アブルッツォ号登場メンバーも大活躍!迫力満点の火祭り
1月15日〜17日、キエティ県のFaraFiliorumPetriで「聖アントニオ祭」が開催されました。
これは1799年、この地域にフランス軍が攻め入ろうとした際、村の人々が守護聖人である聖アントニオに祈りを捧げると、村の周囲の森が火に覆われ、フランス軍を追い払ったという「聖アントニオの奇跡」を祝う祭りとして大切に引き継がれてきたものです。
毎年、聖アントニオの日である1月17日とその前の2日間、計3日間に渡って行われ、中でも1月16日にファルキエと呼ばれる巨大松明を掲げる火祭りは、アブルッツォを代表する祭りのひとつとして知られています。
この祭りには、昨年の8月に発行された「イタリア好きvol.38アブルッツォ号」に登場したメンバーも中心メンバーとして大活躍!是非彼らのまた違った一面、勇姿を(長文ですが)御覧ください。
松明は直径約80センチ、高さが10m近くあり、15(年によって変動あり)からなる村の各地区でリーダーが中心になり1つずつ巨大な松明を完成させていきます。
1月6日のエピファニア(公現祭)が終わる頃になると、暖炉のついた大きなテントが張られ、松明づくりの準備が始まります。
松明は前年の2月頃に刈り、十分に乾燥させておいた葦を使います。巨大松明が土の上で自立するよう、正確に計算しながら円柱にしていく必要があります。
心臓と呼ばれる松明の芯の部分を作っているところ。
心臓部を中心に葦を加えていきながら松明の本体ができました。
これらの葦を固定するのには、西洋コリヤナギを使います。ここでは”しなり”が必要なため、新鮮なものを12月の末に刈りにいきます。
枝は先端が細くなるため、2本の枝をつないで1本の太い枝にします。そのため、まずは火で炙り柔らかくし、
男性5〜6人がかりで引っ張り合いながら2本の柳を結び合わせます。
そうしてつなぎ合わせた柳を松明の周囲に添わせ、結び目を1人が支え、両端を持つ二人がねじりながら固定していきます。
この作業も大きな見どころのひとつ。大の男たちが顔を真っ赤にし、全身の力を振り絞って柳をねじり上げていくのですが、息を合わせなければ失敗することもあるので、緊張が走る瞬間でもあります。
こうして、ねじられ冷え固まった結び目は完全に固定され、解ける事がありません。
この作業を皆、仕事帰りにテントに集まり、祭りの前日に合わせて仕上げていきます。
結び目の数は伝統的に奇数と決まっているらしく、17または19の結び目を作って行くそうです。
結び目の羅列が既に美しい・・!
本番が近づいてくると、テントに集まって来る人がどんどん増えてきます。この祭りのために帰省する人も多く、再会を喜び合える場でもあります。完成に近づいていく松明を囲み、女性たちが中心になり準備した食事やお菓子を一緒に食べ、夜遅くまで歌い、踊り共に時間を過ごす日々が始まります。ある地区では本番前日、大きな火をくべ、ボルテージを一気上げていきます。
「イタリア好きvol.38」にも登場したアッロスティチーニ名人フランコさんと取材班の宿泊先を提供してくれたエンニオさんはともに、ファルキエのリーダー。前日フランコさんをエンニオさんが表敬訪問。二人とも誇らしげないい顔です。
いよいよ本番当日。聖アントニオ像を正面に綺麗に飾り付けられた松明が出番を待ちます。
重さ約250キロある松明は、各地区からトラクターや人が担ぎ、聖アントニオ教会前の広場に集結します。
トラクターで運ばれる松明。これはフランコさんの地区。
別の地区からも松明がトラクターで登場。
束の間一緒に合唱し、ワインで乾杯しお互いを称え合いながら、拍手で見送っていきます。
下りと上り坂がひたすら続く1,1kmの距離を担いで運ぶエンニオさんの地区もいよいよ出発。緊張マックスのとき登場したのがこの方。
リキュールづくりの職人フランチェスコさん。ふらっと登場し、みんなが大好きなジェンツィアーナをニコニコ笑顔で振る舞いはじめ、思わずエンニオさんもこの笑顔。
エンニオさんの掛け声で担ぎ上げらた松明もいよいよ出発。奏者なども乗り、4〜500kgになった松明を随時交代しながらゆっくりと広場まで運びます。
