マンマのレシピ

マンマの紹介

  • ジョバンナ・アガッツァーニ(Giovanna Agazzani) さん
  • エミリア・ロマーニャ州モデナ在住
  • 得意料理:手打ちパスタ、ニョッキ、リゾットなどのプリミピアッティ

お料理説明・背景

エミリア・ロマーニャ州は、一つの州ではあるが、実際には、エミリアと呼ばれるボローニャ、モデナ、レッジョ・エミリア、パルマ、そしてロマーニャと呼ばれるラヴェンナ、フォルリ・チェゼーナ、リミニに分かれる。エミリアではヨーロッパからD.O.P.(原産地名称保護保証)を与えられている伝統的な食品、PROSCIUTTO DI PARMA(プロシュット・ディ・パルマ)、 豚のお尻部分の肉を膀胱の皮に詰めて熟成した生ハムCULATELLO(クラテッロ)、 PROSCIUTTO DI MODENA(プロシュット・ディ・モデナ)をはじめ豚肉の加工品が多く生産され、食されている。それに対してロマーニャはポー川下流からアドリア海側のエリアであり、鰻や、魚介類が豊富だ。

ジョバンナの住むモデナでは、豚肉や、その加工品を使った料理が多い。I.G.P.(地理的保護表示指定)として有名なクリスマス料理の定番コテキーノを思い出す方も多いかもしれないが、今回ジョバンナが作ってくれたフリッザーニアには、豚のお腹の脂の多い部分の肉を使った生ハム、パンチェッタ(写真右上)が入っている。パンチェッタはベーコンと同じ部分だが、燻製されていない。ジョバンナがお姑さんから教わったレシピだという。

トルテッラータジョバンナのお母さんや、お姑さんが育った頃は、イタリアは貧しく、家で作ったサラミ、ハム類、野菜、小麦、卵を使った料理を食べていた。夏になるとたっぷりと太陽を浴びた、ふんだんに穫れるトマト、ナス、ズッキーニ、パプリカを使った料理を作った。その中でもこのフリッザーニアは、チーズやお肉の付け合わせにしたり、翌日は残りをパニーノにしたり。実は翌日の方が味が馴染んでさらに美味しくなるのだそうだ。

このレシピは、お姑さんのものだが、ジョバンナのお母さんも相当な料理上手で、美味しい料理を作っていたのだそうだ。レシピを聞かずじまいで、今となっては、残念で仕方ないとのこと。気持ちはよ~く分かる。

ジョバンナのマンマが作ってくれた大好きな一品に、方言で“パネーダ”という料理がある。鍋に硬くなったパンを切って入れ、ブロード、にんにく、お父さんが作っていたぶどうの種で作ったオイルを入れて蓋をしてゆっくりゆっくり半日くらい煮て、外はカリカリ、中は柔らかくクリーム状になったところで、バターとパルミジャーノ・レッジャーノをかけて食べるものなのだそうだ。 「昔の人たちはね、今のように材料もなんでも手に入る訳ではないし、レシピも多くなかったから、同じようなものを食べていた。今のようにガスもないから、ストーブなんかでコトコト長時間煮る料理も多かった。でもどれももの凄く美味しかったわ。」
貧しい材料で、最高の料理を作る。マンマの料理の真髄なのかもしれない。

レポート:西村明美(Akemi Nishimura)
1996年よりパルマ在住。イタリアの食に魅せられ、ワイン、ハム、チーズ等のイタリア食材を勉強中。現地で築いた人脈を生かし、一般の方からメディア向けまで、料理教室、工場見学等のコーディネートをしている。 AISソムリエ。APRパルミジャーノ・レッジャーノチーズテイスター。ONAFチーズ鑑定士。イタリアジャーナリスト協会会員。 http://akemi-nishimura.wix.com/sapore-italiano

材料

フリッザーニア(6人分)

・パプリカ1個半黄色と赤色のものを半々
・タマネギ2個
・ニンジン2本
・トマト2個
・パンチェッタ200g今回は薄切り肉を使うが塊肉でも可
・オリーヴオイル適量
・ワインヴィネガー大1
・塩少々

作り方

  1. タマネギをざく切り、ニンジンを小さめの輪切り、パプリカを角切り、トマトはタネを取りざく切りにしておく。
  2. パンチェッタを小口切りにする。(塊肉を使う際は5mm角に切る)
  3. フライパンにオリーヴオイルを入れて、タマネギを炒める。
  4. 少し透明になったら、輪切りにしたニンジンを加えて、強火で炒める。
  5. パプリカの角切りを加える。(写真a 参照)
  6. トマトのざく切りを加える。(写真b 参照)
  7. パンチェッタの小口切りを加えて、炒める。(写真c 参照)
  8. 味を見て塩を少々加える。
  9. 最後にワインヴィネガーを加えて混ぜる。(写真d 参照)
  10. 全体にしんなりしたら出来上がり。(写真e 参照)
  • a. パプリカの角切りを加え、強火で炒める
  • b. トマトのざく切りを加える
  • c. パンチェッタを加えて更に炒める
  • d. ヴィネガーを加えて混ぜる
  • e. 全体にしんなるするまで炒める

お料理ポイント

強火で蓋をしないで炒めること。火を止めてから1時間位待つと味が馴染んでさらに美味しくなる。