日本初上陸!自然派ワインのイベントRAW WINE TOKYOへ!
皆さん、こんにちは!
近年、日本でも盛り上がりを見せる自然派ワイン界隈。
先月、5月12日(日)、13日(月)には東京・天王洲で世界中の自然派ワインのイベント『RAW WINE ロウ・ワイン』が開催されました。
世界15ヵ国より120以上の自然派ワイナリーが日本へ集結。イタリアからは最も多い21ワイナリーが出展しました。
彼らの造る自然派ワインを試飲しつつ、色々とお話も聞けましたのでレポートしていきたいと思います!
記事の構成
1. RAW WINEとは?
2. 自然派ワインって何?
3. イタリア自然派ワインをテイスティング
4. まとめ&最後に
www.rawwine.com
@rawwine
※マスター・オブ・ワイン・・・英)世界最難関のワイン試験をパスしたプロフェッショナルに与えられる称号。世界で415人ほど(2022年)
イザベル・レジェロンさんは、2009年にフランス人女性として初めてマスター・オブ・ワインとなり、10年以上に渡り、世界中で自然派ワインの啓蒙活動を行っています。その活躍ぶりに、2017年にはFortune誌に『飲食業界で最も革新的な女性』、Vanity Fair誌に『世界に最も影響力のあるフランス人50名』にそれぞれ選出されました。
※著書である『NATURAL WINE -an introduction to organic and biodynamic wines made naturally- 自然派ワイン入門』は日本でも翻訳され出版されています。写真も多めに入っていて読みやすいですよ!
“自然派”ワインとは人間の介入が少ない、より自然界に寄り添って作られるワインというような言い方ができるかと思います。
『自然のワイン』というものが存在するならば、木にそのまま瓶詰されたワインがなって収穫できるというようなことですから、自然のワインなどは存在し得ません。
ですが、なるべく自然に、人間ができる限り介入せずにワインを作ることは出来るでしょう。
畑にミミズなどの虫や微生物、あるいは鳥などの小動物が生き生きと生息し、なおかつ多様性のある植物と共存しているような自然のサイクルがある環境でブドウに目一杯育ってもらう。ブドウに付いている酵母やセラーに存在する天然の酵母にてブドウジュースを自然にアルコール醗酵。害虫や病気も自然由来のもので対処する。そんなイメージです。
つまるところ
・非効率化(非機械化)
・無農薬、無添加物(無もしくは低酸化防止剤)
・天然酵母(培養酵母でない)による自然発酵
・無濾過、無清澄など
欧州のオーガニックの認証基準よりもさらに厳格に、化学的な除草剤、農薬や添加物を使わずに、酸化防止剤(亜硫酸塩SO2)の使用なども無添加もしくは極力抑えたワインというものが多いです。
ワインは醗酵飲料であり、酸化する飲み物ですので、殺菌や酸化防止の目的から微量の亜硫酸塩の添加がワイン業界では一般的です。(微量の使用は人体の健康に影響はありません。)
※ワインの含まれる亜硫酸塩について詳しく知りたい方は、ワインショップチェーンENOTECAさんや輸入商社のFIRADISさんによる大変わかりやすい記事がありますのでご参考ください。
⇒酸化防止剤(亜硫酸塩)がワインに与える効果と影響(Enoteca Online)
⇒ワインの添加物について、ちゃんと知りたい①「亜硫酸塩(前編)」(Firadis Wine Column)
そのため亜硫酸塩の使用を控えるということは、外観、香りや味わいが安定しないワインになるリスクもあるため、ワイン造りは一筋縄ではいきません。実際、自然派ワインと呼ばれるものの中にはクセの強い香りのワインなど、バランスが不安定なものを目にすることもあるでしょう。
しかしながら、上手に出来あがった時の生酒のようなエキスたっぷりの自然なブドウ由来のワインは、良い意味で田舎的で、世界中のファンを虜にしています。
今回のイベントも、ただ単に酸化防止剤無添加、自然発酵で造ったワインが集まりました、という試飲会ではなく、まさに職人的技術で仕上げられたすっと収まる味わいで、雑味が無いワインの造り手も多く驚かされました!
