新時代のシェフを訪ねて6 PIZZERIA E TRATTORIA SOLO NOI sul nuje 名取洸二郎さん&西山亮介さん presents by 亀屋食品株式会社

これからの日本のイタリア料理業界を担ってゆく若手シェフの半生と、思い入れの深い一皿にまつわるストーリーをご紹介する連載「新時代のシェフを訪ねて」
6回目は、東京都目黒区にあるPIZZERIA E TRATTORIA SOLO NOI sul nujeの名取洸二郎さん(36)&西山亮介(42)さんにお話を伺いました!

ピッツァと出会いが結ぶ絆

SOLO NOIはイタリア語で、sul nujeはナポリ弁で、「私たちだけの」の意味。ナポリで地元サッカーチームを応援するときに掲げる言葉だ。
地域の人々に親しまれる店となるように、二人の恩師であるイタリア人ジュゼッペ・エリキエッロさん(以下ペッペさん)が名付けてくれた。オープンから6年、連日多くの馴染み客が訪れている。

▲ピッツァイオーロの名取洸二郎さん(36)とソムリエの西山亮介さん(42)は3店舗を共同経営するオーナーでもある。得意なことや考え方に違いがあるからこそ、いいバランスが取れていると話す。

時期は異なるが二人はペッペさんが営むNAPOLI STA’CA”(神谷町・駒沢)で働いていた。出会いはペッペさんがナポリへ帰郷した際、たまたまヘルプとして居合わせたときのこと。互いに独立を考えていたタイミング、話をしてみると共通する価値観があると気付いた。「家族や自分の時間も取れるように、安心して働ける環境づくりをしたい」思いの一致が決め手となりタッグを組むことになった。

▲店内はまるでナポリの大衆食堂。大会出場経験も豊富なピッツァイオーロたちが、名工Stefano Ferraraの薪窯で焼き上げる。出来たてはもちろんテイクアウトも人気。豊洲市場で仕入れる新鮮魚介の料理も一緒に楽しみたい。

驚いたことに、店作りにおいて特段こだわりは無かったという。物件を借りてからなんと2週間で開店した。「はじめから完璧を目指すのではなく、やりながら調整していきました」と西山さん。「とにかく店が続けば、何歳になっても自分たちのやりたいことができるから」と名取さん。お客のニーズに応えることに力を注いだ。

▲お客さんからのメッセージが大切に飾られていた。

それでも軸にあるのは、ピッツェリアの仕事を教えて任せてくれて、独立を後押ししてくれたペッペさんへのリスペクトだ。だから今いるスタッフたちのことも信じて見守りたい。今回撮影したピッツァを焼くのも、名取さんはなかなか無い機会だからと、後輩に託していた。

▲撮影用のピッツァDon Peppeを焼いてくれた中野さんと。ちなみに2024年カプート杯日本大会では、名取さんがSTG部門3位に、中野さんがCLASSICA部門3位に入賞している。

オープニングスタッフが育ってきた頃、新店をつくらないかとの話が舞い込んできた。そしてやりたいと手を挙げてくれたスタッフもいた。止める理由はない。2021年にLA STAZIONE(自由が丘)、2024年にIL PORTO(江ノ島)をオープンさせ、流れに乗って拡大してきた。

「この仕事が好き。だからできるだけ長く続けることが大切で、それがいちばんやりたいこと」と西山さん。ピッツェリアという舞台で人生を思い切り楽しむ。名取さんと西山さんの物語はこれからも続いていく。

〈レシピ〉


Don Peppe
目にも楽しい星型ピッツァ。恩師ペッペさんの味を大切に受け継いでいる。耳の部分はリコッタチーズとナポリサラミの包まれたカルツォーネになっていて、最後の一口までおいしい。

材料

●生地(12枚分)
・ドッピアエッセ(モリーノマグリ) 500g
・サッコロッソ クオーコ(カプート)1000g
・セモリナ(カプート?)※打ち粉用 適量
・水 1L
・塩(モティア) 50g
・生イースト 3g ※酵母を起こした状態で

