マンマのレシピ

マンマの紹介

  • ベネデッタ・スキファーノ(Benedetta Schifano)さん
  • シチリア州ダッティロ村在住
  • 【得意料理】トラーパニ風魚のクスクス

お料理説明・背景

シチリアには「アグロドルチェ」と名の付いた料理がたくさんあります。アグロ=酸っぱい、ドルチェ=甘い、つまり「甘酸っぱい」料理のこと。この料理はまだ冷蔵庫がない時代、糖分と酸味で味付けをして保存性を高めようという目的で生まれたものでした。今回は小皿に盛り付けてアンティパストとしても、ドーンとお皿に盛ってメインとしても大活躍の「カジキのアグロドルチェ」を紹介します。

トラーパニ沖には5月下旬から7月上旬にかけて、スペインの方からマグロが回遊してくるのですが、「カジキのアグロドルチェ」は元々はマグロに使われている調理法。いわれてみれば5月下旬のトラーパニはもう既に夏で、このアグロドルチェという料理方法で食べていたのもうなずけます。

「マグロの季節はマグロで作るけれど、それ以外の季節はカジキで作ってもとってもおいしいの。」というのは、今回この料理を教えてくれたベネデッタさん。 トラーパニではマグロは季節の食べ物で、回遊してくる時期以外は食べません。でもマグロの時期以外に作るのがこのカジキのアグロドルチェ。カジキは通年、トラーパニの魚市場に並ぶシチリアを代表する魚。地中海で獲れるカジキはとても脂が乗っていてジューシーなので、このアグロドルチェという料理法がぴったり!お酢をたっぷりと使うので、ジューシーだけどさっぱりといただけます。

「おいしいアグロドルチェを作る秘訣はビネガーよ」 ベネデッタさんのお宅では自分の家で栽培した黒ブドウから自家製ビネガーを造っています。蔵にはビネガーが入っている樽が5個くらい並んでいて、右に行くほど古いビネガーが入っているそうで。一番古いものはもう15年以上寝かせてあって、その味わいはなんともマイルド。ツンとくるビネガー特有の強さはなく、もはや寝かされたワインのような香り。「こんなおいしいビネガー、手に入らないし」と私が言うと、「ならばAceto di Mele(リンゴ酢)で作るといいわよ」と教えてくれました。

今回はカジキで作りましたが、このレシピ、色々な野菜にも応用可能だそうで。かぼちゃ、ナス、ズッキーニなど、たっぷりのオリーヴオイルで焼いた野菜の上に、カジキのアグロドルチェで作るタマネギをのせて味を染み込ませばできあがり! 覚えておけば、メニューに困ったときに大活躍! これから気温が上がってくる季節に是非試していただきたい一皿です。

レポート:佐藤 礼子(Sato Reiko)
2005年よりイタリアの南の島、シチリア島在住。力強い大地の恵みと美しい大自 然にすっかり魅せられ、シチリアに残ることを心に決める。現在、シチリア食文化を研究しつつ、トラーパニでシチリア料理教室を開催。また、シチリア美食の旅をコーディネートする「ラ ターボラ シチリアーナ」の代表&コーディネーターとしてトラーパニで活動中。 シチリア美食の旅をコーディネート「ラ ターボラ シチリアーナ」

材料

カジキのアグロドルチェ(4人分)

・カジキ4切れ300g
・タマネギ中1個150g
・赤ワインビネガー50ml
・グラニュー糖20g
・オリーヴオイル大さじ2
・塩適量

作り方

  1. カジキに軽く塩をする。タマネギは5㎜のスライスに。(写真a 参照)
  2. 赤ワインビネガーとグラニュー糖をグラスかボウルに入れて、グラニュー糖が溶けるまでしっかりと混ぜる。(写真b 参照)
  3. フライパンにオリーヴオイル大さじ1を入れあたため、カジキを入れ両面に軽く焦げ目が付くまで焼き、お皿に並べる。。(写真c 参照)
  4. 3のフライパンにオリーヴオイル大1とタマネギを入れ、しんなりするまでいためたら2を加え中火で5分ほど煮込む。(写真d 参照)
  5. 水分が少なくなっていたら3の上に 乗せ、そのまま15分放置。味がなじんでからいただく。
  • a. タマネギをスライスする
  • b. ビネガーと砂糖をよく混ぜる
  • c. カジキを焼く
  • d. タマネギをいためてビネガーで煮込む

お料理ポイント

カジキを焼くときはフライパンをしっかりと温めてから焼くこと。一気に焼かないと、水分が出てきてしまっておいしく焼きあがりません。

※アツアツで食べたい人はしっかりと味をなじませてから、フライパンに戻してフタをして温めて下さい。