ピエモンテ州
Marco Curto マルコ・クルト(輸入予定・株式会社ヴィーノフェリーチェ)
笑顔が素敵なオーナーのナディアさん。いきなりバローロです。(笑)
イタリアを代表する高級銘柄のバローロで低酸化防止剤というのは初めて体験したかもしれません。常識的に長期熟成するようなワインはそれだけ酸化のリスクも伴うように思いますが、添加の亜硫酸塩はごくわずか。それにも関わらずとても綺麗な造りで美味しくいただきました。BRAVA!
バローロを代表する村の一つであるラ・モッラ村より。ナディアさんは、バローロ・ボーイズの革新的生産者、エリオ・アルターレの姪だそうです。父や叔父に伝統的な製法や近代的な製法を学んだ上で、彼女は酸化防止剤を極力少なくワインを仕上げる技術と製法を取り入れました。
ブドウ品種 ネッビオーロ、バルベーラ、フレイザなど
Poderi Cellario ポデーリ・チェッラーリオ(輸入・株式会社クオーレクール)
来日のシモーネさん。曾祖父母の代からの家族経営、亜硫酸塩アレルギーのファミリーの方針で自然派ワイン造りへ転換。遊び心あるデザインのラベルですが、中身もジューシーでフレッシュ+程よい濁りがあり、飲み心地の良い※ペット・ナットワインが多かったです!パーティーやカジュアルに飲みたい時に気持ちが上がるようなセレクションでした!
※仏Pétillant Naturel(ペティアン・ナチュール)醗酵途中のワインを瓶詰して、瓶内で醗酵を完了させる。微発泡の泡が残るスパークリングワインで、酵母の澱もあり濁りがある。アンセストラル方式とも呼ぶ。伊Metodo Ancestraleメトード・アンチェストラーレ
ブドウ品種 ナシェッタ、グリニョリーノ、バルベーラ、ドルチェット、モスカート、マンツォーニなど
エミリア・ロマーニャ州
Podere Sottoilnoce ポデーレ・ソットイルノーチェ(日本未輸入)
モデナの丘陵地より微発泡のランブルスコワイン。
オーナーのマックスさん。こちらは一次醗酵後、瓶内にブドウ果汁を添加、再醗酵(二次醗酵)させて微発泡ワインに。澱抜き(デゴルジュマン)は行わないので澱が残ります。近代的なアウトクラーヴェ(密閉式のステンレスタンク)が導入される以前のランブルスコの製法だそうです。※およそ60年前くらい!?
通年の生産20000本はアメリカなどへの輸出もあり完売。現在30000本生産になり、日本への輸出分も視野に入れることができるようになった、とマックスさん。
今はまだ未輸入ですが近く日本へ入ってくる可能性アリです!ラベルも素敵ですね!
ブドウ品種 ウーヴァ・トスカ トレッビアーノ・ディ・スパーニャ ランブルスコ・グラスパロッサなど
Franchina e Giaroneフランキーナ・エ・ジャローネ(日本未輸入)
ポデーレ・ソットイルノーチェとご近所さんのモデナの生産者。
オーナーのルカさん。法律を勉強していたがその情熱からワイン農家に。2015年からプロジェクトを始め2020年に自分のラベルで販売開始。購入した樹齢35年の畑で地ブドウを使った自然派ワイン造り。微発泡の澱引きなしの瓶内二次発酵。素朴さとブドウのエキス、酸のバランスが心地よいワイン。手作りの味わい深さを感じました!試飲中の女性たちもルカのワインにご満悦な様子!
ブドウ品種 トレッビアーノ・ディ・スパーニャ、トレッビアーノ・ディ・モデナ、ランブルスコ・グラスパロッサなど
アブルッツォ州
Caprera カプレーラ(日本未輸入)
2013年に設立したアブルッツォ州の小さな生産者。5種類のラベルを生産。Gran Sassoグランサッソと呼ばれる山(ぜひ写真検索してみてください。独創的で美しい山です。)と海の狭間の自然環境。原産地呼称ワインのモンテプルチアーノ・ダブルッツォ(赤)、トレッビアーノ・ダブルッツォ(白)、チェラスオーロ・ダブルッツォ(ロゼ)などを生産。穏やかな酸で丸みのある柔らかい印象のワイン!
