お料理説明・背景
パドヴァの中心地近くに料理サロンを持ち、パドヴァのシニョーラたちを対象にした料理サロンを主宰しているステファニア。パドヴァに料理レッスン及びケータリングサービス等の活動の本拠地を置くが、ロヴィーゴ県オッキオ・ベッロという、ロンバルディアやエミリア地域との境となる土地に自宅を持つ。古い農家の一軒家で、周囲は自宅敷地となる畑に囲まれ、外観は素朴でシンプルだが、内部はモダンな内装が施され、おじいさんの代から受け継いだという調度品がなんともよい具合に収まっている、素敵なご自宅だ。大きな畑を構え、季節の野菜を作り、鶏を飼い新鮮な卵を得る…。非常に素敵なセンスのよい田舎での暮らしが彼女の根源。
その地域はポー川流域に広がるイタリア最大の平原、パダーナ平原となる。ヴェネト、ロンバルディア、エミリア=ロマーニャにまたがり、広大で肥沃な大地をベースとした酪農が盛んな土地だ。
ここで飼育されている豚や牛から得られる産物を組み合わせたのがこの料理。主となる素材は豚肉と牛乳。組み合わせとしては少々不思議な感じもするが、土地ならではの生産物を合わせて鍋で長時間煮込む、という農家らしい料理といえる。ヴェネト州を中心に、周辺地域にてよく知られる定番料理ではあり、だからこそ、各家庭の味がある。
ステファニア自身にも、彼女のマンマが日常によく作っていた料理の一つという記憶がある。それを彼女風に少しだけアレンジを加えたのが、現在の完成形。彼女のマンマは牛乳とバターで仕上げていたが、彼女のアレンジではバターを使わずに、牛乳に生クリームを加えている。液体だった牛乳とクリームが、ホロホロと粒状になるまで長時間煮込む。濃厚そうだが、脂身の少ない豚肉を使うので、肉自体は意外と淡白。そこに牛乳特有の滋味なうまみをソースとすることでまとまる一皿だ。
付け合わせには、炒め煮した野菜をたっぷりと添えて。彼女の自慢の畑で採れる季節の野菜を添えることで、さらに”ステファニア風”に。
ヴェネトおよびフリウリを中心に、通訳、翻訳、地元マンマの料理レッスン及び生産者訪問コーディネイト、そして野菜を中心とする農産品の輸出業などの活動を行う。 ブログ『パドヴァのとっておき』にて料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを発信中。
作り方
- 豚肉は周囲の脂を取り除く。この際、完全に取り除くのではなく、適宜に残すのがよい。(写真a 参照)
- 鍋にオリーヴオイルを温める。豚肉を入れ、表面をよく焼き付ける。(写真b 参照)
- 肉にティースプーン1杯ほどの塩を全体にふりかける。
- 別に温めておいた牛乳を一気に加え、続けて生クリームも加える。(写真c 参照)
- 強火で一度沸騰させ、その後少し火を弱める。軽く蓋をし、いつも表面がフツフツとしている火加減を保つようにする。(写真d 参照)
- 30分煮込んだところで塩を少々入れ、肉の上下を返す。
- 肉が軟らかくなるまで約1.5時間ほどかけてゆっくり煮込む。途中約30分毎に上下を返し、火が均等に肉に入るようにする。
- 煮込んでいるうちに、牛乳が写真のような粒状になってくる。(写真e 参照)
- 先の尖ったナイフを刺して肉の状態を確認する。この時点でソースの様子は写真のような状態。肉が軟らかくなっていたら、肉のみを取り出す(写真f,g 参照)
- 鍋に残った煮汁は水分を飛ばすようにさらに火を入れる。薄い茶色の焦げ色がついてくるが、焦がし過ぎないように注意しながらソースを仕上げる(写真h,i 参照)
- 肉の粗熱がとれたら、5mmほどの厚さにスライスする。(写真j 参照)
- 提供する際には、スライスした肉と少しの牛乳(分量外)を鍋に入れ温める。(写真k 参照)
- ホロホロ状のソースは、並べた肉の間にもスプーンで丁寧にのせる。(写真l 参照)
- 季節の野菜の炒め煮などを添え、完成。