お料理説明・背景
ジンネア さんは 、ドイツ語の翻訳や、観光通訳の資格を持つ働くマンマ。2人の男の子のお母さんです。お料理は彼女にとって仕事の息抜きも兼ねているそう。
ノナントラには、ヨーロッパでも3本の指に入る大変権力の強い、ベネディクト会のノナントラ大修道院修道院がありました。ブドウ畑や畑を所有するのは通常王侯貴族、権力のある枢機卿など権力者でなければ所有できない時代でした。ノナントラは中世この大修道院の領地であり、広大な土地を有していました。当時ノナントラには22の小作人の一族がおり、その一族たちの惜しみない功労により運河工事が完成した時、大修道院長からこの小作人一族たちに、パルテチ・パンツア・アグラリア(いわゆる農業組合)を作ることと、ノナントラの広大な土地を使用する許可、そして土地を所有し守る権利を与えました。
通常古代からの森に農業組合の参加者の名前をつけ、一族の子孫はその時から今日まで、この土地を継続的に管理してきました。ジンネアさんのシギノルフィという苗字は、ノナントラにある中世から始まった登録された22の一族の名の一つ。この苗字を所有しているということはノナントラ市民の中でも長い市の歴史に貢献したという誇りがあるそうです。
このスープはどちらかといえば、ロマーニャ地区のボローニャ県で食べることが多いのですが、ノナントラ市はモデナ県とボローニャ県の県境に位置する市ですから、ノナントラでもよく食べられています。そして、もともとこのスープは、この地域でクリスマスや復活祭に食べられていた、庶民のささやかな贅沢の中から生まれた特別なものだったとか。
「最近では、ノナントラの街中のお惣菜店やスーパーにも売っているけれど、我が家では手作りしているわ。作っていると焼き上がりの香りに誘われて、うちの息子たちがキッチンにやってくるの。包丁で切り始めるとすぐ横から手を出して味見しているわね。残ったら冷凍してとっておけるから、うちではいつも多めに作るの。ネットでも色々なレシピがあって、色々試してみたのだけれど、アルトゥーズイの料理書N.16 “Pasta di semolino composta II” セモリナ粉のコンポスタII が一番。うちの配合もほぼそれに準じて作っているわ。」とのこと。
そんな話しをしながらコンポスタを切っていると、今回も子供たちがわらわらと寄ってきて随分食べられてしまいました。残った分はビニール袋へ小分けして冷凍庫へ。冷凍庫へちゃんと作ったものが入っていると翻訳業の締め切りで時間がない時もサッと出して食べられるから、スープストックと共に大量に作って冷凍しておくそう。働くマンマは準備も隙がないようです。
エミリア・ロマーニャ州在住。日本で企業の管理栄養士として5年間勤務後、2005年渡伊。2007年、モデナ屈指の旧家に嫁ぎ、一族に継承されていたバルサミコ酢の樽の管理を夫と共に引き継ぐ。2009年よりスピランベルト市にある「伝統的なバルサミコ酢 愛好者協会」(Consorteria dell’aceto balsamico tradizionale di Modena)に所属し、バルサミコ酢マエストロ試飲鑑定士資格を目指し、研鑽を重ねている。バルサミコ酢の醸造の傍ら、イタリア人向け日本家庭料理教室の講座を北イタリア各所に持つ。また、自宅にて醸造室の試飲見学会、バルサミコ酢を使った食事会、料理教室を主宰。バルサミコ酢醸造のエピソード、見学会などは Facebook Akane in balsamiclandにて紹介中。
作り方
- 肉のスープを作っておく。すべての材料と3Lの水を入れ、強火にかけ、アクが出てきたら綺麗にとり、弱火にして3時間ほど煮込む。(写真a,b,c 参照)
- パルミジャー・レッジャーノをおろしておく。
- 28cm×22cmのバットにオーブンシートを引いておく。
- オーブンを180度に温めておく。