ブドウ品種 モンテプルチアーノ、トレッビアーノ、ペコリーノなど
プーリア州
L’Archetipo ラルケーティポ(日本未輸入)
プーリア州ジョイア・デル・コッレの南、バジリカータ州境にもほど近いエリアの生産者。南イタリアのプーリア州でありながら、残糖感も少ない低アルコールの優しい口当たりのワインを土着品種で生産。自然派の造り手としては、かなり大きい33haのブドウ畑を所有していますが、低酸化防止剤の水準やクオリティは抜かりの無い仕上がり。プーリアは平野部も多いですが、標高300m以上の丘陵、海から約45kmの距離、所謂南らしいしっかりしたボディのワインというよりは、涼しさのある、繊細で綺麗な味わいのワインという印象でした。飲み疲れしなさそうなワイン、日本に輸入されるといいですね!
ブドウ品種 プリミティーヴォ、ススマニエッロ、マレスコ、ヴェルデカ、アリアニコ、フィアーノ・ミヌートロなど
サルデーニャ州
Tenute Dettori テヌーテ・デットーリ(輸入・株式会社ヴィントナーズ)
現当主のアレッサンドロ・デットーリさん
Raw Wine立ち上げ当初からのメンバーのアレッサンドロさんは、まさに自然派イタリアワインの先駆者の一人。もともとのご家族で造っていたワインは従来の造り方でしたが、1998年頃に若くしてワイン生産に参画すると自然派ワイン造りを開始。その当時は健康で、熟した良いブドウを使ったワイン造りを実践したに過ぎなかったそうで、後々その造りがヴァンナチュール(ヴィーノナトゥラーレ)、いわゆる自然派ワイン製法ということを周りに聞かされ知ったとのこと。
Raw Wine2012年の第一回ロンドンフェアから参加しているようです。自分も今回テイスティングを楽しみにしていた生産者でもありました。
『日本で味わえる本物のSUSHI鮨と一緒、良いものほど素材が大事でしょ?魚にしろ米にしろ。ワインも同じで畑でどれだけ健康で良いブドウを原材料にできるかどうか』と茶目っ気ある様子で語ってくれました。
9ラベルのワインの生産をされているそうですが、白はなんと酸化防止剤無添加
まさに職人的味わいとクオリティ。癖のないブドウのゆるやかな優しい味わいを感じられるワインです。白は酸化防止剤無添加とは信じがたい出来。(要は添加せずに自生する亜硫酸塩でプロテクトされているようで安定性があります。)
※写真右。過去にトスカーナ州でワイナリー訪問をアテンドしたワインラヴァーのお客様と偶然再会!世界は狭いですね。一緒にデットーリのワインで乾杯!
ブドウ品種 カンノナウ、モニカ、ヴェルメンティーノ、モスカート、パスカーレなど
シチリア州
Cantina del Malandrino カンティーナ・デル・マランドリーノ(日本未輸入)
シチリア州のエトナ山の東側、海から10kmほどにあるワイナリー。約3.5haの畑から土着の品種で醸したワインを生産。
葉山のシチリア料理店『ピスカリア』オーナーシェフの出雲さんとご交流のある自然派ワイナリーということで、日本人の女性スタッフがお手伝いされていました。(出雲さんは2日目に来場されたようです。)飲食業の他、シチリアの自然派ワインの輸入業もされているそうで、今回のCantina del Malandrinoも輸入検討中と相まってサポートされていたようです。
まさにエキスたっぷりのワイン。火山性のエトナ山の恵み+地中海由来のミネラルを味わえます!ラベルもアーティスティックなシチリアワインでした!輸入が楽しみですね!
ブドウ品種 カッリカンテ、シャルドネ、ミンネッラ、ネレッロ・マスカレーゼ、ネレッロ・カップッチョ
※2015年にイタリア好きイベントが催された際の記事@ピスカリア
※2020年にイタリア好きイベントが催された際の記事@ピスカリア
Porta del Vento ポルタ・デル・ヴェント (輸入・株式会社小川正見&Co.)
