マンマの紹介
- アミンダ・ドナート(Aminda Donato)さん
- フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州チヴィダーレ・デル・フリウリ市在住
- 得意料理:フリーコ、フリッタータ、季節野菜のミネストラ、季節野菜のリゾット
- アミンダさんの家族は、息子さんを中心にオーガニックのワインとオイルを生産するワイナリーを経営している。広大なブドウ畑のある自宅敷地内の一角に家族用の野菜畑があり、そこは彼女が管理している。毎年春先には「今年は何を植えようかしら…」と考えつつ、楽しみながら畑作業している。だから、毎日の食卓にはいつも自らがつくる自家製野菜がたっぷりだ。丁寧な日常を送りながら、一家をしっかりと支えるやさしいマンマだ。
お料理説明・背景
イタリアの最北西部に位置するフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州は、スロヴェニアやオーストリアとの国境にほど近い土地。古くからさまざまな民族の侵入があったことから、独特の文化が息づく土地。フリウリという地方名は、チヴィダーレというこの町の古名からきているもの。この町は歴史ある貴重な遺跡が残るため、ユネスコの世界遺産にも指定されている場所でもある。
異文化が混在した影響は、現代にもその雰囲気を十分に感じられるところ。それは食文化に至っても当然のごとく当てはまる。
また、自然の恩恵を受け、高品質なワインの産地として非常に注目度の高い地域でもある。
今回レシピを紹介してくれるマンマ、アミンダさんの家も、息子さんが中心となり「Venchiarezza (ヴェンキアレッツァ)」というワイナリー経営しており、自宅のある敷地内は整然と手入れがされたブドウ畑が一面に広がっている。ここで生産されるワイン、そしてオリーヴオイルは全てオーガニックに認定されているものばかり。
アミンダさんは、このブドウやオリーヴ畑の一角で自宅用に野菜を栽培している。毎朝畑へ行き、旬な野菜を収穫する。だから食卓にのぼる野菜やオイル、ワインはもちろん自家製、そして安心・安全の保証つき。そんな食材から作り出されるミネストラは家族も大好き。
ミネストラのレシピはイタリア全土に星の数ほどある。フリウリの郷土料理としても、野菜や豆を使ったミネストラの作り方が多く紹介されており、その仕上がりもまた千差万別だ。
今回紹介するアミンダさんのレシピは、彼女の叔母さん直伝レシピ。オルゾと豆をメインとするが、うまみのために使用するスペックやプロシュットの使い分け、始めに使う油は必ずバターで、そしてタマネギにはしっかりと火を通す……など、一見シンプルな皿なのに、作り方にはいくつかの大切な要素がある。そして、使う野菜はタマネギとセロリのみ。他に季節の野菜をたっぷりと使うのか、と思いきや、ニンジンやズッキーニ、ジャガイモなどの他野菜を入れてしまうと、「ミネストラ」が「ミネストローネ」となり、別の皿になってしまうから。
実際、今回のレシピを調理している際に、アミンダさん宅に挨拶に訪れた親戚のシニョーラは、「私はオルゾのミネストラには豆は入れないわ」と。ここでまたまた料理談義に花が咲く。シンプルだからこそ、各家庭のマンマの味がその数だけ存在する。
もちろん、アミンダさん家族は必ず皆がお代わりをするほど、素朴ながらの人気メニュー。冬は温めて、夏場は冷やして(実際には、冷やして食べるというよりは、いわゆる”温めずに”という意味だが)いただいてもおいしい、年間を通して楽しめるメニューでもある。
ヴェネトおよびフリウリを中心に、通訳、翻訳、地元マンマの料理レッスン及び生産者訪問コーディネイト、そして野菜を中心とする農産品の輸出業などの活動を行う。 ブログ『パドヴァのとっておき』にて料理や季節のおいしい情報を中心に、日々のできごとを発信中。
作り方
- インゲン豆(ボルロッティ)は、乾燥したものを使用する場合には、一晩水に浸けて戻しておき、軟らかくなるまでゆでておく。(写真a 参照)
下ごしらえ
作り方
- スペック、タマネギ、セロリは粗く刻む。(写真b,c 参照)
- 鍋にバターを溶かし、スペック、タマネギを加え、いためる。(写真d 参照)
- タマネギをしっかりいためてから刻んだセロリも加えていためる。(写真e 参照)
- 約1/2L分の水を加え、野菜にしっかりと火を入れる。(写真f 参照)
- ハンドブレンダーで具材の形をつぶすようにしてブロード状にする。(写真g 参照)
- オルゾは、何度か水を替えながら水が透明になるまで洗う。(写真h 参照)
- 鍋に1/2L分の水をさらに加え、オルゾとトマトの水煮を入れる。一度沸騰させ、その後弱火にし、表面が常にフツフツとしている状態とする。(写真i 参照)
- プロシュットを粗く刻んでおく。(写真j 参照)
- 15分ほど加熱しオルゾに半分くらい火が入ったことを確認したら、刻んだプロシュットを加える。(写真k 参照)
- さらにオルゾが鍋にあたらないように、時々かき混ぜる。別鍋に用意した約1Lほどの湯を、仕上がりまでに2~3回に分けて加える。(一気に湯を加えるとオルゾの火の入り方にムラができてしまうので)味をみながら必要であれば塩を加えて味を調整する。(写真l,m 参照)
- 5~10分程してオルゾにほぼ火が入ったら、ゆでておいたインゲン豆を加える。(写真n,o 参照)
- 約10分ほど、全体をなじませるように火を入れ、塩味を調整して仕上げる。(写真p 参照)
- 食べる際にお好みでオイルやおろしたパルミジャーノ・レッジャーノをかけていただく。