナ・パダーノを振りかけたら7の生地を敷く。またラグーソース、すりおろしたグラナ・パダーノ、生地の順で繰り返し重ねていき、最後はラグーソースにグラナ・パダーノをかけてオーブンに入れ、45分ほど焼いて出来上がり。(写真p,q,r,s,t 参照)