お料理説明・背景
イタリアの叔母ちゃんことZia Lauraのレシピ第3弾をウンブリア州からお届けします。幼稚園の先生として勤労40年のZia Lauraは、夫の叔母であり、イタリアの伝統を始め方言、また早くに亡くなった義母の代わりに家族の歴史を教えてくれた人でもあります。
多くのイタリア人は、愛情表現の言葉を頻繁に使いますが、彼女も私には「アモーレ」であったり、「コッカ」(ウンブリアの方言で、大切な人という意味)と呼んでくれてるのですが、日常で一般に使われる表現であったとしても、聞くと心が和みますので、小さな(ささやかな)愛情表現の大切さを感じます。
今回ご紹介します「ウンブリア伝統 パスタのクルミ入りドルチェ」はクリスマスをはじめとする、イタリアの祝日に昔から作られていたドルチェです。夫の家では、子供の頃からクリスマスと12月26日の聖ステファノの日の2日間に食べていたドルチェなので、このドルチェを食べると子供の頃を思い出されるようで、叔母が作ってくれると喜びます。そう考えると、お料理にはおいしい以外に、思い出も同時に詰まっているように思います。
イタリアでは近年、店頭で買えるドルチェも多いため、昔のように家族や友人と集まってお料理やドルチェを作ってフェスタを迎えるということが少し減ってきているようですが、やはり親しい者同士が陽気におしゃべりをしながらお料理を作り、テーブルを囲むという文化はコロナによって変化しつつある社会に、より一層心を通わせることの出来る文化であることを感じさせられます。
ウンブリア州は、エトルリア文明(古代ローマ帝国より前の時代)の発祥の地で、発掘により、エトルリア人は果物や木の実などを主に消費していたことが明らかになっています。イチジク、プラム、ザクロ、ナシなどのドライフルーツや、クルミ、ヘーゼルナッツ、栗など木の実は、エトルリア人の食卓によく見られるものであり、祭典の儀式のお供え物でもあったようですが、これらの文化を古代ローマ人も取り入れ、そして現在の食卓へと進化しながら伝統として受け継がれています。
パスタのドルチェは、貧困である家庭でも家にあるもので作れるドルチェであったそうで、昔の人の知恵が感じられるドルチェと言えます。また、このドルチェを作るとき、ウンブリア州ではパスタ・コルタ(短いパスタ)が使われてきました。 パスタ・コルタもイタリアでは何種類もありますが、パスタに線が刻み込まれているパスタ(今回使用したようなもの)を使うことで、表面がツルっとしているパスタより具材がよりよくパスタに絡みやすく、より一層おいしく召し上がっていただくことが出来ます。
簡単にできるドルチェなので、ぜひお試しになって、ウンブリア州の伝統を味わってみてくださいね。
20代前半にヨーロッパを旅行中にイタリアに一番魅了される。数度目のイタリア旅行でウンブリア州にある陶器村デルータを訪れた際、マヨルカ焼きの絵付師になりたいと感じ、1年後の95年に渡伊。ロマーノ・ラニエリ師に師事しながらフリーの絵付け師として活動。現在はアーティスト活動しながら、長年のイタリア在住の経験を生かし企業通訳を始め個人旅行の通訳や旅のコーディネーターとしても活動中。ロコタビ(YUKO):https://locotabi.jp/loco/yukospagliccia。
作り方
下ごしらえ
- バケット1本を薄切りにし、オーブン皿に並べて100度で20~30分きつね色になるまで焼き、細かく切ったら、ミキサーにかけてさらに細かくしておく(写真a 参照)