サンジョバンニ祭(Fiera di San Giovanni)
イタリア好きの皆様、いかがお過ごしですか?
イタリアは小学校がもう夏休みに入り晴天続きの毎日です。
そんな中、6月最終週モデナ県のスピランベルト市では毎年サンジョバンニのお祭りが行われます。
今年も6月20日から24日まで、クラッシックからロックまで様々なタイプの野外ライブや、ショークッキング、ワインやノチーノ(くるみのリキュール)の試飲、ストリートフードトラックがずらりと並び街全体が色々な催しで盛り上がるそんなお祭りです。
中でも23日の日曜日の夜は第53回目になる伝統的製法で作られたバルサミコ酢のパリオ(品評会)の入賞者の発表が行われます。主催者はスピランベルト市に本部のある伝統的バルサミコ酢愛好者協会。私たち鑑定士が4月から毎晩鑑定会を行い、2000から応募されるバルサミコ酢を鑑定し、勝者を決めるのです。
伝統的なバルサミコ酢と、市場に出回るバルサミコ酢では決定的な違いがあり、品評会に応募される殆どが一般家庭で大事に作られてきたもので、市場に流れることはほとんどないのが現状です。
市場統計において、バルサミコ酢という名前の商品の中で、伝統的製法のものは0、001%、年間約2万Lとのことですから。本当に希少価値の高いものです。
この上の写真沢山のバルサミコ酢が並べられていますが、この中のひと瓶も伝統的な製法で作られたものはありません。
日本にもバルサミコ酢という名前のついた商品はたくさん出回っており、価格も決してお安いものではないと思いますが、伝統的製法のバルサミコ酢とは全く別物で、そのほとんどが、葡萄シロップとワインビネガーを混ぜた類似商品です。価格の高いものは一定期間樽内での熟成を行なっていますが、鑑定をすればその違いは一目瞭然。
鑑定士の中では、市販品が鑑定サンプルとして鑑定の中に入ると香りを嗅いだ瞬間、テーブルについた鑑定士全員が鑑定する価値もないとサンプルをテーブルに投げ出すくらいです。(実際最後まで鑑定しますが点数は惨憺たるものです)
伝統的なバルサミコ酢というのはどんな定義のものなのでしょうか?DOP(保護指定原産地表示)の規定においては
1、原材料 ぶどうの絞り汁を直火で煮込んだモストコットのみ
葡萄の品種もモデナで栽培される伝統品種であること
2、生産から加工、熟成までモデナで行ったものであること
という事が規定されています。
3、熟成期間は種類の違う樽を使い12年以上熟成されたものであること
簡単な規定ですけれど、大量生産には向かないというのがお分かりになると思います。
近年パリオで賞を受賞するバルサミコ酢の殆どが、40年以上の熟成期間を経たものであるのが最近の傾向です。
本当に気の遠くなるような年月と手間を必要とする伝統的なバルサミコ酢ですが、年間に生産できる量は1セットの樽例えば50、40、40、20、15Lの種類の違う木材の樽がセットになったとして最終の樽から年間1〜2Lと本当に少しで、昔は、貴族か、裕福な家庭の趣味として発祥したというのがうなずけます。バルサミコ酢を作っているほとんどのモデナ人は金儲けのために作っているわけではなく、バルサミコ酢を愛し、モデナの歴史や文化を愛する人たち。そして今なおバルサミコ酢の醸造室を持つということはステータスシンボルであり、家庭の中で消費するか、特別な贈答品として扱う場合がほとんどで、特別な存在であることに間違いありません。
そんな希少な伝統的製法のバルサミコ酢、今年はどなたが賞を受賞されるのか楽しみです。
スピランベルト市のお祭りについてはこちらのサイトより
https://www.fierasangiovanni.it/edizioni/2019/sabato-15-giugno-anteprima/
一時帰国をして神戸で2019年6月25日に自然料理アカデミーさん主催で、バルサミコ酢講習会をします!
もちろん市場に出回らない我が家の家宝である、1700年代に作られた樽から取り出した、特別なバルサミコ酢をお持ちします。
バルサミコ酢の歴史、伝統、作り方、化学的な見地からの検証、バルサミコ酢を使ったモデナの郷土料理で昼食会と盛りだくさんの講習会です。
まだ数席余裕がありますので、お早めにお申し込みください。
お申し込み先はhttps://m.facebook.com/naturalcooking.ac/
お待ちしております!