シチリア州北西パレルモの生産者、ポルタ・デル・ヴェントです。Marco Sferlazzoマルコ・スフェルラッツォさんにより設立されたワイナリー。澱入りのペット・ナットワインの他、土着品種のスティルワイン(赤白ロゼ)を生産しています。
こちらお気に入り!シチリアの土着品種カタラット100%、大樽熟成で造られる白ワイン。自然派だから、自然派でないから、という括りは置いておいて、シンプルに『上品で伸びのある果実味とミネラル感』。恐れ入りました。
ブドウ品種 カタラット、グリッロ、ペッリコーネ、ネロ・ダーヴォラなど
今回、世界中から来日してくれた生産者の皆さんや出展の関係者の皆さんへ感謝を伝えたいですね!改めて自然派ワインの注目度の高さを窺い知ることができました。
熟練された職人の自然派ワインはとてもユニークで、素晴らしいポテンシャルを感じられます。添加する酸化防止剤が極少量だったり、無添加のものでも上品な仕上がりのワインが多数あり驚きました。
また今回のように一般のワインラヴァーの皆さんも参加できる有料試飲イベントが日本でもっと増えるといいな、と率直に思いました!
この記事が皆さんにとって少しでも有益な情報であれば幸いです。良いワインライフを!ではでは!
・私、鈴木暢彦は日本未輸入イタリアワイン生産者の仲介業をしております。日本で輸入業をされている、もしくは輸入業をご検討されている方のサポートを承りますのでご希望の方がいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡ください。今回のRaw Wineには来日しませんでしたが、Raw Wineのコミュニティに所属している日本未輸入の自然派ワイナリー2社(トスカーナ)のご紹介・サンプルお取り寄せ等も承ります。
info@agente-n.com
www.agente-n.com
近年、日本でも盛り上がりを見せる自然派ワイン界隈。
先月、5月12日(日)、13日(月)には東京・天王洲で世界中の自然派ワインのイベント『RAW WINE ロウ・ワイン』が開催されました。
世界15ヵ国より120以上の自然派ワイナリーが日本へ集結。イタリアからは最も多い21ワイナリーが出展しました。
彼らの造る自然派ワインを試飲しつつ、色々とお話も聞けましたのでレポートしていきたいと思います!
記事の構成
1. RAW WINEとは?
2. 自然派ワインって何?
3. イタリア自然派ワインをテイスティング
4. まとめ&最後に
1.RAW WINEとは?
今回のイベントである『RAW WINE 』は、フランス人※マスター・オブ・ワインのイザベル・レジェロン(Isabelle Legeron)女史により起ち上げられた自然派ワインのコミュニティで、世界中でワインフェア(試飲イベント)を開催しています。ワイナリーやワインショップのメンバーは世界で1300社以上!www.rawwine.com
@rawwine
※マスター・オブ・ワイン・・・英)世界最難関のワイン試験をパスしたプロフェッショナルに与えられる称号。世界で415人ほど(2022年)
イザベル・レジェロンさんは、2009年にフランス人女性として初めてマスター・オブ・ワインとなり、10年以上に渡り、世界中で自然派ワインの啓蒙活動を行っています。その活躍ぶりに、2017年にはFortune誌に『飲食業界で最も革新的な女性』、Vanity Fair誌に『世界に最も影響力のあるフランス人50名』にそれぞれ選出されました。
※著書である『NATURAL WINE -an introduction to organic and biodynamic wines made naturally- 自然派ワイン入門』は日本でも翻訳され出版されています。写真も多めに入っていて読みやすいですよ!
2.自然派ワインって何?
