マンマのレシピ

マンマの紹介

  • ラウラ・アントリーニ(Laura Antolini)さん
  • ウンブリア州ペルージャ市在住
  • 【得意料理】ミートソース

お料理説明・背景

イタリアの叔母ちゃんことZia Laura(ラウラ叔母さん)のレシピ第4弾をウンブリア州からお届けします。Zia Lauraは、夫の叔母であり、私にイタリアの温かい家庭の味を感じさせてくれる一人です。

今回ご紹介しますお料理は、仔牛のスネ肉を使った煮込み料理ですが、ミラノ風です。 ウンブリア州でもスネ肉(オッソブーコ)を使ったレシピはあるのですが、ウンブリア州のこのお肉の作り方は基本ミラノと同じですが、濃縮トマトを入れないだけです。 Zia Lauraのお母さん(夫のお祖母さん)は、凝縮トマトを入れないで作りパンと一緒に食べるか、もしくはスネ肉(オッソブーコ)をトマトソースでしっかり長時間煮込んで、最後にお肉を一口サイズに切って、パスタのソースとして食べていたようです。

Zia Lauraが今回オッソブーコ・ミラノ風を提案してくれたのは、ミラノに長年住んでいる彼女の従姉妹から教わったレシピで、サフランが入ったシンプルなリゾットと食べることでミラノ風となるレシピを彼女がとっても気に入っているからです。

この年代のイタリア人女性は、右を向いても左を向いてもお料理の達人ばかり。
オッソブーコ仔牛のスネ肉(オッソブーコ)は足の部位で、弾力性があり硬いお肉なのですが、長時間煮込むことにより柔らかくなります。イタリア語で「オッソ」は骨、「ブーコ」は穴を意味し、「穴の空いた骨」と言われるのは、煮込んでいる間にこの骨の中にある骨髄が外に出て縮んで穴ができるためであります。そしてこの髄液がソースに混ざることで、お料理に深みが加わり、絶品となる所以(ゆえん)でもあります。 一見難しそうですが、煮込む時間がかかるだけで、手順は簡単ですので、是非お試しくださいね。

さて、これまでにZia Lauraのレシピを4品ご紹介しましたが、私自身、取材を終えた後の数日後に、最初の2品に一人で挑戦してみました。
正直な感想は、すべて手順通りに作っていても「Zia Lauraと同じ味にはならない」でした。私はイタリアに来て26年。結婚してからいろいろなお料理を学び20年。そこそこに上手だと家族・友人は言ってくれますが、何かが足りない! 味にもう一つ深みがないのです。

Zia Lauraにこのことを伝えると、「Yukoは、せっかちなのよ。料理は手際が良いのは大事だけど、作るには過程、材料を入れるタイミングなども大事なのよ」と。 確かに細かく切った野菜をもう少しいためた方がよいのに、早々にトマトソースを入れたり、トマトソースもじっくり煮込むと旨味が出るのに、その手前で火を消したり。 またリゾットもフライパンでタマネギをよくいためた後お米を入れ、透明になるまでじっくりかき混ぜるところを、少しお米をいためただけで、すぐにブイヨンスープを加えていました。些細な事のようで、料理の達人イタリアのマンマとの違いは、香辛料をうまく入れる以外に、火加減や次の過程に進むタイミングもあるのかもしれません。

レポート:大竹裕子(Yuko Otake)
20代前半にヨーロッパを旅行中にイタリアに一番魅了される。数度目のイタリア旅行でウンブリア州にある陶器村デルータを訪れた際、マヨルカ焼きの絵付師になりたいと感じ、1年後の95年に渡伊。ロマーノ・ラニエリ師に師事しながらフリーの絵付け師として活動。現在はアーティスト活動しながら、長年のイタリア在住の経験を生かし企業通訳を始め個人旅行の通訳や旅のコーディネーターとしても活動中。ロコタビ(YUKO):https://locotabi.jp/loco/yukospagliccia

材料

仔牛スネ肉の煮込み(オッソブーコ)ミラノ風(5人分)

