春の光
イタリアの被害状況:
北イタリアで感染者が見つかってから2ヶ月が経ちました。
日が徐々に長くなり、冬が終わって春がきて、夏時間に変わりました。
まだ私たちはまだ家にいます。それでも長い長いトンネルにやっと僅かな光が見え始めました。
*経済紙 Il sole 24 のサイトより。さまざまなデータがまとめられているので、私はこのリンクで状況の推移を日々チェックしています。
https://lab24.ilsole24ore.com/coronavirus/
一番濃いピンク色:集中治療室の患者数
真ん中のピンク色:症状があり入院している患者数
薄いピンク色:無症状か軽い症状で自宅隔離
プラトー=平原と呼ばれる、感染者や犠牲者が増えもせず減りもせず一定の状態が長く続き、やっとダウントレンドになり始めました。とてもゆっくりですが。
4月22日の状況
検査数63,101件
感染者数 3,370人(5.3%)
その他のデータ カッコ内は4月22日増加分
現在感染者数 107,699(-10 )
-うち症状なしあるいはごく軽症で自宅隔離 80,589 (+554)
-うち入院治療中 25,033( +26)
-うち集中治療室 2,635 ( -98)
犠牲者 25,085( +437)
治癒した人54,543( +2,943)
感染者数はここ数日、検査数に対し感染者数が5%ほどを占めるという結果です。3月中は20%の感染率、1週間ほど前も10%前後の感染率でしたから、かなり感染のスピードは減り始めました。
それでも今日のように60,000件検査すると3,000以上の感染者。ほとんどが自宅隔離対応ながら、まだすごい数です。現在の感染者数は10万人を超えています。
入院して2週間から1ヶ月で亡くなる方が多いので、感染者減少のトレンドは犠牲者には反映されず、まだまだ下がりません。今日も400人以上の方が命を落としました。
犠牲者の中には、140人以上の医師、30人以上の看護師の方も含れます。ベルガモでは聖職者も多くなくなったそうです。ロンバルディア州は複数の老人養護施設での集団感染が多く起こり、訴訟問題にまで発展しています。
政府では今、5月4日以降の「FASE 2 フェーズ2=どうやって少しずつ規制を解いていくか」を日々話し合っています。さまざまな国民に対しての補償も降り始めました。
私たちの暮らし:
ジョギングなども禁止されていて、厳しい規制がひかれていますが、食品などは通常通り手に入ります。子どもがいる家庭は子どもの心身の健康のため、少しは外にでてもよいということになっています。買い物に出かける時も、どこまで行くのか明記した申告書の携帯が必要です。
スーパーでは入場制限がひかれているので、列があることが多いですが、その列も1m間隔です。10分もかからずに入れることが多いです。中はかなり人数が少なく、人と人との間隔を保てるようになっています。
子どもたちや大学生はインターネットで授業に参加しています。家にコンピューターやタブレットがない子達には、学校や地域自治体が購入して届けられているとニュースで見ました。
私は1週間から10日に一度でかける程度です。少しでもスーパーのレジの方の負担を減らしたい、混み合う状況を減らせたらと願っています。私の場合は、一人暮らしなので工夫をうまくすれば、我慢せずとも結構やりくりできるものです。
ミラノの友人が面白いことを言っていました。レストランが閉まっているのでその分美味しいお魚が出回っていて、いつもより質の高いものが買えている、と。デリバリーをやっている個人商店も多くなり、友人はジェラート屋さんから1kgのジェラートをたまに買っているとのこと。私も一度頼もうか、と思っているところです。
3月11日に移動制限が全国に発令されてから、イタリアの食品を日本に届ける私の仕事もかなり緊張の日々となりました。各生産者に電話して作業はできるのか、ラベルの印刷は止まっていないか等々確認、そして次にコンテナーが見つかるかなど、、。
”社員は家だけど夫婦で働いているから大丈夫だよ” ”スペース確保しながら交代で働くから時間はかかるけど安心して”など有難い言葉の数々を聞けたときには、じーんと涙。長くコラボレーションしている生産者の方々も多く、年月をかけて育んだ関係の有り難さを痛感しました。
私は食品という動いている分野に従事し、家で働くことができ、また日頃より忙しい状況だったため、StayHomeの時間が瞬く間に過ぎていきました、とくにこの1ヶ月は。外の辛い状況にあまり気持ちを持っていかれすぎずに過ごせたのは、恵まれていたと思います。
光を感じた時:
