お料理説明・背景
シチリアの最西端に位置する街トラーパニは、半島のように海に突き出しているため、東を除いて3方向が海に面しています。
そのトラーパニから更に西に25kmほどのところにあるエガディ諸島付近は、暖流と寒流が交わる最高の漁場! 漁が盛んなトラーパニは、街の先端に一般の人も買うことができる魚市場があり、釣れたての鮮魚がズラリと並びます。中でもサバは一年を通して市場に並び、家庭料理には欠かせない食材です。
そして今回ご紹介する、「サバのトマト煮オレガノ風味」はトラーパニを代表する伝統的家庭料理の一つ。シチリアの他の地域ではあまり見かけることがない家庭料理です。
シチリアで市場に並ぶのは真サバではなくゴマサバ。体にゴマのような斑点があることからそう呼ばれているそうです。
日本ではゴマサバは脂が乗ってないから、マサバの方がおいしい、と言われていますが果たしてそうでしょうか?トラーパニの魚市場に並ぶゴマサバは通年、程よい脂が乗っていてとってもおいしい! グリルで焼いて、おいしい塩をふりかけ、レモンをギュ! これもまた、今回ご紹介する料理に並ぶ、最高のサバの食べ方です。
イタリア語の料理名はSgombro(ズゴンブロ)は“サバ”、Lardiato(ラルディアート)は“ラードの”という意味。でもこの料理にはラードは入りません。さてこの名前はどこから来たのでしょう? Salsa Lardiata(サルサ・ラルディア―タ)というラードが入るナポリのパスタソースと材料が似ているとか、昔、狩りに出る時にラードを持って行って野ウサギを仕留めた時に食べる料理Coniglio Lardiato(ウサギのラルディアート)に調理法が似ている……とか諸説ありますが、その真相は分からぬまま。
一つだけはっきりしているのはこの料理が、シンプルだけどとーってもおいしいということ!
そして最後に忘れてはならないのが、シチリア産のオレガノ。オレガノを入れる時には、かならずよーく揉みながら入れること。シチリアの香りが一気に開きますよ!
2005年よりイタリアの南の島、シチリア島在住。力強い大地の恵みと美しい大自 然にすっかり魅せられ、シチリアに残ることを心に決める。現在、シチリア食文化を研究しつつ、トラーパニでシチリア料理教室を開催。また、シチリア美食の旅をコーディネートする「ラ ターボラ シチリアーナ」の代表&コーディネーターとしてトラーパニで活動中。 シチリア美食の旅をコーディネート「ラ ターボラ シチリアーナ」
作り方
下ごしらえ
- サバは3枚におろしキッチンペーパーで水気を拭き取る。(写真a 参照)
- トマトは皮を湯むきをした後、横半分に切って種を半分程度、スプーンで取り出し、一口大に切っておく。(写真b 参照)
- ニンニクは皮を剥き、芽があれば取り除く。
作り方
- ニンニクをモルタイオ(すり鉢)に入れ、クリーム状になるまでよくすったら、下ごしらえ2のトマトを少しずつ入れ、その都度、滑らかになるまで潰す。(写真c 参照)
- サバに軽く薄力粉をはたく。(写真d 参照)
- フライパンにオリーヴオイルを5mm程度の高さまで入れ、サバを揚げ焼きにする。(写真e 参照)
- 余ったオリーヴオイルをキッチンペーパーで拭き取り、サバをフライパンに戻したら2のソースの半量をサバの上に乗せフタをして10分弱火で煮込む。(写真f 参照)
- サバをひっくり返し、残りのソースとオレガノの半量を上にのせ、フタをして更に10分煮込む。(写真g 参照)
- 残りのオレガノを入れたら、フタをして2~3分蒸らす。(写真h 参照)