古代ローマ生まれの“イチジクのサラミ”
スローフード・プレシディオでもある、古代ローマ生まれの“イチジクのサラミ”
イチジクのサラミってどんな味?と思いますよね。
マルケ州の郷土菓子、Lonzino di fico(ロンツィーノ・ディ・フィーコ)がこう呼ばれるのは、イチジクの葉で包まれた姿がまるでサラミのようであるからで、あくまでドライフルーツのお菓子です。
昔から田舎の農家では夏の終わりの収穫を乾燥させて保存する習慣があります。刻んだイチジクにナッツやスパイスを混ぜ込みリキュールを加えてサラミ状に成型し、イチジクの葉で包み結んだものは、冬の保存食として重宝されてきました。子供たちが農作業を手伝った後、ご褒美として貰えたのもこのお菓子。葉の香りが包んだ果実の味を引き立て、素朴ながら懐しい味わいが特徴です。
どうやら源流は古代ローマ時代といわれており、紀元後65年にコルメッラが書いた農学書にすでにどのように加工されていたかの記述があったそう。近代になってからは貴族階級の間で作られていたダークチョコやローズのリキュールを入れたものなどもレシピとして残っており、クリスマスから長い冬の終わりまで、貴重なおやつとして食料棚に鎮座する、古きよきお菓子なのです。
※「スローフード・プレシディオ」とは、消滅の危機にある特定の農産物や製品を周知、消費推進するためのスローフード協会による認定。
植物の力に目からウロコ!インゲン豆から生まれた可食ポリマー!?
ウルビーノ大学植物園でバイオロジーを研究している友人、アンドレア・ポンパの発明を新聞で見てびっくり!なんとインゲン豆のタンパク質から強度のあるポリマーを作るのに成功したとのこと。
これまでの植物由来のポリマーは主に土に還る素材としてトウモロコシから作られていましたが、袋などを生産する際、強度の低さからポリエチレンを10%混ぜることを余儀なくされており、この10%のポリエチレンがマイクロプラスチックとなって環境に拡散してしまうという悪循環を生んでいました。
過剰包装をやめることがいちばんの道ではあれど、100%天然素材のプラスチックの開発は避けて通れない文明の道。今回発明されたポリマーの原料になるタンパク質は強度を上げるためにインゲン豆の遺伝子に足りないある一つのタンパク質のみを加え遺伝子組み換えし、完成させたもの。
100%植物性タンパクということは、ごみとして破棄されても微生物や動物はこれを食べものと判断し、食べて消化してくれるのです。包装用容器をガブっと食べられる日も近い?