会心の出来です!マテーラ2019公式プログラム『南方からみたルネッサンス』展
欧州の文化の首都肝いりの『南方からみたルネッサンス』展が、マテーラ市で9月15日まで開催されています。
ルネッサンスなのに南イタリア。違和感ありますよね。違和感しかないですよね。案に違わず南イタリアのルネッサンスに着眼した企画展は、イタリアでも初!
イタリア史・文化史・美術史で一番検証される時代=ルネッサンス期が、ローマ、フィレンツェ、ヴェネツィア、ミラノから語られるばかりだった中、ルネッサンス論では初めて、南イタリア視点でルネッサンスを捉え直そうという試みなのです。
本展には「15~16世紀のマテーラ、南イタリア、地中海」を基点に、イタリアおよびヨーロッパ各地のそうそうたる美術館、博物館、史料館や教会から、180を越す作品が集められました。
企画展とはいえ、これだけの作品を一斉にお借りしてくるには、大変な裏方秘話もあった模様。欧州文化首都さまさまです。
フィレンツェでは、マザッチオが『楽園追放』(1427)でルネッサンスの偉大な一歩を踏み出し、“偉大な”ロレンツォ・デ・メディチの大いなる文芸庇護の下、ダ・ヴィンチがたった21歳で『受胎告知』(1472)で名をあげ、スペイン女王の援助でコロンブスがアメリカ大陸に到着し、ローマでは、いよいよミケランジェロがシスティーナ礼拝堂の天井画(1505‐)に着手した一方その頃…
アラゴン(後のスペイン)が副王をおいて統治していたナポリ王国では、1503年以降、劇的に人口が増加。イスタンブールに次ぐ地中海第二の都市に躍り出ていました。
教養豊かで芸術に造詣の深いレネ・ダンジュー、続く“雅量の”アルフォンソ1世と統治者にもまずまず恵まれ、南のルネッサンスが花開いたとして不思議はありません。
13世紀以降、ヨーロッパ、ことにイタリアの船乗りに整えられていった航海図の特性に、翼のあるドラゴン、海の怪獣や人魚が、気真面目に描きこまれています。
ウンベルト・エーコ『バウドリーノ』さながらの想像上の生き物は、中世の(キリスト教の立場から世界を解釈した)伝統的な「世界地図」観は引きずりつつも、当時”発見された”ばかりの「アジア」(1447年一商人の見聞録がまとめられた)の新情報とおおらかに混在しています。
世界地図の他にも、航海図から天地図、精巧なアラブの天体観測器、あの町の鳥瞰図まで、まじまじ見ているとあっという間に時間が経ってしまいます。
事実は、ナポリのヌォーヴォ城のアルフォンソの凱旋門のために、ナポリ王アルフォンソ自らドナテッロに発注したもので、完成していれば、凱旋門の中央には実寸の3倍はあろうかという「騎馬姿のアルフォンソ像」が据えられるはずでした。
遠くから見上げて鑑賞するようデフォルメされた、迫力の作品を間近で観察できます。
そして『受胎告知の処女』。
松岡正剛氏は「ルネサンス社会は常軌を逸するめちゃくちゃの社会だった」と表現しましたが、いわんやナポリ王国のルネッサンスをや。
180という展示品の集合体からは、ナポリ王国の底抜けに明るい気風と喧噪が立ちのぼってくるようで、私のような基礎知識がごっそり欠けている者でも、2時間ほどで半分しか回れませんでした(あと2回は見に行こう)。
ぜひ時間に余裕を持ってお出かけください♪
Matera2019公式プログラム『南方からみたルネッサンス展』
~2019年9月15日まで
木曜~火曜 09:00~20:00
水曜 11:00~20:00(入館はいずれも19:00まで)
ランフランキ館(写真)
Palazzo Lanfranchi
住所:Piazzetta Pascoli, Matera
入場には下記、マテーラ2019パスポートが必要です。
・Passport for Matera 2019(年間パス19€/大人。2019年中はパスポート提示で、マテーラ市内バス全路線への乗車が無料)
・Daily Passport (1日パス10€/大人、購入当日の深夜00:00まで有効)
お得なデイリーパスポートは、同展チケット売り場またはMatera 2019 Info Pointで購入可
ルネッサンスなのに南イタリア。違和感ありますよね。違和感しかないですよね。案に違わず南イタリアのルネッサンスに着眼した企画展は、イタリアでも初!