現実とは思えないような辛い状況が、一体どこまで酷くなっていくのか。まるで暗黒の中にいるような気持ちのとき、パッと光が射したような気持ちになったことが2回ありました。
1回目は市民保護局が呼びかけた甚大な被災地への300名の医師タスクフォースの募集にイタリア中の8000近くの医師からの応募があったと聞いた時。2回目は同じく500名の看護士タスクフォースの募集にも9400名の看護師からの応募があったとニュースを耳にしたとき。
これでもかというほどに深い傷を受けていても、まだイタリアには力と愛があるんだ。これらのニュースに大きく励まされている自分に気づきました。無意識ながら、かなり凹んでいたようです、、。
Io resto a casa =StayHome を2ヶ月近くやってみて感じたこと。それは、きっと自分のためだったらこんなに長い間とても続かないということ。しかもこの春の陽気に。ましてやイタリア人が。医師でも看護士でもない私たちが唯一できること、それが家にいることなんだとみなが納得したから、つまり他者のためだからできているのではないか、と。
辛い日々ですがここから気づけることも多いはず。イタリア人の人気作家パオロ・ ジョルダーノ”コロナ時代の僕ら”あとがきが無料公開されています。全文も読める時期があり、非常に興味深く読ませてもらいました。
早く世界に安寧な日々が戻ってきますように。
追伸:TV放映のお知らせ
本日4月23日取材いただいた番組が放映となります。
手前味噌ですが、ご紹介させてください。
2週間続いた撮影の最終日に、北イタリアで一人目の感染がわかりました、、。
世界はほしいモノにあふれてる
「太陽と火山の恵み!絶品食材を探す旅 シチリア」
・
(NHK総合1)
4月23日(木) 午後10:30~午後11:15(45分) ※九州沖縄地方除く
再放送:4月28日(火)午前1時05分(27日深夜) ※全国
4月30日(木)午後10:30~ ※九州沖縄地方のみ放送
NHKワールドプレミアム(国際放送) 4月23日(木)夜10時30分
NHKオンデマンド 4月24日(金)夜10時30分~ 2週間配信
NHKプラス 4月23日(木)夜10時30分~ 1週間配信
北イタリアで感染者が見つかってから2ヶ月が経ちました。
日が徐々に長くなり、冬が終わって春がきて、夏時間に変わりました。
まだ私たちはまだ家にいます。それでも長い長いトンネルにやっと僅かな光が見え始めました。
*経済紙 Il sole 24 のサイトより。さまざまなデータがまとめられているので、私はこのリンクで状況の推移を日々チェックしています。
https://lab24.ilsole24ore.com/coronavirus/
一番濃いピンク色:集中治療室の患者数
真ん中のピンク色:症状があり入院している患者数
薄いピンク色:無症状か軽い症状で自宅隔離
プラトー=平原と呼ばれる、感染者や犠牲者が増えもせず減りもせず一定の状態が長く続き、やっとダウントレンドになり始めました。とてもゆっくりですが。
4月22日の状況
検査数63,101件
感染者数 3,370人(5.3%)
その他のデータ カッコ内は4月22日増加分
現在感染者数 107,699(-10 )
-うち症状なしあるいはごく軽症で自宅隔離 80,589 (+554)
-うち入院治療中 25,033( +26)
-うち集中治療室 2,635 ( -98)
犠牲者 25,085( +437)
治癒した人54,543( +2,943)
感染者数はここ数日、検査数に対し感染者数が5%ほどを占めるという結果です。3月中は20%の感染率、1週間ほど前も10%前後の感染率でしたから、かなり感染のスピードは減り始めました。
それでも今日のように60,000件検査すると3,000以上の感染者。ほとんどが自宅隔離対応ながら、まだすごい数です。現在の感染者数は10万人を超えています。
入院して2週間から1ヶ月で亡くなる方が多いので、感染者減少のトレンドは犠牲者には反映されず、まだまだ下がりません。今日も400人以上の方が命を落としました。
犠牲者の中には、140人以上の医師、30人以上の看護師の方も含れます。ベルガモでは聖職者も多くなくなったそうです。ロンバルディア州は複数の老人養護施設での集団感染が多く起こり、訴訟問題にまで発展しています。
政府では今、5月4日以降の「FASE 2 フェーズ2=どうやって少しずつ規制を解いていくか」を日々話し合っています。さまざまな国民に対しての補償も降り始めました。
私たちの暮らし:
