マンマの紹介
- ルチア マスティーニ(Lucia Mastini)さん
- サルデーニャ州ヌオーロ県オリエナ市在住
- 得意料理:パーネ カラザウ、スピアナータなど マンマについて:7歳の頃からパーネ カラザウ(楽譜パン)を作り始め、パン屋での修行を経てパーネ カラザウ工房を夫婦で営む。結婚20年以上経ってやっと授かった今年4歳になる男女の双子のママ。家畜(豚、鶏)を飼い、野菜を作り、ワインのためのブドウやオイルのためのオリーヴを育て、ほぼ自給自足の生活をする彼ら。その中心にいるルチアは細い体のどこにそんなにエネルギーがあるのかと思うほど休むところを見せない働き者。
お料理説明・背景
パーネカラザウ発祥の地、内陸バルバジャ地方の町、オリエナ。昔はどこの家にも石窯があり、パーネカラザウを焼いていた。パーネカラザウは600℃ぐらいの高温で瞬時に焼き上げるが、それを焼いた後の余熱でスピアナータ(薄く平べったい柔らかいパン。サルド語でPanedas)を焼いたそう。
また季節のお祭りにはそれぞれ作られるお菓子があり、それらのお菓子を焼く際にもついでに、という感じでスピアナータは作られてきた。パーネカラザウほど作るのが難しくないので今でも家庭でよく作られる。ルチアは作り方の写真の中でもわかるように石窯で焼いているが家庭用のオーブンでも最高温で焼けば時間はかかるが、同じように焼き上がる。
同じ名前の料理でも使う食材や作り方が地方によって、または家庭によって違うように、このスピアナータも少し離れた町では砂糖を入れず塩味だけだったり、マッシュしたジャガイモを生地に入れたりするところもある。また生地を焼く前に型を押し付けて模様をつけるところもある。
ちなみにサルデーニャ以外、イタリア本土のロマーニャ(ボローニャ南東地方)でもよく似たピアディーナと言うパンがあるが、ピアディーナは酵母を入れず重曹を入れて作るのでスピアナータよりも薄い。
普通は食事パンとしてテーブルに並べることが多いが、オリエナのスピアナータはそのまま食べてもほのかに甘みがあるので子供たちがおやつとしても食べる。もちろんジャムやイタリア人の大好物ヌテッラ(ヘーゼルナッツとチョコのクリーム)をつけてもよし、簡単に2枚にはがせるのでチーズやサラミ、生ハムを挟んでパニーノ(丸いパンを使ったサンドイけッチ)にしてもよし。ちなみに写真はチーズとハム、カルチョーフィとボッタルガのサラダのパニーノ。
羊飼いが放牧のため長期間家を離れる時に保存食として作られたパーネカラザウに対してスピアナータは出かける時に手軽に持って行ける携帯食といったところだろうか。
Delizie主宰。大阪でイタリア家庭料理店を経営後、’00年にイタリアに渡りピエモンテを拠点に各地のアグリツーリズモで料理修業。’03年よりサルデーニャに移住し、家庭料理や食材の探求を続ける傍ら”食”をテーマに現地の旅行、視察、料理教室などをコーディネー ト。著書に『家庭で作れるサルデーニャ料理』(河出書房新社)
作り方
- セモリナ粉と小麦粉、砂糖、塩をよく混ぜ、そこへ水を少しずつ入れる。(写真a 参照)
- ビール酵母をぬるま湯に溶かして1)に加えて、更に捏ねる。(写真b,c 参照)
- 耳たぶ程度になるまでよく捏ねて一つにまとめる。(写真d 参照)
- まとまったらラードを足して再びよく捏ね生地全体になじませる。(写真e 参照)
- 一つにまとまれば細長くのばし、8~9つにカットする。(写真f 参照)
- カットした生地を捏ねて丸め、30分ほど寝かせる。(写真g,h 参照)
- 麺棒で5mmほどの厚さに丸くのばす。(写真i 参照)
- 打ち粉をして綿または綿と麻のキャンバス生地に挟んで倍ほどの厚さになるまで発酵させる。(写真j 参照)
- オーブンを一番高い温度に設定、予熱する(天板も熱くしておく)。※参考:200度ぐらいであれば5分ほどを目安に目で見て確かめる
- 発酵したパンを天板にのせて焼く。(写真k 参照)
- 少し膨らんで表面がきつね色になればできあがり。(温度が高いほど早く焼きあがる)(写真l 参照)