・牛スネ肉5枚1枚200g、厚さ2㎝目安
・タマネギ半分
・ニンジン1本
・セロリ1本
・バター80g
・オリーヴオイル100ml
・凝縮トマト大さじ3
・ブイヨンスープ1L
・白ワイン300ml
・小麦粉大さじ4
・ニンニク1片
・レモンの皮1/2個
・イタリアンパセリ1束
・セージ10枚
・ローズマリー2枝
・塩、コショウ適量

作り方

下ごしらえ

  1. お鍋に1Lのブイヨンスープを温める。
  2. タマネギ、ニンジン、セロリを細かく切っておく。

作り方

  1. お肉の縁を5箇所ほど1cmぐらいの切り込みを入れる。(写真a 参照)
  2. お肉に小麦粉を丁寧にまぶす。(写真b 参照)
  3. フライパンにオイルを引き、お肉の表面がきつね色になるまでよく焼く。(写真c 参照)
  4. 焼きあがったお肉を一旦別のお皿に取り出し、そこに用意しておいたブイヨンスープを少し入れ、フライパンに残った小麦粉の焼けを取り除いたら、そのスープは肉の旨味なので、捨てずに別の容器に移しておく。(写真d 参照)
  5. 4のフライパンは洗わず、そこにバターを入れ、細かく切っておいた野菜を軽くいためる。(写真e参照)
  6. 5に、お肉を戻しいれたら白ワインを入れ、続いてセージ(お肉1枚にセージ1枚)とローズマリー一枝を入れ、中火で煮込む。(写真f 参照)
  7. 凝縮トマトを加える。(写真g 参照)
  8. 続けてブイヨンスープをひたひたより少なめ程度加える。この時に4で取り出しておいた肉の旨味が入ったスープも加え、蓋をして中火で1時間半ほど煮込む。塩、コショウをし、途中で一度お肉をひっくり返す。(注:スープがなくならないように、減ったらブイヨンスープを加えていき、火加減はグツグツなり過ぎないように調節する。強くグツグツしていれば火は弱火にする)。(写真h 参照)
  9. ハーブミックスを作る。ミキサーにレモンの皮とニンニク、イタリアンパセリ、セージ、ローズマリーを入れ細かくする。(写真i,j 参照)
  10. 1時間半煮込んだ8の塩とコショウの加減を調整し、9を加える。(写真k 参照)
  11. フライパンを2つ使用している場合は、この時点で1つのフライパンに全てのお肉を合わせ入れても良い。お肉の柔らかさを確認して、もう30分弱火で蓋はせずに煮込むと更に柔らかくなり、スープもトロトロに。ブイヨンスープが足りない場合は、この時点ではお湯を代わりに足すことも可能。(写真l 参照)
  12. サフラン入りのリゾットを作る際は、最後の煮込み30分の間に作るとよい。リゾットをしない場合は、お皿に盛りつけて、パンと一緒に。(サフラン入りリゾットの作り方は料理ポイント参照)
  • a.お肉の縁に切り込みを入れる
  • b.お肉に小麦粉をまぶする
  • c.お肉の両面を焼く
  • d.フライパンの焼け残りをスープで絡めとる
  • e.バターを入れ野菜をいためる
  • f.お肉を戻し入れ、白ワイン、ハーブを入れて煮込む
  • g.濃縮トマトを加える
  • h.1時間半ほどスープを加えながら煮込む
  • i.レモンの皮、ニンニク、ハーブをミキサーへ
  • j.iを細かくする
  • k.お肉にjを加える
  • l.最後に30分ほど弱火で煮込む

お料理ポイント

スネ肉(オッソブーコ)は、弾力性があるお肉なので、最低でも1時間半煮込まなければなりません。2時間ぐらい煮込むのが理想です。煮込んでいる間はお肉をかき混ぜる必要はありません。時々、ヘラで底に引っ付かないように軽く動かすだけで大丈夫です。
サフラン入りのリゾットは、フライパンで細かく切ったタマネギ1/2個分をオイルでいため、お米400gを加えたら透明になるまでいため、あらかじめ温めておいたブイヨンスープ(1L)を少量ずつ加えては、かき混ぜを繰り返し、お米が柔らかくなる少し前にサフラン1袋を入れよくかき混ぜます。そして塩を適度に入れ味を調えます。お米が柔らかくなれば出来上がり。所要時間はお米を入れてから約20分ほどです。 注:必ず用意したブイヨンスープを全部使い切るとは限りません。