ジョギングなども禁止されていて、厳しい規制がひかれていますが、食品などは通常通り手に入ります。子どもがいる家庭は子どもの心身の健康のため、少しは外にでてもよいということになっています。買い物に出かける時も、どこまで行くのか明記した申告書の携帯が必要です。
スーパーでは入場制限がひかれているので、列があることが多いですが、その列も1m間隔です。10分もかからずに入れることが多いです。中はかなり人数が少なく、人と人との間隔を保てるようになっています。
子どもたちや大学生はインターネットで授業に参加しています。家にコンピューターやタブレットがない子達には、学校や地域自治体が購入して届けられているとニュースで見ました。
私は1週間から10日に一度でかける程度です。少しでもスーパーのレジの方の負担を減らしたい、混み合う状況を減らせたらと願っています。私の場合は、一人暮らしなので工夫をうまくすれば、我慢せずとも結構やりくりできるものです。
ミラノの友人が面白いことを言っていました。レストランが閉まっているのでその分美味しいお魚が出回っていて、いつもより質の高いものが買えている、と。デリバリーをやっている個人商店も多くなり、友人はジェラート屋さんから1kgのジェラートをたまに買っているとのこと。私も一度頼もうか、と思っているところです。
3月11日に移動制限が全国に発令されてから、イタリアの食品を日本に届ける私の仕事もかなり緊張の日々となりました。各生産者に電話して作業はできるのか、ラベルの印刷は止まっていないか等々確認、そして次にコンテナーが見つかるかなど、、。
”社員は家だけど夫婦で働いているから大丈夫だよ” ”スペース確保しながら交代で働くから時間はかかるけど安心して”など有難い言葉の数々を聞けたときには、じーんと涙。長くコラボレーションしている生産者の方々も多く、年月をかけて育んだ関係の有り難さを痛感しました。
私は食品という動いている分野に従事し、家で働くことができ、また日頃より忙しい状況だったため、StayHomeの時間が瞬く間に過ぎていきました、とくにこの1ヶ月は。外の辛い状況にあまり気持ちを持っていかれすぎずに過ごせたのは、恵まれていたと思います。
光を感じた時:
現実とは思えないような辛い状況が、一体どこまで酷くなっていくのか。まるで暗黒の中にいるような気持ちのとき、パッと光が射したような気持ちになったことが2回ありました。
1回目は市民保護局が呼びかけた甚大な被災地への300名の医師タスクフォースの募集にイタリア中の8000近くの医師からの応募があったと聞いた時。2回目は同じく500名の看護士タスクフォースの募集にも9400名の看護師からの応募があったとニュースを耳にしたとき。
これでもかというほどに深い傷を受けていても、まだイタリアには力と愛があるんだ。これらのニュースに大きく励まされている自分に気づきました。無意識ながら、かなり凹んでいたようです、、。
Io resto a casa =StayHome を2ヶ月近くやってみて感じたこと。それは、きっと自分のためだったらこんなに長い間とても続かないということ。しかもこの春の陽気に。ましてやイタリア人が。医師でも看護士でもない私たちが唯一できること、それが家にいることなんだとみなが納得したから、つまり他者のためだからできているのではないか、と。
辛い日々ですがここから気づけることも多いはず。イタリア人の人気作家パオロ・ ジョルダーノ”コロナ時代の僕ら”あとがきが無料公開されています。全文も読める時期があり、非常に興味深く読ませてもらいました。
【全文公開】「すべてが終わった時、本当に僕たちは以前とまったく同じ世界を再現したいのだろうか」『コロナの時代の僕ら』著者あとがき
ミラノより、Stay Home, Stay Safe!早く世界に安寧な日々が戻ってきますように。
追伸:TV放映のお知らせ
本日4月23日取材いただいた番組が放映となります。
手前味噌ですが、ご紹介させてください。
2週間続いた撮影の最終日に、北イタリアで一人目の感染がわかりました、、。
世界はほしいモノにあふれてる
「太陽と火山の恵み!絶品食材を探す旅 シチリア」
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(NHK総合1)
4月23日(木) 午後10:30~午後11:15(45分) ※九州沖縄地方除く
再放送:4月28日(火)午前1時05分(27日深夜) ※全国
4月30日(木)午後10:30~ ※九州沖縄地方のみ放送
NHKワールドプレミアム(国際放送) 4月23日(木)夜10時30分
NHKオンデマンド 4月24日(金)夜10時30分~ 2週間配信
NHKプラス 4月23日(木)夜10時30分~ 1週間配信