無事広場に到着し、松明をおろした瞬間もその達成感からお互い喜び称え合う瞬間です。
さらなるみどころは松明の立ち上げ。
松明の上部に紐を掛け引っ張りつつ、下からも押し上げていくのです。ここもリーダーの見せ所。集中しているフランコさん。
彼の掛け声と共にはしごで支えながら、少しずつ松明を持ち上げていきます。お隣でも立ち上げが始まった!と思ってよくよく見るとリーダーはヤギの絶品チーズを作るジャンピエトロさんではないですか!男前度増してます。
エンニオさんの地区は1段ずつ上げていくのではなく一気に引っ張り上げていきます。一瞬で立ち上げるので緊張もマックスになる瞬間です。ちなみに今年はわずか12秒という最短記録を樹立。
伝統的には長い葦の先端に火を着け点火しますが仕掛け花火や爆竹を使う地区もあります。仕掛け花火で点火された松明。全ての松明に火が灯され、夜空を照らす松明の美しさと迫力に見とれながら、皆の達成感に包まれた空気はたまらなく暖かいものでした。
そうそう、会場ではマウリツィオのポルケッタも大人気でした。
Fara.F.Pは人口2000人程の小さな村です。そこで、毎年15の地区がそれぞれに準備をすすめ、これだけの祭りを成功させていることに驚きと感動を隠せません。
フランコさんは、「続けていくことは決して簡単なことではない」と前置きし、「でも説明ができない血が自分を突き動かす」と言います。
小さい頃から親しみ憧れ、世代を繋いでいく。
地域をひとつにする伝統行事の底力がそこにあります。
先日の日曜日、来年の松明づくりに向けての葦集めにメンバーが再会していました。準備はすでに始まっています。
これは1799年、この地域にフランス軍が攻め入ろうとした際、村の人々が守護聖人である聖アントニオに祈りを捧げると、村の周囲の森が火に覆われ、フランス軍を追い払ったという「聖アントニオの奇跡」を祝う祭りとして大切に引き継がれてきたものです。
毎年、聖アントニオの日である1月17日とその前の2日間、計3日間に渡って行われ、中でも1月16日にファルキエと呼ばれる巨大松明を掲げる火祭りは、アブルッツォを代表する祭りのひとつとして知られています。
この祭りには、昨年の8月に発行された「イタリア好きvol.38アブルッツォ号」に登場したメンバーも中心メンバーとして大活躍!是非彼らのまた違った一面、勇姿を(長文ですが)御覧ください。
松明は直径約80センチ、高さが10m近くあり、15(年によって変動あり)からなる村の各地区でリーダーが中心になり1つずつ巨大な松明を完成させていきます。
1月6日のエピファニア(公現祭)が終わる頃になると、暖炉のついた大きなテントが張られ、松明づくりの準備が始まります。
松明は前年の2月頃に刈り、十分に乾燥させておいた葦を使います。巨大松明が土の上で自立するよう、正確に計算しながら円柱にしていく必要があります。
心臓と呼ばれる松明の芯の部分を作っているところ。
心臓部を中心に葦を加えていきながら松明の本体ができました。
これらの葦を固定するのには、西洋コリヤナギを使います。ここでは”しなり”が必要なため、新鮮なものを12月の末に刈りにいきます。
枝は先端が細くなるため、2本の枝をつないで1本の太い枝にします。そのため、まずは火で炙り柔らかくし、
男性5〜6人がかりで引っ張り合いながら2本の柳を結び合わせます。
そうしてつなぎ合わせた柳を松明の周囲に添わせ、結び目を1人が支え、両端を持つ二人がねじりながら固定していきます。
この作業も大きな見どころのひとつ。大の男たちが顔を真っ赤にし、全身の力を振り絞って柳をねじり上げていくのですが、息を合わせなければ失敗することもあるので、緊張が走る瞬間でもあります。
こうして、ねじられ冷え固まった結び目は完全に固定され、解ける事がありません。
この作業を皆、仕事帰りにテントに集まり、祭りの前日に合わせて仕上げていきます。
結び目の数は伝統的に奇数と決まっているらしく、17または19の結び目を作って行くそうです。
結び目の羅列が既に美しい・・!
