マンマのレシピ

マンマの紹介

  • アルバ・ボナヴィータ(Alba Bonavita) さん
  • ウンブリア州ペルージャ県アッシジ市在住
  • 【得意料理】自家製のパン種(リエヴィト・マードレ)を使ってピッツァ等のパン物からメインディッシュ、デザート類など何でも。猪やノロジカ・野うさぎといった狩肉の扱いも、カタツムリだって得意!

お料理説明・背景

アルバさんの出身地は南イタリアのカラブリア州で、そちらにも家があり大勢の親戚もいます。バカンスで帰省してもその大勢の親戚に料理を振る舞う事がほとんどだと言います。現在アッシジ市の旧市街でも最も高台(スバシオ山の中腹)に位置する小・中学校及び理数系高校と寮も抱える大きな学校の経理総務長という重要な役職についていますが、来たる8月末に定年退職することになっているので今は最終の仕事に追われている日々です。定年したら好きな旅行に頻繁に行ったり故郷カラブリアで過ごす期間をもっと増やすと話しています。

そんなアルバさんですが、再婚同士の現在の旦那さんは生まれも育ちもペルージャ市(ウンブリア州州都)というのを誇りにしているので、得意な料理はカラブリア料理にとどまりません。今回選んだチャラミコラという名のケーキは、このウンブリア州でもペルージャ県域で主にイースターのケーキとして出回るものです。そして、アルバさんの旦那さんの一番好むケーキでもあります。イースターは毎年移動祝日で日が変わりますが2023年は4月9日でした。近年ではお菓子屋さんでも年間を通して扱いますし、アルバさんの様に家族の大好物ならば尚更、イースターでなくてもよく見かけます。

さて、なぜこのケーキが『チャラミコラ』と言う名前になったのかには諸説がある様です。 ケーキを覆うメレンゲが明るい、透明と言った意味の言葉chiara(キアラ)から来るという説、小さくカラフルな小鳥シジュウカラはその鳴き声で良い季節の到来を知らせるという事から、シジュウカラのペルージャ方言ciarapica(チャラピカ)が語源という説、楽器のciaramelle(チャラメッラ=ショームやオーボエ類で管の底の形がリングの形で似ている)が語源だという説。 かつては結婚を控えた女性が、イースターの日に婚約者に持っていくプレゼントだったとも伝えられています。

一方で同じウンブリア州のペルージャ県域においても、15世紀にグッビオではイースターではなく5月15日の聖ウバルドの日に特産品チャラミゴーラを提供する資金を割り当てたという史記が残っているそうで、実際にこの地方ではこの聖人ウバルドの祝祭とチャラミコラが結び付けられている事から、チャラミゴーラと呼ばれていた時代もあったものと思われます。

さらに、今でこそあまり見かけなくはなりましたが、本来メレンゲでデコレーションをする際、5つの突起部分を作っていたそうです。これは、古代エトルリア時代に丘の上に築かれた都市ペルージャが、のちに5つの地区に分かれ形成された中世の頃のペルージャを象徴し称えていたからだそうです。ちなみに、色とりどりのトッピングデコレーションやスポンジの赤(ピンク)とメレンゲの白にも歴史的・宗教的意味合いを象徴するエッセンスが込められています。そんなペルージャ人の誇りを感じられるお菓子、ぜひ作ってみてくださいね。

レポート:木内 奈緒美(Naomi Kiuchi)
イタリア在住30年。かつて旅行業界に憧れ東京の旅行会社に就職した後イタリアの魅力にとりつかれて渡伊。イタリアでも添乗業務・通訳ガイド・通訳を本業としながら今年20歳の長男誕生と共に専業主婦に一変。ペルージャ・ローマ・フィレンツェ郊外と暮らした後、2009年よりウンブリア州アッシジ市民。今までの経験や料理好きを生かしつつ、イタリアに暮らす日本人として何ができるかを未だ模索中。
インスタでは主に愛猫と普段の生活からの投稿https://www.instagram.com/kiuchi703/ また、雑記ブログの中でイタリアライフもたまに発信しています。 ケ・サラ〜サラ〜の日々♪ブログhttps://nandemocho.com

