ボッビオの橋と秋の味覚
10月の中旬たまたまトリノの仕事の帰りに、日本人の友人の取材の運転手としてランゲ地方を回り、ピアチェンツア県のボッビオに同行することになった。
地図上で見るといつも通る道の、一本山側の道を通るくらいだから、距離的に大した差はない。と甘く見ていたらとんでもない!ワイナリーの取材を終え、陽もすっかり沈んだトルトーナから19時半出発。国道にもかかわらず、どんどん狭くなる道、街灯一つなく、周りも真っ暗で右に左にカーブする道。対向車も、追従車もほとんどなし。野うさぎが飛び出して来て、慌ててブレーキを踏むと今度は車の前をウロウロ。やっと発進させると、今度は狐の影。
そんな道をそろそろ1時間半もたとうかという頃、ボッビオの標識が出てほっとしたのも束の間、突如村が出現した。夜の村は静かで中世にタイムスリップしたかのよう。
ボッビオはエミリア・ロマーニャ州の北西の端リグーリア、ピエモンテ、ロンバルディア州の州境に近いところに位置する。「I Borghi più belli d’Italia イタリアの最も美しい村」の一つに認定されている。
大きな大きな聖コロンバーノ修道院。
614年,アイルランド人コロンバーノ修道士が創設した。
その後中世の宗教や政治だけでなく文化の拠点として栄え、村の横を流れるトレッビア川の横をジェノバからピアチェンツアに塩をはじめとする物資を運ぶ幹線道路が通っており、商業の重要な拠点として栄えていた。
重厚な石造の修道院や街並み、ドゥオモをはじめとする教会など観光も楽しいが1番の見所がボッビオにある。それはヴェッキオ橋。猫背の橋、悪魔の橋など異名を持つ。
全長280mの大きな大きな橋で、橋を支える11のアーチは一つとして同じ大きさはなく、おそらくローマ時代にかけられたであろうと推定されているが年代は定かではない。
土曜の朝7時教会の鐘の音が鳴り響くのを合図に、トラックが何台も入ってくる音が聞こえる。
毎週土曜の午前中は村中に市が立つ。衣類、食品、雑貨、造花や、農工器具、ハンティング用品専門のテントが並ぶ。地元の方や、近隣の村からもずいぶん人が来ているようで、昼近くにはかなりの数の観光客や、ツーリングとおぼしきライダースーツに身を包んだグループも多く見られた。確かに通って来た山道をバイクで走るのは楽しそうだ。
山間だけにポルチーニを扱う店も多い。手打ちパスタを売る店では、郷土料理のパスタが置いてある。
ピサレイ(pisarei)というパン粉を練り込んだパスタはピアチェンツア出身の姑が話していたっけ。ボルロティという赤い模様のあるインゲン豆と合わせる。方言ではピサレイ エ ファゾ(Pisarei e fasò)と言う名でレストランのメニューにもあった。
昼は近隣で朝取ってきたばかりと言うポルチーニ茸のフライコリコリとした食感の残るフリットは絶品!
ピノーリと呼ばれる小麦粉とじゃがいも、リコッタ、青菜を練り込んだパスタにポルチーニ茸を合わせたもの。
皆さんも秋ならではの味覚を満喫しに、足を運んでみてはいかがだろうか?
ちなみにサラミを買ったお肉屋さんの話では、ジェノバ、ピエモンテ側からはかなりの山道なので、車でのアクセスはピアチェンツアからが一番いいそう。
公共機関ではバスで一本。ピアチェンツアから村の入り口までおよそ1時間半。およそ1時間ごとに出ているが学校の夏休み期間は本数が減るので注意。
イベント、交通アクセスについてのサイトはこちらから(イタリア語/英語)
https://emiliaromagnaturismo.it/it/localita/bobbioモデナで伝統的な製法でバルサミコ酢を醸造しています。バルサミコ酢醸造の裏話や、モデナ近隣の食習慣、レシピなどを紹介しているので、ぜひ覗いてみてください。
https://miamodena.it/
それでは皆さん秋を満喫いたしましょう!