3年ぶりの開催!ニシン祭で賑わう灰の水曜日
3月2日水曜日、3年ぶりにヴェローナ郊外のパローナ(Parona)という町でニシン祭が開かれました。ちょうど一昨年、この時期にイタリア各地では全ての行事が中止。去年も外出制限がかかっている状況でイベントどころではなく、ようやく今年になっての復活です。
この伝統的なニシン祭は毎年この時期、カーニバルの後の水曜日と決まっているのですが、観光客もいないような冬のド平日の朝からこのお祭りが開かれるのには重要なワケがあります。
それは、パスクアの40日前(日曜を除く)に当たる「灰の水曜日」だから。
かつて、この「四旬節」と呼ばれるパスクア前の40日間は肉断ちをする慣例があったため、ヴェローナでは「肉の代わりに魚」を食べる初日として、ニシン祭が行われるようになりました。
このパローナ、決してニシンの産地ではありませんが、ヴェローナを囲むアディジェ川の上流側という立地により、ニシンとの関係が深くなったと言われています。
というのも、かつて、北の国(ドイツや北ヨーロッパ)の商人たちはアルプスから流れてくるアディジェ川を船で下りながらヴェネツィア方面を目指していました。その際、パローナが宿場町のような役割を果たしていたのです。特にヴェローナの税関がお休みで通れない日曜日には、多くの商人が足を止めたよう。商人たちは、宿場に売り物のニシンの干物や塩漬けを持ち込み、パローナの女性たちに調理してもらったり、お金がないときにはニシンで支払いをしたりもしていました。
こうしてニシンをよく扱うようになったパローナでは、「灰の水曜日」になると家族や親族とニシンを食べる習慣ができたのだそうです。
そんな美味しい魚の香りに釣られ、肉断ち初日にヴェローナの住民たちはパローナにやってくるようになり、カーニバルの余韻に浸るかのごとくニシン祭にまで発展した、というわけ。
ニシン祭ではいくつかの屋台が出て、ビーゴリやリゾットなど、いろいろなニシン料理が味わえるのですが、中でも王道と言えるメニューが「ニシンのポレンタ添え」。
貧しい家庭では、やっとの思いで買ってきたニシンの干物を食べずに家の天井から吊るしておき、焼いたポレンタにその干物の香りをこすりつけて食べていたという話もあり、なんとなく時代を感じる一皿となっています。
今年は縮小版で行われたニシン祭。とはいえ、多くの地元客で賑わう光景には感慨深いものがありました。夕方にはパレードもあり、夜まで続くニシン祭ですが、ある屋台では「昼過ぎにすでにニシンが売り切れてしまった」と言うほど、想定以上の人が訪れたみたい。
コロナの感染予防に油断してはなりませんが、長い間みんな、こういう雰囲気が恋しかったんだろうとつくづく感じる一日でした。
なお、移動祝日パスクアに合わせてカーニバルやニシン祭も毎年日程が変わります。今年を例に整理してみるとこんな流れです。
(カーニバルについての詳細は、過去の記事もご覧ください。)
カーニバル 2月24日(木)~3月1日(火)学校などはお休み
⇒灰の水曜日 3月2日(水)(~4月14日(木)まで四旬節)
⇒聖金曜日 4月15日(金)キリストが十字架にかけられた日
⇒パスクア(復活祭) 4月17日(日)キリストの復活
⇒パスクエッタ(天使の月曜日)4月18日(月)祝日
この伝統的なニシン祭は毎年この時期、カーニバルの後の水曜日と決まっているのですが、観光客もいないような冬のド平日の朝からこのお祭りが開かれるのには重要なワケがあります。
それは、パスクアの40日前(日曜を除く)に当たる「灰の水曜日」だから。
かつて、この「四旬節」と呼ばれるパスクア前の40日間は肉断ちをする慣例があったため、ヴェローナでは「肉の代わりに魚」を食べる初日として、ニシン祭が行われるようになりました。
このパローナ、決してニシンの産地ではありませんが、ヴェローナを囲むアディジェ川の上流側という立地により、ニシンとの関係が深くなったと言われています。
というのも、かつて、北の国(ドイツや北ヨーロッパ)の商人たちはアルプスから流れてくるアディジェ川を船で下りながらヴェネツィア方面を目指していました。その際、パローナが宿場町のような役割を果たしていたのです。特にヴェローナの税関がお休みで通れない日曜日には、多くの商人が足を止めたよう。商人たちは、宿場に売り物のニシンの干物や塩漬けを持ち込み、パローナの女性たちに調理してもらったり、お金がないときにはニシンで支払いをしたりもしていました。
こうしてニシンをよく扱うようになったパローナでは、「灰の水曜日」になると家族や親族とニシンを食べる習慣ができたのだそうです。
そんな美味しい魚の香りに釣られ、肉断ち初日にヴェローナの住民たちはパローナにやってくるようになり、カーニバルの余韻に浸るかのごとくニシン祭にまで発展した、というわけ。
ニシン祭ではいくつかの屋台が出て、ビーゴリやリゾットなど、いろいろなニシン料理が味わえるのですが、中でも王道と言えるメニューが「ニシンのポレンタ添え」。
貧しい家庭では、やっとの思いで買ってきたニシンの干物を食べずに家の天井から吊るしておき、焼いたポレンタにその干物の香りをこすりつけて食べていたという話もあり、なんとなく時代を感じる一皿となっています。
今年は縮小版で行われたニシン祭。とはいえ、多くの地元客で賑わう光景には感慨深いものがありました。夕方にはパレードもあり、夜まで続くニシン祭ですが、ある屋台では「昼過ぎにすでにニシンが売り切れてしまった」と言うほど、想定以上の人が訪れたみたい。
コロナの感染予防に油断してはなりませんが、長い間みんな、こういう雰囲気が恋しかったんだろうとつくづく感じる一日でした。
なお、移動祝日パスクアに合わせてカーニバルやニシン祭も毎年日程が変わります。今年を例に整理してみるとこんな流れです。
(カーニバルについての詳細は、過去の記事もご覧ください。)
カーニバル 2月24日(木)~3月1日(火)学校などはお休み
⇒灰の水曜日 3月2日(水)(~4月14日(木)まで四旬節)
⇒聖金曜日 4月15日(金)キリストが十字架にかけられた日
⇒パスクア(復活祭) 4月17日(日)キリストの復活
⇒パスクエッタ(天使の月曜日)4月18日(月)祝日