材料

チャラミコラケーキ 30cmの穴あきケーキ型1台分

【スポンジ台】
・小麦粉500g
・卵黄4個
・ベーキングパウダー16g
・バター150g
・砂糖250g量
・牛乳200cc
・レモンの皮1個分
・アルケルメスリキュール1/2カップ
・ミストラリキュール 1/2カップアルケルメスリキュールでも可
【デコレーション】
・卵白4個
・粉砂糖300g
・レモン汁少々
・カラフルトッピングシュガー適量

作り方

下ごしらえ

  1. オーブンは170度にセットしておく。
  2. バターは溶かしておく。
  3. 牛乳は室温にもどしておく。
  4. 穴あきケーキ型(なければ普通のケーキ型でも)に溶かしバター(分量外)を塗っておく。

作り方

  1. 卵の黄身と砂糖を大きめのボールに入れて泡立て器でよく混ぜる。(写真a 参照)
  2. (1)を引き続きよく混ぜ合わせながら牛乳を少しずつ加える。(写真b 参照)
  3. 溶かしバター、擦ったレモンの皮を加える。(写真c参照)
  4. 小麦粉を少しずつ加えていく。(写真d 参照)
  5. 途中でベーキングパウダーをふるいながら加えたら、また小麦粉を加え続ける。(写真e 参照)
  6. アルケルメスとミストラを合わせ少しずつ生地に加え、混ぜ合わせては小麦粉を加えるの繰り返す。(写真f 参照)
  7. 最終的に生地が滑らかに色も均一になれば出来上がり。(写真g 参照)
  8. ケーキ型に流し込みオーブンにセット。170度で50分程度焼く。(写真h,i 参照)
  9. スポンジが焼き上がるのと同時にメレンゲを作り始める。卵白に粉砂糖とレモン汁を全てを容器に入れて湯煎の状態で泡立てる。(写真j,k 参照)
  10. 焼き上がりのスポンジを熱いうちに型から取り出し、飾るお皿の上に置いた状態でメレンゲを塗る。雲を描く様なイメージ。(写真l 参照)
  11. カラフルトッピングシュガーを飾り、余熱が残っている状態のオーブンの中に入れて乾燥させる。(写真m,n 参照)
  • a. 卵黄と砂糖を混ぜ合わせる
  • b. 牛乳を少しずつ加える
  • c. 溶かしバター、レモンの皮を加える
  • d. 小麦粉を少しずつ加えていく
  • e. 途中でベーキングパウダーをふるいながら加える
  • f. リキュール類を加える
  • g. 生地が滑らかに色も均一になれば出来上がり
  • h. ケーキ型に流し込み、オーブンにセットする
  • i. スポンジを熱いうちに型から取り出す
  • j. 卵白、粉砂糖、レモン汁を合わせる
  • k. 湯煎で卵白を泡立てる
  • l. 雲を描くように生地にメレンゲを塗る
  • m. カラフルトッピングシュガーを飾る
  • n. オーブンに再度入れ予熱で乾燥させる
※写真クリックで拡大写真が閲覧できます。

お料理ポイント

ミストラリキュールはブドウとアニスを原料とした蒸留酒。手に入らない場合はアルケルメスのみでも構いません。その場合は色や生地の緩さを見ながらリキュール量を加減してみてください。
仕上げでメレンゲを固めるときは余熱で仕上げるのが丁度良く仕上がります。(メレンゲは中まで乾燥させること!)通常は温度90度弱のオーブンで15~20分焼くというレシピが多い中、アルバさんは節約術にも長けたかたで、わざわざオーブンをつけずともこの方法でいつも作っていて仕上がりも完璧です!