イタリア史・文化史・美術史で一番検証される時代=ルネッサンス期が、ローマ、フィレンツェ、ヴェネツィア、ミラノから語られるばかりだった中、ルネッサンス論では初めて、南イタリア視点でルネッサンスを捉え直そうという試みなのです。
本展には「15~16世紀のマテーラ、南イタリア、地中海」を基点に、イタリアおよびヨーロッパ各地のそうそうたる美術館、博物館、史料館や教会から、180を越す作品が集められました。
企画展とはいえ、これだけの作品を一斉にお借りしてくるには、大変な裏方秘話もあった模様。欧州文化首都さまさまです。
勉強しておけばよかった世界史
時代設定は、ナポリ王国1438~1535年のおよそ100年間。フィレンツェでは、マザッチオが『楽園追放』(1427)でルネッサンスの偉大な一歩を踏み出し、“偉大な”ロレンツォ・デ・メディチの大いなる文芸庇護の下、ダ・ヴィンチがたった21歳で『受胎告知』(1472)で名をあげ、スペイン女王の援助でコロンブスがアメリカ大陸に到着し、ローマでは、いよいよミケランジェロがシスティーナ礼拝堂の天井画(1505‐)に着手した一方その頃…
アラゴン(後のスペイン)が副王をおいて統治していたナポリ王国では、1503年以降、劇的に人口が増加。イスタンブールに次ぐ地中海第二の都市に躍り出ていました。
教養豊かで芸術に造詣の深いレネ・ダンジュー、続く“雅量の”アルフォンソ1世と統治者にもまずまず恵まれ、南のルネッサンスが花開いたとして不思議はありません。
なにはともあれ世界地図&航海図
海運国ジェノヴァじるしのアーモンド形の世界地図を納めたセクションI「地中海:海、航路、交易、権力と王朝」がまずもって面白い。13世紀以降、ヨーロッパ、ことにイタリアの船乗りに整えられていった航海図の特性に、翼のあるドラゴン、海の怪獣や人魚が、気真面目に描きこまれています。
ウンベルト・エーコ『バウドリーノ』さながらの想像上の生き物は、中世の(キリスト教の立場から世界を解釈した)伝統的な「世界地図」観は引きずりつつも、当時”発見された”ばかりの「アジア」(1447年一商人の見聞録がまとめられた)の新情報とおおらかに混在しています。
世界地図の他にも、航海図から天地図、精巧なアラブの天体観測器、あの町の鳥瞰図まで、まじまじ見ているとあっという間に時間が経ってしまいます。
いわくつきのドナテッロ
見逃しようがないのは、ドナテッロの巨大な『カラファの馬の頭部』。その巨大さ、古典的な作風がヴェルギリウスの金属の馬像の伝説と相まって、19世紀になるまで、古代ギリシア-ローマ文明の遺産だと信じられてきました。事実は、ナポリのヌォーヴォ城のアルフォンソの凱旋門のために、ナポリ王アルフォンソ自らドナテッロに発注したもので、完成していれば、凱旋門の中央には実寸の3倍はあろうかという「騎馬姿のアルフォンソ像」が据えられるはずでした。
遠くから見上げて鑑賞するようデフォルメされた、迫力の作品を間近で観察できます。
目玉はコーラントニオ、アントネッロの一枚
目玉は『書斎の聖ヒエロニムス』。そして『受胎告知の処女』。
松岡正剛氏は「ルネサンス社会は常軌を逸するめちゃくちゃの社会だった」と表現しましたが、いわんやナポリ王国のルネッサンスをや。
180という展示品の集合体からは、ナポリ王国の底抜けに明るい気風と喧噪が立ちのぼってくるようで、私のような基礎知識がごっそり欠けている者でも、2時間ほどで半分しか回れませんでした(あと2回は見に行こう)。
ぜひ時間に余裕を持ってお出かけください♪
Matera2019公式プログラム『南方からみたルネッサンス展』
~2019年9月15日まで
木曜~火曜 09:00~20:00
水曜 11:00~20:00(入館はいずれも19:00まで)
ランフランキ館(写真)
Palazzo Lanfranchi
住所:Piazzetta Pascoli, Matera
入場には下記、マテーラ2019パスポートが必要です。
・Passport for Matera 2019(年間パス19€/大人。2019年中はパスポート提示で、マテーラ市内バス全路線への乗車が無料)
・Daily Passport (1日パス10€/大人、購入当日の深夜00:00まで有効)
お得なデイリーパスポートは、同展チケット売り場またはMatera 2019 Info Pointで購入可