お料理説明・背景
プーリアの中でもチステルニーノのある中央部、ヴァッレディートリア(イトリアの谷)地域では昔からアーモンドの栽培が盛んだった。この地特産のアーモンドは丸々とした形でカリフォルニア産の細長いタイプのものと比べると甘みとコクがぐっと強い。このアーモンドを粉にして砂糖と卵白を混ぜただけのシンプルなソフトクッキーはドルチェット・ディ・マンドルレと呼ばれ、今ではパスティチェリアにはいつでもある定番のお菓子。食事に招待された時のお持たせやクリスマスなどのプレゼントとしてもよく用いられているが、昔は結婚式や洗礼式などの特別なお祝いの時にしか食べられなかったものだ。
このレシピは引出物用のドルチェット作りを生業にしていたマリアロザリアの叔父さんのレシピを今風に甘みを抑えて改良したもの。今ではマリアロザリアの嫁ぎ先のパン屋の店先に並んでいる。
飾りにはキャンディドフルーツを使うと華やかで楽しい。赤はチェリー、緑は皮の白い部分に甘みのあるチェドロという大型レモン、それにオレンジピールなどが使われる。コーヒー豆やアーモンドの粒を乗せてもいい。
2月頃桜に似た花を咲かせるアーモンドはこの辺ではどこの家にもあるのだが、プーリア産のアーモンドの流通量は決して多くはない。したがって店で売っているドルチェットにしても地元産アーモンドパウダー100%のものは珍しくなっているのが実情だ。
郷土料理の昔ながらのレシピはこの地に育ちやすいもの、入手しやすいものを使って作られたものなので素材が変われば味も変わってしまう。 5、60年前まではどこの家もほとんど自給自足だったこの地域の住人に習って庭のアーモンドの木から採れた実を粉にし、昔のように薪窯で焼いてみればこれが特別な時にしか食べられない贅沢品だったということも実感できる。
プーリア州在住。1999年プーリアと日本の架け橋になるべく(有)ダプーリア設立。2008年子育てのため夫の故郷Valle d’Itriaへ移住。スローライフを実践しながらプーリア仲間増殖活動中。
作り方
下ごしらえ
- 材料の分量を量る。
- 卵の黄身と白身を分ける。