●トマトソース(作りやすい分量)
・トマト缶ホール(トレンテ) 2500g
・塩 20g
※普通サイズならトマト缶(ホール)400gに対して塩3.2g

●具材(1枚分)
・ミニトマト 5g
・ナポリサラミ 10g
・リコッタ(カ・フォルム)50g
・モッツァレッラ・ディ・ブッファラ(カ・フォルム) 50g
・パルミジャーノ・レッジャーノ 適量
・バジル 適量
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル 適量

下ごしらえ
●生地(前日〜当日)
1)生地の具材をマシンで20分間捏ねたあと、約30分間休ませる。
2)約200gに小分けし、バットに入れて8時間常温発酵させる。
3)冷蔵庫で一晩寝かせる。
4)使用する1時間前に冷蔵庫から取り出し、常温に戻す。

●具材
1)塩を加えたホールトマトを果肉が残る程度に手でつぶし、ソースを作る。
2)モッツァレッラを水切りしてちぎっておく。
3)ナポリサラミを5mm角程度の大きさに切る。
4)ミニトマトを4〜6分の1程度にカットする。

作り方
1)石窯の温度を460~480℃に調整する。
*家庭用オーブンの場合は200〜250℃で予熱設定する。
2)打ち粉をして生地を26cm程度に伸ばす。
*家庭での場合はクッキングシートの上で行うとよい。
3)縁の部分に、均等に8箇所切り込みを入れる。

4)切り込みを入れて8つに分けた縁の部分に、リコッタとナポリサラミを置く。
5)縁の部分をつまみながら具材を包み、全体が星型になるよう形を整える。

6)中央部分にトマトソースをひき、ミニトマト、モッツァレッラ、バジルを載せ、パルミジャーノ・レッジャーノを振りかけ、エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイルをまわしかける。

7)生地が破けないように注意しながらパーラの上に生地を載せる。
8)石窯の中へ。生地の焼け具合によって回転させながら1分30~40秒程で焼き上げる。
*家庭用オーブンの場合は200〜250℃で約10〜15分焼く。

9)石窯から取り出して完成。

ポイント
生地の水分量はやや多めにしています。空気をしっかり含ませて練り上げることで、耳がよく上がりもっちりとした食感に仕上がりますよ!




PIZZERIA E TRATTORIA SOLO NOI sul nuje
03-6421-2875
東京都目黒区中根1-7-3 オフィス都立大ビル1F
https://solo-noi.com

★姉妹店
LA STAZIONE DELLA PIZZA
03-6809-7225
東京都世田谷区奥沢6-33-9 内海ビル1階

Pizzeria IL PORTO(イルポルト)
0466-53-8166
神奈川県藤沢市片瀬海岸2-20-12 オハナテラス1階

★師匠ペッペさんが営むお店
Pizzeria da peppe NAPOLI STA’ CA”
https://napolistaca.jp/napolistaca/


文:宮丸明香 写真:遠藤素子

【飲食店様向け】イタリア食材をお探しの方はこちらからご購入いただけます。

▼これまでの連載記事▼

◾️新時代のシェフを訪ねて1 VIA DEI PEPI岡本紘明さん
https://italiazuki.com/?p=59200

◾️新時代のシェフを訪ねて2 ITALIAN GARAGE村田友哉さん
https://italiazuki.com/?p=60371

◾️新時代のシェフを訪ねて3 PIZZERIA Kiraku 川村修也さん
https://italiazuki.com/?p=61568

◾️新時代のシェフを訪ねて4 Antica Pizzeria L’ASINELLO 大削恭介さん
https://italiazuki.com/?p=63295

◾️新時代のシェフを訪ねて5 LE VERDURE 守本直樹さん
https://italiazuki.com/?p=64548