マンマの紹介
- アレッサンドラ・カッチャグラーノ(Alessandra Cacciagrano)さん
- アブルッツォ州サン・ジョヴァンニ・テアティーノ市在住
- 得意料理:看護師として働きながら家事に子育てに奮闘するスーパーマンマ。料理全般が得意で忙しいときでも手際よく手料理を振る舞う。中でもスイーツ作りが大好き。特にpesche e bananeなど見た目も可愛い一口スイーツを作るのが得意。クリスマスや復活祭、誕生日など大切な行事の時には必ず彼女の手作りスイーツが登場する。
お料理説明・背景
今回は、旬のズッキーニをオイル漬けにして長くおいしく食べられる方法を紹介する。 特に夏野菜は太陽の光をいっぱい浴びて、毎日どんどん成長するので、食べるのが追いつかないこともしばしば。食べきれずに捨ててしまうことのないように、食べ頃を見計らって保存しておけば、来シーズンまで長くおいしく食べられる。 今回は収穫が遅れて少し育ち過ぎた大きなズッキーニを使うのがおすすめ。皮の部分が固くなってくる分、オイル漬けにした時にシャキシャキとした食感が程よく残るのがよい。
下味に使うワインビネガーと白ワインのまろやかな酸味に素材そのものの甘みがマッチして食欲をそそる。前菜としてチーズなどと合わせてよし、お肉料理の付け合せとしてもよし、パンに挟んでパニーニにするもよしと、手軽且ついろいろな場面で重宝する一品。 今回のレシピはアレッサンドラが自身のマンマから受け継いだ物。このオイル漬けはファンも多く、毎年この季節になるとガレージの横に増設した作業用キッチンに籠もり、大量に作ってはプレゼントもしている。
家庭料理には各家庭に受け継がれた味があるが、それだけでなく友達の家などで出された物がおいしかった時には、レシピの情報交換会が活発に行われる。そうして、家族の好みにも合わせながらよりおいしいレシピを追求しているマンマには頭が下がる。
旬の物をおいしく保存するということで、アブルッツォの夏の風物詩と言える物をもう一つ紹介したい。それがトマトソース作り。トマトソースと言っても味付けをする前のトマト果汁だけを瓶詰めした物。 夏の日差しをしっかり浴びて完熟したトマトを使うので、通常8月頃が最盛期。私の親しい家族は毎年600〜700本分瓶詰めし、親戚や近所の人にも分けるため、収穫状況を見極め何日か前に作業日が告げられると、そういった人たちも手伝いに来る。
トマトは一つずつヘタや傷んだ部分を取り除き、大きな鍋で火にかけて加熱する。次に登場するのがトマトソース専用の機械で、この機械で皮・種と果汁を振り分ける。手動でクルクル回して使う物と電動の物があり、大量に作る際はこの電動が活躍する。皮と種に振り分けられた物も2〜3回この機械に通し、果汁を絞りとる。最後は瓶に詰めて栓をし、湯煎して仕上げる。真夏の炎天下で火も使うので大変な重労働。この家庭では2種類のトマトをブレンドするのが秘訣で、濃厚で甘いトマトソースはイタリアにいても他に代わる物がないおいしさ。これがイコール「家庭の味」と直結し、1年間食卓で楽しませてくれるのである。
地域ブランディングを主とした都市計画コンサルタント。2002年、イタリアの暮らしにどっぷり浸りたいとアブルッツォ州に1年間留学。以降、大阪とアブルッツォを行き来する生活を続けている。2009年のラクイラ地震を機にアブルッツォ州紹介サイト「Abruzzo piu’」 を立ち上げ、2016年4月からはフリーペーパー「アブルッツォ通信」の共同発行者として多方面で活動中。
作り方
- ズッキーニは種の部分をくり抜き、長さ5cm程度、厚さ3~5mm程度の細切りにする。※通常サイズの場合は種をくり抜かずに使ってよい。(写真a 参照)
- ニンジン、パプリカも同様サイズに細切りにする。(写真b 参照)
- ズッキーニに塩を振り全体に揉み込んで、30分ほど置いて水分をとる。(写真c 参照)
- 鍋に同量の白ワインとワインビネガーを入れ火にかけて沸騰させる。(写真d 参照)
- 4にニンジン、パプリカを入れ、再沸騰したら(約3~4分)ザルですくいあげて粗熱をとる。(写真e 参照)
- 30分置いたズッキーニは水気をしっかりと絞り、4,5で使用した液体の中に入れ、再沸騰したらザルですくいあげる。ズッキーニは一度に入れすぎず何度かに分けてこの作業を繰り返す。(写真f 参照)
- ザルですくいあげた野菜は布巾などに広げて冷ましながら乾かす。これで食感を保つ。(写真g 参照)
- 粗熱がとれたら布巾を端から丸めていき中の水分を絞り取る。(写真h 参照)
- イタリアンパセリは葉の部分をちぎり、ニンニクは4等分に刻んで8に混ぜ合わせる。(写真i 参照)
- オリーヴオイルを混ぜ合わせ、お好みでオレガノを加える。(写真j 参照)
- 煮沸消毒しておいた瓶に詰めていく。
- 瓶詰めしたらヒマワリオイルで満たして蓋をする。すぐに食べてもおいしいが、20日以上置いておくと馴染んでくる。1~7年は賞味できる。開栓後は冷蔵庫で保管し早めに食べる。(写真k 参照)