本番が近づいてくると、テントに集まって来る人がどんどん増えてきます。この祭りのために帰省する人も多く、再会を喜び合える場でもあります。完成に近づいていく松明を囲み、女性たちが中心になり準備した食事やお菓子を一緒に食べ、夜遅くまで歌い、踊り共に時間を過ごす日々が始まります。ある地区では本番前日、大きな火をくべ、ボルテージを一気上げていきます。
「イタリア好きvol.38」にも登場したアッロスティチーニ名人フランコさんと取材班の宿泊先を提供してくれたエンニオさんはともに、ファルキエのリーダー。前日フランコさんをエンニオさんが表敬訪問。二人とも誇らしげないい顔です。
いよいよ本番当日。聖アントニオ像を正面に綺麗に飾り付けられた松明が出番を待ちます。
重さ約250キロある松明は、各地区からトラクターや人が担ぎ、聖アントニオ教会前の広場に集結します。
トラクターで運ばれる松明。これはフランコさんの地区。
別の地区からも松明がトラクターで登場。
束の間一緒に合唱し、ワインで乾杯しお互いを称え合いながら、拍手で見送っていきます。
下りと上り坂がひたすら続く1,1kmの距離を担いで運ぶエンニオさんの地区もいよいよ出発。緊張マックスのとき登場したのがこの方。
リキュールづくりの職人フランチェスコさん。ふらっと登場し、みんなが大好きなジェンツィアーナをニコニコ笑顔で振る舞いはじめ、思わずエンニオさんもこの笑顔。
エンニオさんの掛け声で担ぎ上げらた松明もいよいよ出発。奏者なども乗り、4〜500kgになった松明を随時交代しながらゆっくりと広場まで運びます。
無事広場に到着し、松明をおろした瞬間もその達成感からお互い喜び称え合う瞬間です。
さらなるみどころは松明の立ち上げ。
松明の上部に紐を掛け引っ張りつつ、下からも押し上げていくのです。ここもリーダーの見せ所。集中しているフランコさん。
彼の掛け声と共にはしごで支えながら、少しずつ松明を持ち上げていきます。お隣でも立ち上げが始まった!と思ってよくよく見るとリーダーはヤギの絶品チーズを作るジャンピエトロさんではないですか!男前度増してます。
エンニオさんの地区は1段ずつ上げていくのではなく一気に引っ張り上げていきます。一瞬で立ち上げるので緊張もマックスになる瞬間です。ちなみに今年はわずか12秒という最短記録を樹立。
伝統的には長い葦の先端に火を着け点火しますが仕掛け花火や爆竹を使う地区もあります。仕掛け花火で点火された松明。全ての松明に火が灯され、夜空を照らす松明の美しさと迫力に見とれながら、皆の達成感に包まれた空気はたまらなく暖かいものでした。
そうそう、会場ではマウリツィオのポルケッタも大人気でした。
Fara.F.Pは人口2000人程の小さな村です。そこで、毎年15の地区がそれぞれに準備をすすめ、これだけの祭りを成功させていることに驚きと感動を隠せません。
フランコさんは、「続けていくことは決して簡単なことではない」と前置きし、「でも説明ができない血が自分を突き動かす」と言います。
小さい頃から親しみ憧れ、世代を繋いでいく。
地域をひとつにする伝統行事の底力がそこにあります。
先日の日曜日、来年の松明づくりに向けての葦集めにメンバーが再会していました。準備はすでに始まっています。