マンマの紹介
- アルバ・ボナヴィータ(Alba Bonavita) さん
- ウンブリア州ペルージャ県アッシジ市在住
- 【得意料理】自家製のパン種(リエヴィト・マードレ)を使ってピッツァ等のパン物からメインディッシュ、デザート類など何でも。猪やノロジカ・野うさぎといった狩肉の扱いも、カタツムリだって得意!
お料理説明・背景
トルタアルテーストの起源はとても古く、発酵させる必要のない小麦粉・水・塩のみで作るパンとして生まれました。当時パンは贅沢な食べ物だったので、元々は庶民にとってその贅沢なパンに代わるものという位置づけでした。後にアメリカからトウモロコシの粉が入ってきた事で、小麦粉だけでなくトウモロコシの粉が原料となったり、材料にオリーヴオイルを加えたり牛乳を加えてより柔らかくしたり、重曹やイーストを加えて発酵させたり、粉チーズを加えてよりリッチなパンとしたりと時代や場所によって多くのバリエーションが生まれてきました。
ウンブリア州の中でも地域によって呼び名が変わり、ペルージャ県のペルージャ市近郊ではトルタアルテーストですが、グッビオの辺りではクレーシャ(Crescia)、テル二県ではピッツァ(Pizza)などと呼ばれています。
トルタというのは元々円型のケーキやパイ・タルトを指す言葉なのですが、この様に甘くないパンを表す場合もあります。テーストはこのパンを焼く丸型の調理器具の事で、現在のトルタアルテーストには鋳鉄製のものが一般的です。
ペルージャ近郊ではトルタアルテーストの専門店があったり、サグラと呼ばれるお祭りの主役になったり(トルタアルテースト祭)しますが、厚さを半分に切り開いて好きな具材を挟んで食べるこのトルタアルテーストは、いわゆるストリートフードであり、食事としてお弁当としておやつとして最も身近なウンブリア郷土料理です。
挟む具材はお好みでアレンジできますが、生ハム・サラミ類にチーズ類、ウンブリア州特産物の一つサルシッチャを焼いたものとほうれん草・小松菜やこの地域で好まれる野草など緑の葉物と共に挟んだり、トマトとモッツァレラチーズ、ルコラとストラッキーノチーズといった組み合わせが定番です。更には、イタリアの子供から大人まで年齢に関わらず人気のヌテッラというナッツチョコクリームを挟んだ、スイート系トルタアルテーストもお馴染みです。
イタリアの食卓では日本の白米的な役割を担うパンですが、ペルージャ近郊のレストランではパンとしてパスタのソースをつけたりサラダと一緒に食べたりする為にトルタアルテーストがテーブルに運ばれてくるレストランもあるくらいです。
アルバさんは息子さんも独立していて普段はご夫妻二人暮らしなのですが、故郷カラブリアに帰ると親戚一同の食事を担当したり、コロナ禍になる以前はとにかく頻繁にお食事会を開催し、遠方からも親戚や友人が訪ねて来たりで多い時には20人を超える人数で食卓を囲む事もありました。ですので、大人数分のお料理を作ることに慣れていて、手際がとても良いのでいつも感心させられています。
そう思うと当然かもしれませんが、この地域では大概一家に一つはあると言われる鋳鉄製のテーストがアルバさんのお宅には大きなサイズのものが2つあります!今回も『折角作るのだからナオミのファミリー用とお向かいの〇〇さんご夫妻にもお裾分けしましょう』と、1kg分の小麦粉を使って2枚分を作ってくれました。一般家庭で作る分量としては多すぎますので半分・若しくは3分の1の量でお試しください。多めに焼いて冷凍保存する事も可能です! 時間がある時には自家製の酵母を使って長時間発酵させるのですが、今回は一般家庭でも作りやすいレシピとしてドライイーストを使用しました。日本では鋳鉄製のテーストを手に入れるのは難しいと思うので、テフロン加工のフライパン(できれば底が厚くてしっかりしたもの)で代用していただくとよいかと思います。
イタリア在住30年。かつて旅行業界に憧れ東京の旅行会社に就職した後イタリアの魅力にとりつかれて渡伊。イタリアでも添乗業務・通訳ガイド・通訳を本業としながら今年20歳の長男誕生と共に専業主婦に一変。ペルージャ・ローマ・フィレンツェ郊外と暮らした後、2009年よりウンブリア州アッシジ市民。今までの経験や料理好きを生かしつつ、イタリアに暮らす日本人として何ができるかを未だ模索中。
インスタでは主に愛猫と普段の生活からの投稿https://www.instagram.com/kiuchi703/ また、雑記ブログの中でイタリアライフもたまに発信しています。 ケ・サラ〜サラ〜の日々♪ブログhttps://nandemocho.com
作り方
- 作業台に粉を用意して、砂糖とドライイーストを加え混ぜ合わせながら真ん中に窪みを作り、そこに水を注ぐ(湿度や粉の種類により水の吸収量が違うので、加減を見るために一気に全てを注がない)。(写真a 参照)
- オイルも加えて粉と馴染ませこねながら残りの水を加えていく。(写真b 参照)
- 生地をこねる(途中までの作業をクッキングマシンで行っても良い)。(写真c 参照)
- 最後に塩を加えて打ち粉(分量外)をしながら生地が滑らかで手からも離れる様になるまでこね続ける。(写真d 参照)
- まとまった生地を内側にたたみ込むようにしてまとめ、たたみ込んだ方を下にしてボールの中におき、ナイフで十字形に切り込みを入れて約1時間半発酵させる(乾燥しない様に蓋やラップ、布付近などで覆う)。(写真e,f 参照)
- ガスコンロにテーストを設置、中火~強火でテーストを熱する。(写真g 参照)
- 作業台にオーブンシートを引き、その上に打ち粉をしてから半分の量の生地をのせる。(写真h 参照)
- 最初はベトベト手につくので手にも打ち粉をしながら丸く広げていき、ある程度広がったら打ち粉をした麺棒で引き続き薄さ1㎝程度の円盤型に整える。(写真i,j 参照)
- ガスコンロの火を弱火に落としてからテーストにオーブンシートごと生地を乗せて焼く。(写真k 参照)
- 焦がさないように注意しながら5・6分ずつ両面焼いて出来上がり。(写真l 参照)