お料理説明・背景
通称「ピーナ」と呼ばれ、家族、親戚、周囲の人々から愛されるシニョーラ、ジュセッピーナさん。明るくておしゃべり好きな彼女。待ち合わせ時間に遅れたら、きっと誰かと道端で会って先に進めないんだろう、と噂されてしまうような愛嬌たっぷりの人物だ。
現在はウーディネ市内に一人暮らしをしているが、独立された息子さんと娘さんとも常に連絡を取り合い、行き来も頻繁だ。一緒に日常の食卓を囲むことはもちろん、大切な年中行事などの際には皆が集まり彼女が料理に腕を振るう。
台所に立つのが大好きな彼女は、そこで使う食材にも気を使い、自宅の庭ではオルト(畑)を自ら手掛けている。特に夏季は畑も賑やかになる季節だ。トマトやきゅうり、ズッキーニ、カボチャ、ジャガイモ、セロリ、ネギ等々、そしてハーブ類……元気で味の濃い野菜たちが毎日次から次へと食べ頃を迎える。毎日食べても食べきれないくらいの量ができることもあり、トマトなどは生で食べきれないものは水煮にして瓶詰保存し冬季に備える。カボチャは小さく切って冷凍し、冬場のミネストラやリゾット用に。
手掛ける料理は人から聞いたりして知り、気にいったレシピは自分のレシピ帳に記入し保存してある。料理関連の雑誌などで知ったものもあるが、それらも一度は試して納得がいったもののみが新規参入。年季の入った小さなノートはきれいに整理され、何度も繰り返してページがめくられたであろう形跡がわかる。何度も作っていくうちにだんだんと自分のオリジナル料理になっていくのよ、と嬉しそうにこのレシピ帳を見せてくれた。一つの宝物のように大事そうにこのノートを撫でる姿が微笑ましくて印象的だ。
今回紹介してくれたターキーのビステッカも、もちろんこのレシピ帳に入っている。簡単すぎるのでは……とピーナは謙遜してはいたが、夏場の調理場で簡単にスピーディに、おいしくてしかも栄養のある料理ということで即採用決定。実は私も何度かいただいたことがあり、私自身も気に入って頻繁に我が家の食卓でも繰り返し登場しているものだ。 今回は出来上がりの皿には、この撮影時にはまだ早めだった小さなズッキーニのゆでたものをコントルノとして添えてくれた。
ヴェネトおよびフリウリを中心に、通訳、翻訳、地元マンマの料理レッスン及び生産者訪問コーディネイト、そして野菜を中心とする農産品の輸出業などの活動を行う。 ブログ『パドヴァのとっておき』にて料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを発信中。