【トスカーナ州】シエナのパリオの元騎手がトスカーナ料理のシェフへ!老舗レストラン「ダ・バゴガ」
シエナの町の中心にある老舗レストラン「バゴガ」。
地元のシエナ人や観光客にも人気の店で、今年45周年を迎えました。シェフは、なんとシエナの伝統競馬である「パリオ」の騎手経験もある、トスカーナ料理の第一人者です。
1973年創業、シェフのあだ名は「バゴガ」。モンタルチーノから来た男
シェフのピエリーノ・ファニャーニは、シエナ県の南の村・モンタルチーノの出身。幼くして両親を病で亡くした彼は親戚のもとで育ち、高校へは進学せず、16歳の時にはシエナの町で皿洗いの仕事や馬の世話の仕事をするようになりました。寂しさから彼を救ってくれた馬たちに魅力を感じるようになった彼は、トレーナーも務めるようになり、シエナの伝統競馬「パリオ」の予備騎手も担当。22歳の頃には、パリオの本戦にも騎手として出走しました。
パリオの騎手は通常あだ名で呼ばれることもあり、モンタルチーノ出身の彼は地元の名産でもある果物のビワから「バゴガ」と名乗るようになりました。
皿洗いの見習いとして勤めていたレストランで料理の基礎を学び、1973年にリストランテ「ラ・グロッタ・ディ・サンタカテリーナ ダ・バゴガ」をオープン。こうして、シェフが「元パリオ騎手」という、異色のレストランが誕生したのです。
地元の人々から愛される大衆的レストランへ
「ダ・バゴガ」ではトスカーナの郷土料理をお手頃価格で楽しめると、現地のシエナ人ばかりでなく、観光客にも愛されるレストランとして人気となりました。その味わいは折り紙付き。1986年には権威あるイタリア全土の料理コンクール「オスカー・デッラ・クチーナ・イタリアーナ」において最優秀賞を獲得、その後も国内外の数々のメダルや賞を受賞。ピエリーノは、トスカーナ・シエナを代表する料理人となりました。
トスカーナの家庭の知恵から生まれたリボッリータ(野菜と豆にあまったパンを加え、煮込む料理)や、シエナ郷土のパスタ「ピチ」の猪のラグーソースやポルチーニ茸のソースなどは、定番の人気メニュー。前菜にはクルミのソースのトルティーノ、メインには白ワインとレモンソースをあえたスカロッピーナ(薄切り牛肉のソテー料理)、ペポーゾ(牛と黒コショウで煮込んだ冬向きの料理)など、多彩です。
またシエナの幻の豚「チンタセネーゼ」のフィレ肉をコロンナータのラルド(背脂の生ハム)で巻いた「フィレット・ディ・マイアーレ・チント・コン・イル・ラルド」もおすすめ。シンプルでありながら、ラルドのハーブと塩味が軟らかい豚フィレ肉のうま味を引き上げる、一体感のある料理。地元の赤ワインが進む一品です。
家族のつながりとモンタルチーノ
息子であるフランチェスコがマネージャーを務め、ピエリーノは今でも現役で厨房で活躍しています。そしてときにはテーブルセッティングをしたり、お客さんへ直接料理を運んだりするなど、まさに働き者。世界中から観光で立ち寄るゲストにも、愛想よい笑顔を振り舞いてくれます。
また彼らの出身地であるモンタルチーノは、言わずと知れた高級ワイン「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」の産地。ピエリーノの叔父である故・スントさんは、地元がワイン農家であり、なんとブルネッロ・ディ・モンタルチーノ生産者組合(1966年)の創立メンバーでもありました。今はワイナリーを引き継ぐ孫のジャンニが、モンタルチーノからバゴガの店までワインを直送しています。
店を訪れた際は、彼らファミリーの伝統料理とモンタルチーノの地ワインに、ぜひ舌鼓をうってみては?
Ristorante La Grotta di Santa Caterina DA BAGOGA
●HP:http://www.ristorantebagoga.it/new/
●住所:via della Galluzza, 26 – 53100 Siena
パリオのルールや、観戦情報など、詳細はホームページまで!
ホームページ 『トッカ・ア・シエナ』https://www.toccaasiena.com