お料理説明・背景
ポルペッテとは「団子」の形をした料理の総称。今回は牛肉のポルペッテをご紹介しますが、肉のポルペッテだけに限らず、野菜や魚を使ったポルペッテもあります。ポルペッテ自体はイタリア全土にある料理ですが、「シチリア風」はアーモンドが入るのが特徴。
イタリア料理は郷土色が強いと言われていますが、それはその土地にあるもので料理を作っていたから。現在のように流通が発達していなかったため、その土地以外の産物を一般民は入手することが難しく、その土地にできる産物でいかにおいしい料理を作ろうか……と創意工夫を重ねたのがイタリアの郷土料理となっています。
イタリアは日本と同様に南北に長く、地方ごとの生産地も特色があります。またフランス、オーストリア、アフリカとの国境にも接しているので異文化が入りやすく、豊かな郷土料理が生まれたのでしょう。さらにシチリアは年中温暖な気候のため、一年中作付けが可能です。季節の野菜や果物をはじめ、柑橘類、アーモンド・ピスタチオなどの木の実、オリーヴ等、豊かな食に恵まれています。なかでもシチリアはアーモンドの名産地ですので、アーモンドを使った料理が多いのも納得です。
さて、皆さんはアーモンドがどういう状態でなっているかご存知ですか?夏のシチリアの市場には、アーモンドが皮付きのままで並びます。皮というのは緑の外皮。 繊毛が付いたフサフサした感じの緑の皮をむくと、固いアーモンドの殻が出てきます。その殻を更に割ると、皆さんがよく目にする皮付きアーモンドが出てきます。アーモンドの収穫は夏、8月から9月にかけて。私の夫の実家にもアーモンドの木があるのですが、緑の皮がはがされて庭に干されているアーモンドは夏の風物詩でした。
今回、ポルペッテを教えてくれたカロリーナさんはシチリアのアーモンドが大好き!彼女は料理も上手ですが、お菓子を作るのも大得意。ポルペッテを教えてくれた日は、カロリーナさんのマンマのお誕生日。マンマのためにケーキを作っていました。「アーモンドは、料理に使ってもお菓子に使っても、とにかくコクが出て香ばしくておいしい。もちろん、ローストしてそのまま食べてもシチリアのアーモンドはおいしいのよね!」
と言いながら、そこにあったローストアーモンドをポリポリかじる食いしん坊のカロリーナさん。
確かにシチリア産のアーモンドってコクと甘みがあって、とってもおいしいんです。
シチリアのアーモンドはビタミンEが豊富に含まれていると言われています。 ビタミンEと言えば抗酸化作用……そうアンチエイジング! おいしく食べて、健康にもいいシチリア産アーモンド。 最近では製菓材料店で「シチリア産生アーモンド」も見かけますので、皆さんも是非シチリア産のアーモンドで今回のレシピをお試し下さいね!
2005年よりイタリアの南の島、シチリア島在住。力強い大地の恵みと美しい大自 然にすっかり魅せられ、シチリアに残ることを心に決める。現在、シチリア食文化を研究しつつ、トラーパニでシチリア料理教室を開催。また、シチリア美食の旅をコーディネートする「ラ ターボラ シチリアーナ」の代表&コーディネーターとしてトラーパニで活動中。 シチリア美食の旅をコーディネート「ラ ターボラ シチリアーナ」
作り方
下ごしらえ
- 固くなったパンを牛乳に浸しておく。(写真a 参照)
- フライパンにアーモンドとオリーヴオイルを少々入れ、弱火でこんがり色が付くまでいためたら冷ましてから粗みじん切りにしておく。(写真b 参照)
- ニンニクは皮をむいてみじん切りに。
作り方
- トマトソースを作る。鍋に粗みじん切りにしたタマネギとオリーヴオイルを入れ、タマネギが透明になるまでいためる。(写真c 参照)
- パッサータを入れ、塩、バジル、水200ml(分量外)を加えて15分煮る。(写真d 参照)
- ポルペッテを作る。ボウルに固くなったパン以外のAの材料を全て入れる。(写真e 参照)
- 下ごしらえ1で牛乳に浸したパンは、軽く絞ってから、両手でほぐすようにして3に加えたら、全部がよく混ざるようにこねる。(写真f 参照)
- ワインを軽く手に付け、直径3cm程度のポルペッテに丸めていく。(写真g 参照)
- フライパンにオリーヴオイルを熱し、5のポルペッテを入れ、全体をこんがりと焼く。(写真h 参照)
- 6のポルペッテを、2のトマトソースの中に入れ、20分煮込む。(写真i 参照)