そもそも、自然派ワインとは何なのでしょうか?私の立場から簡単にご説明しましょう。“自然派”ワインとは人間の介入が少ない、より自然界に寄り添って作られるワインというような言い方ができるかと思います。
『自然のワイン』というものが存在するならば、木にそのまま瓶詰されたワインがなって収穫できるというようなことですから、自然のワインなどは存在し得ません。
ですが、なるべく自然に、人間ができる限り介入せずにワインを作ることは出来るでしょう。
畑にミミズなどの虫や微生物、あるいは鳥などの小動物が生き生きと生息し、なおかつ多様性のある植物と共存しているような自然のサイクルがある環境でブドウに目一杯育ってもらう。ブドウに付いている酵母やセラーに存在する天然の酵母にてブドウジュースを自然にアルコール醗酵。害虫や病気も自然由来のもので対処する。そんなイメージです。
つまるところ
・非効率化(非機械化)
・無農薬、無添加物(無もしくは低酸化防止剤)
・天然酵母(培養酵母でない)による自然発酵
・無濾過、無清澄など
欧州のオーガニックの認証基準よりもさらに厳格に、化学的な除草剤、農薬や添加物を使わずに、酸化防止剤(亜硫酸塩SO2)の使用なども無添加もしくは極力抑えたワインというものが多いです。
ワインは醗酵飲料であり、酸化する飲み物ですので、殺菌や酸化防止の目的から微量の亜硫酸塩の添加がワイン業界では一般的です。(微量の使用は人体の健康に影響はありません。)
※ワインの含まれる亜硫酸塩について詳しく知りたい方は、ワインショップチェーンENOTECAさんや輸入商社のFIRADISさんによる大変わかりやすい記事がありますのでご参考ください。
⇒酸化防止剤(亜硫酸塩)がワインに与える効果と影響(Enoteca Online)
⇒ワインの添加物について、ちゃんと知りたい①「亜硫酸塩(前編)」(Firadis Wine Column)
そのため亜硫酸塩の使用を控えるということは、外観、香りや味わいが安定しないワインになるリスクもあるため、ワイン造りは一筋縄ではいきません。実際、自然派ワインと呼ばれるものの中にはクセの強い香りのワインなど、バランスが不安定なものを目にすることもあるでしょう。
しかしながら、上手に出来あがった時の生酒のようなエキスたっぷりの自然なブドウ由来のワインは、良い意味で田舎的で、世界中のファンを虜にしています。
今回のイベントも、ただ単に酸化防止剤無添加、自然発酵で造ったワインが集まりました、という試飲会ではなく、まさに職人的技術で仕上げられたすっと収まる味わいで、雑味が無いワインの造り手も多く驚かされました!
3.イタリア自然派ワインをテイスティング!
それでは『イタリア好き』フォロワーの皆さんへ、お待ちかねのイタリアの自然派ワインを写真とともにご紹介しましょう!ピエモンテ州
Marco Curto マルコ・クルト(輸入予定・株式会社ヴィーノフェリーチェ)
笑顔が素敵なオーナーのナディアさん。いきなりバローロです。(笑)
イタリアを代表する高級銘柄のバローロで低酸化防止剤というのは初めて体験したかもしれません。常識的に長期熟成するようなワインはそれだけ酸化のリスクも伴うように思いますが、添加の亜硫酸塩はごくわずか。それにも関わらずとても綺麗な造りで美味しくいただきました。BRAVA!
バローロを代表する村の一つであるラ・モッラ村より。ナディアさんは、バローロ・ボーイズの革新的生産者、エリオ・アルターレの姪だそうです。父や叔父に伝統的な製法や近代的な製法を学んだ上で、彼女は酸化防止剤を極力少なくワインを仕上げる技術と製法を取り入れました。
ブドウ品種 ネッビオーロ、バルベーラ、フレイザなど
Poderi Cellario ポデーリ・チェッラーリオ(輸入・株式会社クオーレクール)
来日のシモーネさん。曾祖父母の代からの家族経営、亜硫酸塩アレルギーのファミリーの方針で自然派ワイン造りへ転換。遊び心あるデザインのラベルですが、中身もジューシーでフレッシュ+程よい濁りがあり、飲み心地の良い※ペット・ナットワインが多かったです!パーティーやカジュアルに飲みたい時に気持ちが上がるようなセレクションでした!
※仏Pétillant Naturel(ペティアン・ナチュール)醗酵途中のワインを瓶詰して、瓶内で醗酵を完了させる。微発泡の泡が残るスパークリングワインで、酵母の澱もあり濁りがある。アンセストラル方式とも呼ぶ。伊Metodo Ancestraleメトード・アンチェストラーレ
ブドウ品種 ナシェッタ、グリニョリーノ、バルベーラ、ドルチェット、モスカート、マンツォーニなど
エミリア・ロマーニャ州
Podere Sottoilnoce ポデーレ・ソットイルノーチェ(日本未輸入)
モデナの丘陵地より微発泡のランブルスコワイン。
オーナーのマックスさん。こちらは一次醗酵後、瓶内にブドウ果汁を添加、再醗酵(二次醗酵)させて微発泡ワインに。澱抜き(デゴルジュマン)は行わないので澱が残ります。近代的なアウトクラーヴェ(密閉式のステンレスタンク)が導入される以前のランブルスコの製法だそうです。※およそ60年前くらい!?
