話題のイタリア料理人を訪ねて 1 SEADAS FLoWER CAFFÈ 花澤豊良さん presents by 亀屋食品株式会社

「新時代のシェフを訪ねて」からリニューアル!
イタリア料理業界で活躍する話題の料理人の半生と、思い入れの深い一皿にまつわるストーリーをご紹介します。今回は東京は自由が丘にあるSEADAS FLoWER CAFFÈ(セアダスフラワーカッフェ)の花澤豊良さん(65)にお話を伺いました。

記憶に残るセアダスを

おしゃれな店が立ち並ぶ自由が丘の一角に、緑で覆われた軒先にサルデーニャ州旗のはためく店がある。扉を開けると、郷土菓子や食材、民芸品、写真がずらりと並び、まるでギャラリーのよう。「セアダスフラワーカッフェ」はサルデーニャの魅力を濃密に感じられる店だ。
セアダスとは、サルデーニャ島に5000年以上前から伝わるお菓子で、新鮮なペコリーノ・サルドをセモリナ粉の生地で包み揚げし、はちみつをかけたもの。
オーナーシェフの花澤さんがこの店を開いたのは2013年、53歳のとき。もともと壁画作家として活動していたが、仕事の縁でサルデーニャ料理店「タロス」のシェフ馬場さんと出会い、サルデーニャ料理、とりわけセアダスのおいしさに衝撃を受け、頭から離れなくなったという。そして心のままに、馬場さんとサルデーニャへ。現地で本物の味を知り、「このおいしさを伝えたい」と、未知の飲食の世界に飛び込んだ。

▲オーナーシェフの花澤豊良さん(65)。常連客と年に一度サルデーニャを旅するのが、今は何よりの楽しみだという。「サルデーニャに行くと、なぜか懐かしい気持ちになるんです。毎年そこへ行くために頑張っています」


現地の店で修業するには年齢的に厳しい。ならば家庭で手習いしようと、伝手を頼りにマンマたちの家に泊めてもらいながらセアダスや料理を教わった。現地の味を日本で可能な限り再現するために材料の配合や揚げ方などを幾度も試し、アレンジメニューも奇をてらわず、本場の人が食べても違和感のないものを追求してきた。
「知られていないお菓子だからこそ、人気が出るまで10年はブレずにやろう」そんな覚悟で続けてきて13年が経った。今ではスイーツ好きの日本人だけでなく、在日イタリア人や観光客も毎日のようにやってくる。日本サルデーニャ協会のオフィスも兼ねており、知る人ぞ知るスポットとなった。さらに1年ほど前からは、常連客のリクエストでセアダス以外のメニューも出している。
「人生の中で、これだけは負けないというものを持っていたい。そうじゃないと、誰かの記憶には残らないからね」穏やかな語りの中に花澤さんの哲学がある。サルデーニャ、そしてセアダスへの深い思いと、研ぎ澄まされた味が、今日も誰かの心を動かしているに違いない。

〈レシピ〉

コルべッツォロ蜂蜜のセアダス
サルデーニャ特産の西洋山桃のはちみつ「コルベッツォロ」をかけたセアダス。仕上げにはさらにペコリーノ・サルドをすりおろす。揚げたての香ばしさとチーズのクリーミーさ、コルベッツォロのほろ苦さと甘さが絶妙なハーモニーを奏でる。

材料
(6個分)
・セモリナ粉(カプート) 70g+α
・薄力粉 180g
・ラード 20g
・ぬるま湯(人肌程度の温度) 100〜110ml
・ペコリーノ・サルド 250g
・モッツァレッラ 150g
・米油 適量
・コルベッツォロ蜂蜜 適量

下ごしらえ
●生地(前日〜1時間ほど前までに)
1)ボウルにセモリナ粉、薄力粉、ラードを入れ、、ぬるま湯を少しずつ注ぎながら混ぜ合わせていく。
2)滑らかになるまで手で捏ねる。
3)ラップに包んで冷蔵庫で寝かせておく。

●具材
1)ペコリーノ・サルド、モッツァレッラを一緒にフードプロセッサーにかけて細かくする。
2)余計な水分が出ないよう、1にセモリナ粉(分量外)を加えて軽く合わせておく。

作り方
1)生地を半分に切り分ける。
2)綿棒を使って細長い楕円形に伸ばす。
3)パスタマシンを使い、生地を伸ばして折りたたむ工程を数回繰り返す。3mm程の厚さで滑らかな状態になればOK。
4)伸ばした生地の片側に3個分の具材(チーズ)を置き、その周りに刷毛で水を塗る。
5)もう片側を上からかぶせ、手でやさしく生地を抑える。
6)具材の周りをパスタカッターで丸く切り抜く。
7)切り抜いた部分が開いてしまわないように、生地をくっつけながら形を整える。
8)1で切り分けたもう半分を、2〜7の工程で同様に成形する。
9)200度程に熱した米油で、黄金色に色付くまで揚げる。
10)湯煎したコルベッツォロ蜂蜜を、揚げたてのセアダスの上にかける。
11)仕上げにペコリーノ・サルドをすりおろして完成!

ポイント
室温を低めにしておくと生地やチーズがゆるくなりにくく成形しやすいです。揚げるときはあまり触らず、おたまで油を上から掛けるようにすること。(生地が破けて破裂する場合があるので要注意!)
成形〜揚げまで、やさしく扱うのがポイントですよ♪

SEADAS FLoWER CAFFÈ
03-6459-5987
東京都目黒区自由が丘2-16-11
https://www.instagram.com/SeadasFlowerCaffe
★お店では数種類あるセアダスとサルデーニャワインのアッビナメントも楽しめるのでぜひお試しを!そのほか、パートナーの岡部さんが作るサルデーニャ菓子も絶品なので、ぜひ味わってみてくださいね♪

文:宮丸明香 写真:日高奈々子

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