お料理説明・背景
ステファニアさんは、先祖代々モデナ県出身の生粋のモデナ人。郷土料理を出すレストランで長く働いていたこともある実力派。現在21歳の長男を筆頭に男女4人のお子さんがいるマンマです。
「このキノコのスカロッピーネは、森の香りがする我が家で一番の人気メニュー。週末になると、家族みんなでアッペンニーノ山脈にある山の家に出かけるの。特に末っ子のセバスティアーノ(10歳)はキノコ狩りが大好き。何時間もかけて森の中を歩き回り、収穫の成果を得意そうな顔で私に持ってきてくれるのよ。この時期はなんといってもポルチーニ。今日使った乾燥ポルチーニは2週間前にセバスティアーノがとってきてくれた中でも特大のもので、なんと700gもあったのよ! 一緒に切って、太陽の下で乾燥させたものを特別に持ってきたわ。」とのこと。ちょうどその時の写真がこれ。
生に比べて乾燥したポルチーニは香りが増してお料理のアクセントにもなるので、生のキノコがたくさんあっても、あえて一部は乾燥のポルチーニを混ぜるそう。
料理を教えていただいた日は土曜日、セバスティアーノと旦那さんの姿が見えないので聞いてみると、今日もやっぱりキノコ狩り。少し雨が降っている日でしたが、明日は晴れの予報。明朝のキノコ狩りの成果が期待できそう。栗の木が多い山の斜面の落ち葉の陰を注意深く探すのだそうです。
スカロッピーネはフランス語のエスカロップ(肉の薄切りの意)からきている調理法と言われています。19世紀、エミリア・ロマーニャ州 フオリンポポリ生まれのアルトゥーズィ・ペッレグリーニはイタリアで最も知られた料理書「アルトゥーズィ」の中でもいくつものスカロッピーネと名前のつく薄切り肉を使用し、白ワインや肉のスープストックを加え、バターや、ラードなどの油脂分と小麦粉でとろみをつけたソースにする調理法を紹介しています。
ステファニアさんは、キノコ以外にも、バルサミコ酢や、レモンを使用したスカロッピーネもよくつくるそうですよ。
エミリア・ロマーニャ州在住。日本で企業の管理栄養士として5年間勤務後、2005年渡伊。2007年、モデナ屈指の旧家に嫁ぎ、一族に継承されていたバルサミコ酢の樽の管理を夫と共に引き継ぐ。2009年よりスピランベルト市にある「伝統的なバルサミコ酢 愛好者協会」(Consorteria dell’aceto balsamico tradizionale di Modena)に所属し、バルサミコ酢マエストロ試飲鑑定士資格を目指し、研鑽を重ねている。バルサミコ酢の醸造の傍ら、イタリア人向け日本家庭料理教室の講座を北イタリア各所に持つ。また、自宅にて醸造室の試飲見学会、バルサミコ酢を使った食事会、料理教室を主宰。バルサミコ酢醸造のエピソード、見学会などは Facebook Akane in balsamiclandにて紹介中。
作り方
- 乾燥ポルチーニ茸は水に戻しておく
下ごしらえ
作り方
- ニンニク、タマネギはできるだけ細かくみじん切りにする(フードプロセッサーを使ってもよい)。
- フライパンに半量のバター、オリーヴオイルを引き、半量のニンニク、タマネギを透明になるまでいためる。(写真a 参照)
- 肉に塩、コショウをし、小麦粉をまぶしながら2のフライパンに入れていき、中火弱で焼いていく。(写真b 参照)
- 肉に火が通ったら、バットに取り出しておく。(写真c,d 参照)
- 同じフライパンに残りの、オリーヴオイル、バター、ニンニク、タマネギを入れ、タマネギが半透明になったら、薄切りにしたマッシュルーム、戻したポルチーニ茸の水分を切ったものを加え、強火でいためる。(写真e 参照)
- キノコに火が通ったら白ワイン、ポルチーニ茸の戻し汁を加える。(写真f 参照)
- 煮立ったら肉を戻し入れ、仕上げに刻んだイタリアンパセリを振りかける。(写真g,h 参照)