新時代のシェフを訪ねて8 Pizzeria Trattoria LEON 辻佳久さん presents by 亀屋食品株式会社

これからの日本のイタリア料理業界を担ってゆく若手シェフの半生と、思い入れの深い一皿にまつわるストーリーをご紹介する連載「新時代のシェフを訪ねて」
8回目は、大阪市にあるPizzeria Trattoria LEON(ピッツェリア・トラットリア・レオン)の辻佳久さん(47)にお話を伺いました!

家族と仕事への覚悟
――プロフェッショナルの姿

大阪天満宮や日本一長い商店街で知られる天神橋筋商店街のある南森町駅から5分ほど。ブルーの軒先の下には薪が積まれ、店内を覗くとピッツァ窯とにぎわう客席が見える。ここは、2025年4月にオープンしたばかりの「Pizzeria Trattoria LEON」だ。


▲イタリア直送のピッツァ窯で焼く本格ピッツァをはじめ、自家製生パスタや肉料理、ワインも充実しているのが自慢。カジュアルモダンでおしゃれな雰囲気の中、リラックスして食事を楽しめる。


店名は映画『レオン』から着想を得たと話すのはオーナーシェフの辻佳久さん。「覚えてもらいやすいし、言いやすい。それに映画の英題は『レオン/プロフェッショナル』なんですよ。仕事へのそんな姿勢も忘れたくないなと思って」
約25年間、大手外食企業に勤めて海外事業や商品開発に携わった辻さんは、2021年に独立、現在は大阪市内で3店舗を経営している。

▲オーナーシェフの辻佳久さん(47)。お客さんの満足、料理の質、店の運営、この3つのバランスを常に意識しているという彼の元には、独立志望の若者も集まる。「学び、働き、稼ぐ経験を通じて、夢を叶える後押しができれば」と語る。


会社員時代も独立後も、たびたびイタリアを訪れてはワインやパスタなど食材の産地を巡ってきた。「余計なことをせず、素材を生かせ」出会った多くのイタリア人が口にしていたこのシンプルな感覚は、辻さんがメニューを考えるときにも大切にしているという。


看板メニューの「ビスマルクLEON」は、そんなイタリア人たちのマインドと、辻さんのグローバルな経験によって生まれた一品だ。ヒントとなったのはハワイ出張時に現地で人気のあったマッシュルーム料理。日本では珍しい大きなブラウンマッシュルームを主役に据え、見た目も印象的なピッツァを生み出した。店を訪れるお客の多くがこのピッツァを楽しんでいるという。


「独立3年生。仕事は飽きないし、今はやりがいしかないです」と笑う辻さん。開業前には2年間かけて抜かりなく準備し、店舗のコンセプトやメニューは顧客層の興味やニーズから逆算し、極力リスクを抑えながらも、その中で自分のやりたいことやこだわりをどこまで入れられるか挑戦する……辻さんの経営スタイルは非常に手堅い。


それは何故か? よくよく聞いてみると、私生活では4人の子を持つ父親でもあるのだという。一家の大黒柱として失敗はできない。それでも「人生は一回だから」と、家族を守りながらも自分の思いを形にし、道を切り拓いてきた。そんな辻さんのプロフェッショナルな仕事ぶりが、頼もしく、「かっこいい」と思わずにはいられなかった。

〈レシピ〉


ビスマルクLEON
薄くスライスしたブラウンマッシュルームのやさしい香りと、とろりと溶け出す半熟卵の黄身がたまらない。生地は軽やかでモチっとしながらも歯切れがよく、チーズやサラミのうま味が絶妙なアクセントに。至福の一口だ。

材料

●生地(12枚分)
・サッコロッソ(カプート) 730g
・サッコブルー・ピッツェリア(カプート) 500g
・ヌーヴォラ(カプート)380g
・水 1L
・海塩 49g
・生イースト 3g ※酵母を起こす前の状態で。
※店では気温や湿度によって配合を調整している。

●具材(1枚分)
・ベーコン 25g
・ナポリ・サラミ 10g
・ブラウンマッシュルーム 大1個
・モッツァレッラ 60g
・卵 1個
・グラナパダーノ(パウダー) 6g
・パルミジャーノ・レッジャーノ 15g
・生クリーム 20cc ※植物性ではないもの
・オリーヴオイル 10cc
・海塩 適量
・コショウ 適量

下ごしらえ
●生地(2日前)
1)生地の具材をマシンで30分間捏ねたあと、約30分間休ませる。
2)約200gに小分けし、バットに入れて、常温で6〜10時間前発酵させる。
3)冷蔵庫で30時間寝かせる。

●具材
1)半熟卵を作る。鍋でお湯を沸かし、卵を入れたら火から下ろす。8分経ったら掬い上げて氷水にさらし、しっかりと冷ます。
2)冷凍モッツァレッラを解凍し、2mmほどの厚さにスライスしておく。
3)ベーコンを断面が5mm角程度の細切りに、サラミを千切りにしておく。


作り方
1)石窯の温度を400~450℃に調整する。
※家庭用オーブンの場合は300℃で予熱設定する。
2)打ち粉(分量外)をして生地を25cm程度に伸ばす。
※家庭での場合はクッキングシートの上で行うとよい。

3)ベースに生クリームを広げる。
4)モッツァレッラ、ベーコン、サラミを全体にまんべんなく載せる。

5)グラナパダーノを全体に振りかける。
6)オリーヴオイルを回しかける
7)生地が破けないように注意しながらパーラの上に生地を広げながら載せる。

8)石窯の中へ。生地の焼け具合によって回転させながら1分30~40秒程で焼き上げる。
*家庭用オーブンの場合は300℃で約10分。焼け具合を見ながら調整。
9)石窯から取り出す。
10)スライサーを使ってブラウンマッシュルームを薄くすり下ろす。

11)中央に半熟卵をそっと載せる。
12)仕上げにパルミジャーノ・レッジャーノをすり下ろし、半熟卵に海塩を少々、全体にコショウをかけて、完成!


ポイント
主役である大きなブランマッシュルームの香りと味わいをそのまま楽しめるように、具材はシンプルに。長時間発酵させることで、生地の軽さと食感のよさを追求しました!




Pizzeria Trattoria LEON(ピッツェリア・トラットリア レオン)

06-6940-4999
大阪府大阪市北区西天満3-5-18 第三新興ビル 1F
https://www.instagram.com/pizzeriatrattorialeon/

文:宮丸明香 写真:日高奈々子

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