通年の生産20000本はアメリカなどへの輸出もあり完売。現在30000本生産になり、日本への輸出分も視野に入れることができるようになった、とマックスさん。
今はまだ未輸入ですが近く日本へ入ってくる可能性アリです!ラベルも素敵ですね!
ブドウ品種 ウーヴァ・トスカ トレッビアーノ・ディ・スパーニャ ランブルスコ・グラスパロッサなど
Franchina e Giaroneフランキーナ・エ・ジャローネ(日本未輸入)
ポデーレ・ソットイルノーチェとご近所さんのモデナの生産者。
オーナーのルカさん。法律を勉強していたがその情熱からワイン農家に。2015年からプロジェクトを始め2020年に自分のラベルで販売開始。購入した樹齢35年の畑で地ブドウを使った自然派ワイン造り。微発泡の澱引きなしの瓶内二次発酵。素朴さとブドウのエキス、酸のバランスが心地よいワイン。手作りの味わい深さを感じました!試飲中の女性たちもルカのワインにご満悦な様子!
ブドウ品種 トレッビアーノ・ディ・スパーニャ、トレッビアーノ・ディ・モデナ、ランブルスコ・グラスパロッサなど
アブルッツォ州
Caprera カプレーラ(日本未輸入)
2013年に設立したアブルッツォ州の小さな生産者。5種類のラベルを生産。Gran Sassoグランサッソと呼ばれる山(ぜひ写真検索してみてください。独創的で美しい山です。)と海の狭間の自然環境。原産地呼称ワインのモンテプルチアーノ・ダブルッツォ(赤)、トレッビアーノ・ダブルッツォ(白)、チェラスオーロ・ダブルッツォ(ロゼ)などを生産。穏やかな酸で丸みのある柔らかい印象のワイン!
ブドウ品種 モンテプルチアーノ、トレッビアーノ、ペコリーノなど
プーリア州
L’Archetipo ラルケーティポ(日本未輸入)
プーリア州ジョイア・デル・コッレの南、バジリカータ州境にもほど近いエリアの生産者。南イタリアのプーリア州でありながら、残糖感も少ない低アルコールの優しい口当たりのワインを土着品種で生産。自然派の造り手としては、かなり大きい33haのブドウ畑を所有していますが、低酸化防止剤の水準やクオリティは抜かりの無い仕上がり。プーリアは平野部も多いですが、標高300m以上の丘陵、海から約45kmの距離、所謂南らしいしっかりしたボディのワインというよりは、涼しさのある、繊細で綺麗な味わいのワインという印象でした。飲み疲れしなさそうなワイン、日本に輸入されるといいですね!
ブドウ品種 プリミティーヴォ、ススマニエッロ、マレスコ、ヴェルデカ、アリアニコ、フィアーノ・ミヌートロなど
サルデーニャ州
Tenute Dettori テヌーテ・デットーリ(輸入・株式会社ヴィントナーズ)
現当主のアレッサンドロ・デットーリさん
Raw Wine立ち上げ当初からのメンバーのアレッサンドロさんは、まさに自然派イタリアワインの先駆者の一人。もともとのご家族で造っていたワインは従来の造り方でしたが、1998年頃に若くしてワイン生産に参画すると自然派ワイン造りを開始。その当時は健康で、熟した良いブドウを使ったワイン造りを実践したに過ぎなかったそうで、後々その造りがヴァンナチュール(ヴィーノナトゥラーレ)、いわゆる自然派ワイン製法ということを周りに聞かされ知ったとのこと。
Raw Wine2012年の第一回ロンドンフェアから参加しているようです。自分も今回テイスティングを楽しみにしていた生産者でもありました。
『日本で味わえる本物のSUSHI鮨と一緒、良いものほど素材が大事でしょ?魚にしろ米にしろ。ワインも同じで畑でどれだけ健康で良いブドウを原材料にできるかどうか』と茶目っ気ある様子で語ってくれました。
9ラベルのワインの生産をされているそうですが、白はなんと酸化防止剤無添加
まさに職人的味わいとクオリティ。癖のないブドウのゆるやかな優しい味わいを感じられるワインです。白は酸化防止剤無添加とは信じがたい出来。(要は添加せずに自生する亜硫酸塩でプロテクトされているようで安定性があります。)
※写真右。過去にトスカーナ州でワイナリー訪問をアテンドしたワインラヴァーのお客様と偶然再会!世界は狭いですね。一緒にデットーリのワインで乾杯!
