マンマのレシピ

マンマの紹介

  • ベアトリーチェ・セッラ(Beatrice Serra)さん
  • トスカーナ州フィレンツェ在住
  • 【得意料理】トスカーナ料理全般、野菜料理

お料理説明・背景

イタリアの9月といえば、ブドウの収穫期です。ワイン用のブドウはとても甘くておいしいので、八百屋やスーパーの店頭でも食用として販売されるようになります。トスカーナ州では同時期に店頭で目にするようになるのが、トスカーナの伝統菓子「schiacciata con l’uva(スキアッチャータ・コン・ルーヴァ)=ブドウのスキアッチャータ」。トスカーナの人たちの大好物で、ブドウの収穫時期にだけ食べることができる旬のお菓子です。

スキアッチャータというのは「潰れた」という意味ですが、日本ではフォカッチャとして知られているパンのことで、トスカーナ州ではスキアッチャータと呼ばれています。

ブドウのスキアッチャータは日本人にとっては馴染みのない食感のお菓子で、食べると「ジャリッ」というような歯ごたえがします。この「ジャリッ」の正体は「ブドウの種」。ブドウの皮も種もそのまま丸ごと使うお菓子のため、食べる度に小さな種の「ジャリッ」という歯ごたえがするのです。種無しバージョンも存在しますが、トスカーナでは圧倒的に種ありが人気で、食べれば食べるほどこの食感がクセになってきます。

「ブドウのスキアッチャータに使うブドウは必ずワイン用のブドウを使ってね。uva per schiacciataとかuva da schiacciata(いずれも意味はスキアッチャータ用のブドウ)として売られているブドウよ。そうじゃないと、別のお菓子になっちゃうから。私のスキアッチャータにも、もちろん種ありタイプを使うわよ。」とベアトリーチェさん。

フィノッキオのパスタベアトリーチェさんは、生まれも育ちもフィレンツェ。料理が上手だったお母さんが使っていたトスカーナ郷土料理のレシピ本を受け継ぎ、今も大切に使っています。料理は15歳頃から始めたというベアトリーチェさんは「料理がとにかく大好きなの」と笑顔で話し、取材にお邪魔した時も「まずはランチにしましょう。私が摘んできた野生フィノッキエット(フェンネル)で作った特製ソースのパスタをつくってあるから」と自慢の手料理でおもてなししてくれました。

ちなみに、ベアトリーチェさんの家には8匹もの猫と大型犬1匹が同居しているのですが、猫や犬のご飯も手作りしています。そのため、彼女が台所に立つと、すぐさま猫たちが集まってきて「ご飯まだ?」の圧をかけるので、常に猫ちゃんたちの視線を感じながらの撮影となりました。

プラネターリア「これは2年前の誕生日に友人たちが私にプレゼントしてくれた”プラネターリア”よ」と、私に見せてくれたのはパスタやパンの生地を自動でこねる機械。ネーミング通りプラネタリウムに見えるマシンです。生地をこねるのは、なかなか骨の折れる作業ですが、このマシンのおかげで手軽に生地を作ることができるようになり、パスタやピザなどを作る楽しみが増えたのだそう。スキアッチャータ生地もプラネターリアを使ったおかげであっという間に完成。プラネターリアでこねた生地は最後はきれいに丸く整えられ、手でこねたものとなんら変わらない仕上がり。

「ブドウのスキアッチャータといっても地域によってはクルミを入れるところがあれば、ブドウを生地で覆うなど色んなバージョンがあるけれど、私が作るのはブドウを生地で包み込まないのがポイント。私は昔からこのレシピが一番好きだから、今回は私のオススメのレシピをご紹介するわよ!」

ベアトリーチェさんも大好物だというトスカーナ名物ブドウのスキアッチャータ。この時期だけのお楽しみ、是非ご賞味ください。

レポート:小林真子(Kobayashi Mako)
元静岡朝日テレビ報道記者。2012年からフィレンツェ在局FMラジオにレギュラー出演中。FIATジャパン公式サイトや週刊新潮等でライターとして活動中。世界40カ国旅行。イタリアで起業、オンラインショップ&ブログ「AmicaMakoイタリアンスタイル」を運営。

材料

ブドウのスキアッチャータ(30cmx40cm)

・ワイン用のブドウ種あり小粒1kg程度
・エキストラ・ヴァージン・オリーヴオイル大8
・グラニュー糖大8
・ビール酵母15g
・水常温75ml
・小麦粉350g
・塩ひとつまみ

作り方

下ごしらえ

  1. ブドウの粒を房から外して水洗いしておく。(写真a 参照)
  2. ビール酵母を常温水に入れて混ぜ、溶かしておく。(写真b 参照)
  3. オーブンを50度に予熱し、50度になったら電源を切っておく。

作り方

  1. ビール酵母を溶かした常温水に、小麦粉、オリーヴオイル(大4)、グラニュー糖(大4)、塩ひとつまみを入れて軽く混ぜ合わせる。(写真c 参照)
  2. 機械にかけて、生地をこねる。機械がない場合は、手で全体がしっかりまとまるまでこねる。生地をこねてまとめた段階で、生地がべたつくように感じたら、分量外の小麦粉を加えて調整する。(写真d,e 参照)
  3. 50度に一度熱してから電源を切っておいたオーブンに生地を入れてオーブンのドアを閉じ、1時間ほど生地が2倍ほどに膨れるまで寝かして発酵させる。その際、生地は覆わずそのままでOK。(写真f,g 参照)
  4. 生地をオーブンから取り出し、再びオーブンを175度に予熱する。
  5. 台に分量外の小麦粉をまぶし、生地を麺棒で5㎜程度の厚みになるまで伸ばす。(写真h,i 参照)
  6. オーブン耐用の四角い鉄板にクッキングシートを敷き、生地を鉄板にあわせて四角く伸ばしながら形を整える。(写真j 参照)
  7. 生地の縁5㎝程度を避けて、ブドウ700gをしっかり生地に押しつけるように敷き詰める。その上から、グラニュー糖(大2)とオリーヴオイル(大2)を回しかける。(写真k,l 参照)
  8. 生地のふち5㎝を、土手を作るように内側に織り込む。(写真m 参照)
  9. さらに上からブドウ300gをふりかけ、グラニュー糖(大2)とオリーブオイル(大2)を回しかける。(写真n 参照)
  10. 175度に予熱したオーブンで1時間程度焼く。
  • a.ブドウの実を外して洗う
  • b.ビール酵母を溶かす
  • c.生地の材料を全部入れる
  • d.生地をこねる
  • e.粉を調整し生地がべたつかなくなるまでこねる
  • f.50度に保温したオーブンで生地を発酵させる
  • g.発酵して2倍ほどに膨らんでいる生地
  • h.小麦粉をまぶした台に生地を置く
  • i.生地を薄く伸ばす
  • j.クッキングシートの上に生地を置いて形を整える
  • k.7割のブドウを生地に押し付けるように並べる
  • l.砂糖とオリーヴオイルを回しかける
  • m.生地の端を折り込む
  • n.残りのブドウを上にのせ、砂糖とオリーヴオイルを回しかける

お料理ポイント

生地を5㎜程度になるよう薄く伸ばすことがポイントです。生地が分厚いとおいしくないので。ブドウは7割をしっかり生地内に押し込むことで生地にブドウから出るジュースが染み込み、3割を上にかけることでブドウの粒感も楽しむことができますよ。ブドウそのもののおいしさを存分に味わえるレシピです!