お料理説明・背景
イタリアではレモンと言えばシチリア! と連想されるほど、香り高く爽やかな風味がたまらなくおいしいシチリアのレモン。あまり知られていませんが、レモンはキリスト教の美術では「聖母マリアの木」として描かれ、レモンの解毒作用が悪い邪気を追い払うとされています。
また、イエスキリストが処刑される前に食べたとされるお皿にレモンが添えられていて、そのレモンの解毒作用がキリストの復活に関係しているという説もあるなど、実はレモンはキリスト教と関わりが深い果実なのです。そのため、シチリアの修道院の庭にはレモンの木が必ず植わっているのです。
このレモンのポルペッテは、シチリア郊外に住むパオリーナさんが、修道院で幼少期を過ごしたというお手伝いさんのシルヴィアさんから教えてもらった修道院料理。シルヴィアさんは成人になると修道院を出て、イタリア全土の修道院でボランティアをしていたそうですが、シチリア東部の街の修道院でボランティアをしていた際に作られていた料理とのこと。パオリーナさんのお宅の庭に冬になるとたわわに成るレモンを見て、シルヴィアさんは、「ポルペッテを作らなきゃ!」と毎年、腕を振るっていたそうです。
ちなみに「ポルペッテ」とは「団子」のこと。肉、魚、野菜などにパン粉や卵などを加えて丸めた料理。イタリアの家庭では頻繁に作られる人気のメニューです。 レモンの皮のすりおろしが入ることでシチリア感が感じられるポルペッテですが、更にシチリアではレモンの葉に挟んでオーブンで焼きます。そして仕上げにレモン汁をギュッ!と絞るという、レモン三昧の一品。
「うちにはレモンの実も葉も大量にあるから、ポルペッテがいつでも作れるわ」
とおっしゃるパオリーナさん。
シチリアのレモンは四季成りレモンといわれ、1年中、実を付けています。夏の間はまだ熟していないグリーンレモンですが、そのほろ苦さが暑い夏にぴったり。
更にハーブがたっぷり入るのも修道院ならでは。ハーブは特に決められているわけではなく、お好みで選んでよいそうなのですが、ローズマリー、タイム、オレガノの組み合わせがパオリーナさんのお気に入りだそうです。
レモンの葉が手に入らない場合は、そのままオーブン、またはフライパンで焼いてもおいしいというこのポルペッテ。
これから旬を迎える国産レモンで作ってみてはいかがでしょうか?
2005年よりイタリアの南の島、シチリア島在住。力強い大地の恵みと美しい大自 然にすっかり魅せられ、シチリアに残ることを心に決める。現在、シチリア食文化を研究しつつ、トラーパニでシチリア料理教室を開催。また、シチリア美食の旅をコーディネートする「ラ ターボラ シチリアーナ」の代表&コーディネーターとしてトラーパニで活動中。 シチリア美食の旅をコーディネート「ラ ターボラ シチリアーナ」
作り方
下ごしらえ
- 塩漬けケッパーは塩を流水で洗い、水気をとってみじん切りにする。(写真a 参照)
- 香草は全部合わせてみじん切りする。(写真b 参照)
- レモンの葉は流水で洗い、キッチンペーパーで水気を拭く 。(写真c 参照)