ブドウ品種 カンノナウ、モニカ、ヴェルメンティーノ、モスカート、パスカーレなど
シチリア州
Cantina del Malandrino カンティーナ・デル・マランドリーノ(日本未輸入)
シチリア州のエトナ山の東側、海から10kmほどにあるワイナリー。約3.5haの畑から土着の品種で醸したワインを生産。
葉山のシチリア料理店『ピスカリア』オーナーシェフの出雲さんとご交流のある自然派ワイナリーということで、日本人の女性スタッフがお手伝いされていました。(出雲さんは2日目に来場されたようです。)飲食業の他、シチリアの自然派ワインの輸入業もされているそうで、今回のCantina del Malandrinoも輸入検討中と相まってサポートされていたようです。
まさにエキスたっぷりのワイン。火山性のエトナ山の恵み+地中海由来のミネラルを味わえます!ラベルもアーティスティックなシチリアワインでした!輸入が楽しみですね!
ブドウ品種 カッリカンテ、シャルドネ、ミンネッラ、ネレッロ・マスカレーゼ、ネレッロ・カップッチョ
※2015年にイタリア好きイベントが催された際の記事@ピスカリア
※2020年にイタリア好きイベントが催された際の記事@ピスカリア
Porta del Vento ポルタ・デル・ヴェント (輸入・株式会社小川正見&Co.)
シチリア州北西パレルモの生産者、ポルタ・デル・ヴェントです。Marco Sferlazzoマルコ・スフェルラッツォさんにより設立されたワイナリー。澱入りのペット・ナットワインの他、土着品種のスティルワイン(赤白ロゼ)を生産しています。
こちらお気に入り!シチリアの土着品種カタラット100%、大樽熟成で造られる白ワイン。自然派だから、自然派でないから、という括りは置いておいて、シンプルに『上品で伸びのある果実味とミネラル感』。恐れ入りました。
ブドウ品種 カタラット、グリッロ、ペッリコーネ、ネロ・ダーヴォラなど
4.まとめ
日本初開催となったRAW WINEフェア、決して安価なチケットではありませんでしたが完売&大盛況!生産者とゲストとの交流、活気ある場内はまるでイタリアの試飲会のようでした!(※イタリアでは全州でワイン造りが行われているだけあって、一般参加のワイン試飲イベントが各地であります。)今回、世界中から来日してくれた生産者の皆さんや出展の関係者の皆さんへ感謝を伝えたいですね!改めて自然派ワインの注目度の高さを窺い知ることができました。
熟練された職人の自然派ワインはとてもユニークで、素晴らしいポテンシャルを感じられます。添加する酸化防止剤が極少量だったり、無添加のものでも上品な仕上がりのワインが多数あり驚きました。
最後に
今回は午後の部(14:30-18:00)の参加でしたが、全く持って時間が足りず(笑)、他国どころかイタリアの生産者を全て回ることも出来ませんでしたので、次回是非リヴェンジしたいと思います!その時は日本や他国の自然派ワインも試してみたいですね!また今回のように一般のワインラヴァーの皆さんも参加できる有料試飲イベントが日本でもっと増えるといいな、と率直に思いました!
この記事が皆さんにとって少しでも有益な情報であれば幸いです。良いワインライフを!ではでは!
・私、鈴木暢彦は日本未輸入イタリアワイン生産者の仲介業をしております。日本で輸入業をされている、もしくは輸入業をご検討されている方のサポートを承りますのでご希望の方がいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡ください。今回のRaw Wineには来日しませんでしたが、Raw Wineのコミュニティに所属している日本未輸入の自然派ワイナリー2社(トスカーナ)のご紹介・サンプルお取り寄せ等も承ります。
info@agente-n.com
www.agente-n.com