マンマのレシピ

マンマの紹介

  • グラッツィエッラ・ロッカ(Graziella Rocca)さん
  • ロンバルディア州ポンテ・ディ・レーニョ市在住
  • 【得意料理】タルト・ケーキ

お料理説明・背景

カモニカ渓谷で、代々レストランを経営する一家に生まれ育ったグラッツィエッラさん。ご両親からはもちろんのこと、特におばあちゃんの脇で料理の楽しさを小さいうちから覚えていったそう。彼女にとって、小さい時から料理を作るということは、生活の大事な大事な一部でした。そして、30歳でポンテ・ディ・レーニョ市に在住するご主人と知り合い、夏は避暑地、冬はスキー場として人気のあるこの町に引っ越してきました。とはいえ、夏の間は、町の中心地にある自宅ではなく、郊外のピズガーナ氷河の麓にある、庭と畑に囲まれた一軒家で愛犬と暮らしています。

彼女のことを知ったのは、数年前。この町にやって来る避暑客のために企画されるさまざまなイベントのパンフレットを見ていた私が”グラッツィエッラさんの料理教室を目にしたことがきっかけでした。料理好きの私がこのチャンスを逃すはずがありません。

料理教室は期待通り。澄んだ空気の中、和気あいあいと庭付きの自宅でおしゃべりしながら、大麦を使ったリゾット(オルツェット)やヴァルツァのインヴォㇽティーニ、桃のコンポートなどを習いました。その際に「料理教室をしているには訳があるの」とグラッツィエッラさんが言うので、聞いてみると、 当時まだ大学生だったお嬢さんが、ボランティアとしてアフリカのマラウイ共和国に滞在し、その貧しさを見て立ち上げた支援活動の資金を、お嬢さんと一緒に集めるためなのだそうです。

そんな心あたたかな彼女が、今回お披露目してくれたのが、ラバーブのタルト。 フランス在住の親友からもらったラバーブを畑に植えたら、どんどん増えたので、それを使っておいしいタルトを、と思いこのレシピが完成したそう。「ラバーブは、涼しい地方でよく育つ植物で、晩秋に葉は枯れてしまうけれど、放っておいても春になればちゃんと育ってくれるの。色がもっと濃い赤のものもあるけれど、私のはちょっと緑っぽいのよ。たくさん生えるから、ジャムにしてるわ。単独でジャムにしてもいいし、プラムと一緒にジャムにしてもいいのよ。とても人気があるの。鶏のささみに合わせたりと食べ方は色々だけれど、やっぱり私は甘いバージョンが好きなので、このタルトもぜひ試してほしいわ」と話してくれた。
「簡単だけど、このタルトを材料を言わずに食べてもらうと、みんな何だかわからないの。『後からラバーブよ』って言うと驚かれるわ」とおちゃめに話してくれた。 ラバーブは、なんといってもその栄養価値の高さが魅力的。ビタミンA、Bにカリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄分も含まれていて、タルトを食べながら、こんなに栄養もとれるなんて、この上ない幸せだと。さらに、マラウイのことや、お嬢さんのこと、キッチン用品のこと・・・・・・と話がつきません。2人のお嬢さんがいる彼女、今ではお孫さんもいるそうで、マンマ、じゃなく、ノンナですね。

チェルノブイリの孤児の女の子も養子として育てたそう。「その子は、2か月の滞在の予定で、我が家にやって来たのだけど、着いた翌朝、起きて、私のことを見て、『マンマ!』って呼んだの。どうしてこの子を見捨てることができるの!?」と根っからのボランティア精神あふれるグラッツィエッラさん。趣味は、料理とキノコ狩り、そしてもちろんボランティア。
ラバーブが手に入ったら、グラッツィエッラさんのことを思い出しながらぜひ挑戦してみてくださいね。 とっても簡単、そしてラバーブの酸味が魅力のタルト。心あたたまること間違いなしですよ。

レポート:池田 美幸(Miyuki Ikeda)
1986年よりイタリア在住。ミラノに住んでいるが、週末になるとイタリアで一番大きいステルヴィオ国立公園内にある山小屋へ逃避。日本で農学部を卒業。イタリアで手にしたチーズティスター・マエストロ、公認ワインティスターの資格を活かし、通訳、コーディネーターとして活躍中。

材料

ラバーブのタルト(26㎝タルト型1台分)

タルトの生地

・ラバーブ3本
・卵2個
・バター150g食塩入りバターでOK
・チェリー40個
・アマレット10個
・レモン1個
・ベーキングパウダー小さじ1
・小麦粉400gタイプ0、なければ薄力粉
・グラニュー糖150g

クリーム用

・卵3個
・グラニュー糖大さじ5
・生クリーム125cc

作り方

  1. ラバーブの皮をむき、一口大にカットする。(写真a 参照)
  2. カットしたラバーブをボウルに移しグラニュー糖大さじ1(分量外)をふりかけておく。(写真b 参照)
  3. 小麦粉に、グラニュー糖、卵、バター、レモンの皮(1個分)をすりおろして加える。(写真c 参照)
  4. 3を指先を使って混ぜ合わせる。(写真d 参照)
  5. よく混ざったら生地をオーブンシートに移し、のし棒を使って3㎜ほどの厚さに伸ばす。(写真e 参照)
  6. 5をオーブンシートごとタルト型に移し、形を整えたら、上からアマレットを手でつぶし振り掛ける。(写真f 参照)
  7. クリーム用に、ボウルにグラニュー糖と卵を入れ、泡だて器で泡立てる。(写真g 参照)
  8. ラバーブから出た汁気を捨て、ラバーブだけをタルトに載せる。(写真h 参照)
  9. 8にチェリーを彩りよく載せる。(写真i 参照)
  10. 7のクリームを9に加え、180度に加熱したオーブンで45分程焼く。(写真j 参照)
  11. 串を刺してみて、濡れていなければできあがり。濡れているようなら、オーブンに戻し10分程焼く。
  • a. ラバーブをカットする
  • b. グラニュー糖をふりかける
  • c. 小麦粉などの材料にレモンの皮をすりおろす
  • d. 指先を使って混ぜあわせる
  • e. 生地を厚さ3mm程度に伸ばす
  • f. アマレットをつぶしながら振り掛ける
  • g. クリームを作る
  • h. ラバーブから出た汁気を捨てる
  • i. ラバーブ、チェリーを載せる
  • j. クリームを加えてオーブンで焼く

お料理ポイント

ここでは、グラニュー糖を振り掛けて冷凍してあったチェリーを使いましたが、なければ苺で代用してもオーケー。もちろん、ラバーブだけでも。その場合は、ラバーブの量を倍にしてください。 ラバーブにグラニュー糖をかけて15分程経つと汁が出てきます。ちょっと酸味があるので、この汁は捨ててください。