お料理説明・背景
さて、「イタリアマンマのレシピ~シチリア州編」。
第4弾はシチリア家庭料理の代表「カポナータ」だ!
カポナータは、シチリア全土で食べられる定番の家庭料理だけあり、実にさまざまなレシピが存在する。
それはまるで、日本におけるおふくろの味、肉じゃがのようなもの。「うちは豚肉」「我が家は牛肉」「インゲンを入れる」「シラタキは入れない」「もっと出汁が効いてる!」「もっと甘い!!!」……といった趣で、同じ味はほとんどない。と言っても過言ではない。
今回ご紹介するのは、お馴染みシルヴァーナさんのカポナータ。ナスをたっぷり使った「基本形」とも言えるパレルモ・スタイルだ。
カポナータの起源は、他の家庭料理と同じく、もともとは貴族料理だったもので(参考:イワシの開きフリット Sarde allinguate)、当初は、ナスではなく「カポーネ」と呼ばれる魚を使っていた。カポーネはシチリア方言で、シイラのこと。
当時のレシピは、美食家で知られる貴族カヴァルカンティ公爵が、1839年に発行したグルメ本でも紹介されている。それによれば、「お酢と塩、こしょう、砂糖少々で味付けし、二度焼きしたスポンジパンを、細かく切ってお酢とオイルでマリネにしたレタスとエンダイブにのせ、茹でたシイラとオリーヴ、キュウリ、ペペローニで仕上げる」とある。
甘酸っぱい味を継承しつつ、シイラを手に入りやすい野菜に替えつつ、広まったのが今のカポナータというわけなのだ。具材は、地域によってもだいぶ異なる。パレルモはナスが多めだが、東岸方面に行くとズッキーニやペペローニが加わり具材が多めになったり。トマトなしバージョンや、カルチョーフィをベースにしたカポナータも存在する。
パレルモではシンプルなナスベースだが、バジリコ入り、干しブドウ&松の実入りなど、店や家庭によってプラスする食材はいろいろ。また、甘酸っぱさの度合いもいろいろだ。もしシチリア旅行をする機会があったら、各店で食べ比べをぜひ!
ところで、今回4回の取材を通して、シルヴァーナさんに聞かれた。
「日本人ってシチリア家庭料理に興味があるの?」
あるある!と答えたら、旅行者向けに個人お料理レッスンをしてくれる話に。
シルヴァーナさんに習う季節の食材でつくるパレルモマンマの料理レッスンは、こちらのリンクから申し込みできます!
シチリア州在住。編集ライター/コーディネーター通訳。約10年間のローマ生活を経て、2010年よりシチリア州州都パレルモ在住。ガイドブックや雑誌のイタリア特集を始め、イタリア関連著書多数。近著「おしゃべりのイタリア語」絶賛発売中!イタリア商工会議所認定通訳。HP:buonprogetto / la vacanza italiana Blog:ローマの平日シチリア便り
作り方
- ナスを好みの大きさの角切りにして、塩水につけておく(約1時間)。 (写真a 参照)
- フライパンに揚げ用油を熱し、水分をふき取ったナスを180~200℃で濃い目のキツネ色にカラリと揚げる。(写真b 参照)
- 湯を沸かし、筋を取ったセロリを柔らかくなるまで茹で、粗熱が取れたら1㎝程度に切っておく。(写真c 参照)
- オリーヴの果肉部分を切り取りながら種をとる。(写真d 参照)
- フライパンにオリーヴオイルを熱し、3と4と水洗いしたカッペリを加えて炒め、続いて1のナスを加えてよく炒める。(写真e 参照)
- 全体にオリーヴオイルが馴染んだら、トマトソースを加えてさらに炒める。(写真f 参照)
- トマトソースが全体に馴染んだら、粉砂糖を加えたワインビネガーを一気に加える。(写真g 参照)
- ワインビネガーのアルコール分が飛んだら、出来上がり!(写真h 参照)