お料理説明・背景
「シチリアは海に囲まれた島だから魚料理のイメージがあるけど、お肉も野菜もフルーツもなんでもおいしいのよ。本当に食材の宝庫。そして、ドルチェもね〜」といつも明るくおいしい話をしてくれるマリレーナ。
「明日からダイエット」が口癖だが、もちろんその明日は永遠に来ないので、こちらも始まった~と笑いを堪えていると、「知ってる知ってる。明日からは絶対に無理よね」と皆で大笑いして料理が始まる。
12月から1月のこの時期のイタリアはクリスマスにカポダンノ(大晦日)...1年で最も大切なイベントが目白押し。食いしん坊の彼らにとっては イベント = 豪華な食事 と言っても過言ではない程、おいしい物三昧の食い倒れの毎日なので、そのご馳走の準備でマンマたちは大忙し。
定番料理のひとつでもあり、冬から春にかけてが旬で、安くておいしくて簡単で、この時期はどこのお家の食卓にも欠かせないカルチョーフィをご紹介。
日本では高価なカルチョーフィだが、シチリアではトラックのカルチョーフィ売りが20個程を束にして売にきたり、メルカートでは必ず山積みで売っている野菜のひとつだ。
色々な種類や大きさがあり、調理の仕方によって選ぶ。焼いたり、煮たり、揚げたり、そのままでもおいしいのでメインにもなり、魚介ともお肉との相性もぴったりなので、他の材料とも合わせやすい食材。
新鮮な物は生でも食べる事ができるので、食感といい、食べ方といい、私は勝手に“冬の西洋筍”と命名し、この数ヶ月後に日本では新筍の季節だなぁと思いを馳せながら食べている。
カルチョーフィのリピエーノは、シチリアでのカルチョーフィの食べ方の定番中の定番。葉の部分は下の柔らかい部分のみを引っ掻くようにしゃぶり食べ、葉野菜ならではの青みのあるおいしさを味わい、花床部分はホックホクでお芋のような繊維なおいしさを。
二日酔いにも効果があると言われ、肝臓にも優しいのが更に嬉しい。
別名“暇つぶし”と言われるこのカルチョーフィ。食べる人は必死にしゃぶって無言で「どこまで食べれるか? !今回のは当たり!?」などと考えながら夢中になってしまう、そんな至福のひと時と食べた後の達成感。
指をしゃぶりながら、何度食べても飽きないおいしさに冬の到来を感じるのだった。
シラク―サ在住。 シチリア料理レストラン「la cambusa(ラ・カンブーサ)」のオーナー兼、シチリアの旅行、料理、食材などのコーディネーター。
作り方
- カルチョーフィのつぼみの部分と茎の部分を切り分け、つぼみの部分は上から3分の1ぐらいのところで切り、軽く洗い、切り口を下にしてザルに入れておく。(写真a,b,c,d 参照)
- 茎の部分は皮を剥いて、アク抜きの為にひたひたに浸る程度の(2)の水又はレモン水に浸けておく。(カルチョーフィの皮を剥く際に手に色素が付き汚れるので注意)(写真e,f 参照)
下ごしらえ
作り方
- イタリアンパセリを荒いみじん切りにし、パルミジャーノ・レッジャーノ、パン粉、塩、胡椒を入れ混ぜ、リピエーノの中身を作る。(写真g 参照)
- カルチョーフィはつぼみが開くようにバンバンとまな板に叩きつける。1をできるだけつぼみの内側に入るように押し詰める。(写真h,i 参照)
- 詰めものをした2のカルチョーフィを鍋に入れ、水(1)200ml、下ごしらえで皮を剥いた茎の部分を入れ、塩少々、オリーヴオイルを上から掛ける。(写真j 参照)
- 蓋をして強火で沸騰させたら、弱火にして40分程焚く。(たまに蓋を開けて水の量を確認)。(写真k 参照)
- 火が入り、鮮やかな緑色だったカルチョーフィの色が変わってしんなりしてくる。竹串で軸部分を刺してスッと通れば完成。(写真l 参照)