ラファエロの故郷、ウルビーノの100%満喫街歩き!
皆さんこんにちは!
今日はマルケ州唯一の世界遺産の街、ウルビーノを満喫できる街歩きをご紹介したいと思います。
ウルビーノと言えば、画家ラファエロが生まれた街だという事や、フェデリコ公爵がルネッサンス文化を開花させた事で知られていますが、小高い丘の上に聳える街の出で立ちは、その昔厳しい気候の中で細々と農耕をしていたアペニン山脈沿いの山地から、宮廷文化が花開いた街へと変身したその変貌に思いを馳せずにはいられない不思議な魅力のある街です。
今日は、限られた滞在時間でこの街を満喫できる周遊を現地在住者の視点から語ってみたいと思います!
イタリアで丘の上にある街同様、坂道の多いウルビーノ。大学の街ということもあり、学生さんたちの足腰が鍛えられそうな坂道が沢山。でもこの街の起伏や複雑な細い小道の連なる様子が、街に独特の魅力を添えていて思わずどこに繋がっているのかな?と通ってみたくなるのです。
まず効率良く歩こうと思うのなら、街の一番小高い所にあるレジスタンス広場で街全体の風景を楽しみ、ローマ広場でラファエロの像を拝んだあとラファエロ通りを下り、ラファエロの生家へ向かう、というルートがお勧めです。このルートですと、一番高い所から順に下へ降りていく形に。もちろんスーツケースなどを持っていない場合に限ります(笑)。
レジスタンス広場から眺める街の景色はそれはそれは美しく、周りの緑の丘々が風景を引き立ててくれます。こんな小さな街でもユネスコの世界遺産に登録されたことがうなずける魅力がありますよ🎵
画家ラファエロの生家の魅力
坂道の通りにポツンとある比較的質素な入口のラファエロの生家。実は中へ入るとその広さと建築物の入り組んだ作りに驚きを覚えるはず。ここは通りに面したラファエロの父親の実家と、その後ろ側にあったラファエロの母親の実家を繋げて出来たものだそう。この話が本当であればもともとラファエロの父親と母親はご近所さんだった、ということになりますね!
父親ジョバンニもウルビーノの宮廷画家だったため、建物は工房兼住宅でした。現在はラファエロアカデミーの管轄であるギャラリースペースがもと工房だった場所だと考えられており、居住空間はとても広々としていて広間の作りや中庭やキッチンなどからも、宮廷画家としての経済的な余裕があり、文化的な生活をしていたことが伺えます。
中庭に見られるこの興味深い道具、何だか分かりますか?
これはラファエロの父親ジョバンニが、絵を描くための顔料を摺っていた臼のような道具です。右上に見える道具がすりこぎ,といったところでしょうか。当時使われていた道具が現在でも見られる、というのは本当に貴重で、見る度に感動を覚えます!
ラファエロの生家をあとにしたあとは、広場まで真っ直ぐ降りずに、横道にそれて2つほど素晴らしい教会を見て行きますよ🎵
1つめはバロッチ通りにあるサンジョバンニ祈祷堂。ここにはサリンべー二兄弟によるキリストの生涯のフレスコ画が見られますがこの作品はウルビーノでもゴシック後期からルネッサンス初期の移り変わりにある、画風の変化が見られるとても意味深い作品です。近年修復が終わり、素晴らしい状態でのフレスコ画に出会うことが出来ます。
こちらの教会を後にし、その最寄りにあるサンジュゼッペ祈祷堂にも寄りましょう。
ここにも思わぬお宝が…
こちらはウルビーノのマニエリズムの巨匠フェデリコ ブランダーニが手掛けたプレゼーぺ。キリスト生誕の様子を彫刻作品にしたものは沢山存在しますが、ほぼ実物大で作られたこの彫刻は息を飲むほど素晴らしいものです。クリスマスの時期に限らずその美しさを楽しむために、是非足を運んでみるべき場所です。
さて、いよいよドウカーレ宮殿へ。
フェデリコ ダ モンテフェルトロの出現により一気にウルビーノで花開いたルネッサンス文化とそこに生まれたラファエロの”黙る女”をはじめ、ピエロ デッラ フランチェスカの代表作群やジョバンニ サンテイのコレクションなどルネッサンス時代のこの街を思い描くのに十分な作品群が収められた美術館です。
宮殿の入口となっている広場。横には大聖堂があり見どころのある建築物が集合したゾーンです。
エントランスから入ると広い回廊があり、ここにあるチケットオフィスでチケットを購入します。回廊の壁にフェデリコの息子グイドバルドが彫らせた父を讃えるラテン語の詩が帯状に刻まれています。
宮殿の中の作品の面白さはもちろん実際に見なければ伝わりませんが、やはりこの寄せ木細工のみで装飾されたフェデリコの書斎は、小さいながら圧倒される技術と多くの寓意が感じられ、フェデリコの人柄を想像させるとても貴重な文化財だと思わずにはいられません。
書斎の上部にはフェデリコと関わりのあった教皇や、芸術家、数学者、天文学者などの文化人の肖像が飾られています。
残念ながらこれらの作品の多くはナポレオンによりフランスに持ち出され、現在はルーブル美術館に収蔵されています。この写真は、全ての肖像画をオリジナルの状態で書斎に展示するというテーマの展覧会で、ルーブル美術館から貸し出された作品とともに書斎が復元された様子を写真に収めたものです。
この美術館の至宝、ラファエロの”黙る女”。
出生の地でありながら、ここウルビーノで会う事の出来る代表作(小さな作品はあります)はこの1点のみ。けれどもこの作品に会いに毎年どれだけの訪問者がこの街に訪れるのかを思えば、やはりこの絵の魔力みたいなものを感じずにはいられません。
“天使の祈祷堂”と呼ばれる館内の小さな祈祷堂。
フェデリコの愛した青と金の組み合わせと、一つ一つの天使の顔の表情が違うレリーフが、神聖ながら異色な空間を演出しています。
作品が数多くあるため、これ以上の作品をご紹介するのは割愛しますが、時代を遡り当時の作品に触れる感動を少しでも多くの人に感じてもらえれば..とここに来る度に強く感じる素晴らしい美術館です。
地下の空間には、宮廷文化の縁の下の力持ちである使用人達が使っていたキッチンや、フェデリコの浴槽、厩や雪の貯蔵庫など、宮殿の生活の裏舞台を見る事が出来、なかなか興味深いスペースになっているので、一見の価値はあると思いますよ!
文化芸術を中心にご紹介したショートトリップはいかがでしたか?
丘の上に聳えたち、モンテフェルトロの自然に囲まれて四季折々の魅力を見せてくれるウルビーノ。
何度行っても飽きることがなく、いつも新しい発見があるのが、イタリアの古い街の魅力ですね。
今度はどんな切り口で、この奥深い街のお話が出来るか..ゆっくりアイデアを温めてみようと思います!
では、また🎵