お料理説明・背景
この取材はまだしっかりと夏の余韻が残る2011年9月でした。アドリア海に面した180kmにも及ぶ海岸線には夏の風物詩の海の家のカラフルでお揃いのパラソルがまだ広がっていました。
マルケ州はアドリア海とアペニン山脈の間に位置しているので、豊富な海の幸と山の幸に恵まれ、実は知る人ぞ知る美食の州として名産、名物が揃っているとことです。
今回紹介するマンマはマルケ州の南、アスコリピチェーノ県のアグリトゥリズモで伝統料理に腕を振るうマリアさん。
アグリトゥリズモ「ヴィッラ・チッキ・アグリトゥリズモ」は、17世紀に建てられた司祭の館を1917年にチッキ家が購入しました。チェッキ家はここで暮らし、代々農家を営んでいましたが、1995年に改築をしてアグリトゥリズモとしました。
マリアさんは昔からこの地に根付く料理を伝えたいという思いがあり、勤めていた地元のラジオ局を辞め、アグリトゥリズモの厨房に立つことにしました。特にプロの料理人としての修業をしてきたわけではないが、いつもノンナやマンマが料理を作っている姿を、子供の頃からずっと見てきて覚えてきたという。
このとき作ってくれた料理は、ラヴィオリ・アル・ラグーとドルチェのクロスタータ・ズッカ・エ・リモーネ、そしてここの名物つまみのオリーヴェ・アスコラーネです。
オリーヴェ・アスコラーネは、このあたりの食材店では揚げたものが売られていたり、バールのつまみやトラットリアの前菜に出たりします。皆、大好きな名物料理で、アスコラーナ種のオリーヴを使って作るのが伝統です。リンゴの皮をむくように、ナイフを使ってオリーヴをむきながら種を取り出し、中に肉を詰めて揚げるので、手間がかかりますが、オリーヴの酸味と肉の甘みがワインのつまみには最高です。
種無しのオリーヴを使ったほうが作りやすいですが、どうしても実が柔らかく、食感が良くないので、現地では種を取り出して作るとのことでした。
ぜひ、試してみてください。何個もむいているうちにきれいに出来るようになりますし、パン粉をつけて揚げてしまえば大丈夫です。あとは現地へ行って、食べましょう。
文:イタリア好き編集長 マッシモ 写真:萬田康文
材料
アスコリ・ピチェーノ風オリーヴのフライ(50~60個程度)
・グリーンオリーヴ(種あり) | 500g | |
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【具材】 | ||
・タマネギ | 1/4個 | |
・ニンジン | 1/4本 | |
・セロリ | 1/4本 | |
・レモン(皮) | 1/3個 | |
・牛肉 | 500g | |
・豚肉 | 300g | |
・七面鳥 | 100g | (鶏肉でも可)*今回は鶏肉を使用。 |
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル | 50ml | |
・白ワイン | 50ml | |
・パルミジャーノ・レッジャーノ | 適量 | |
・卵 | 1個 | |
・ナツメグ | 適量 | |
・塩 | 適量 | |
・コショウ | 適量 | |
【フライ用】 | ||
・小麦粉 | 100g | |
・パン粉 | 50g | *パン粉はフードプロセッサー等で細かくしておく。 |
・卵 | 1個 | |
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル(揚油) | 適量 |
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作り方
下ごしらえ
- オリーヴの実をむくようにして種を取っておく。 (写真a 参照)
作り方
- セロリ、タマネギ、ニンジン、レモンの皮をみじん切りにする。
- 牛肉、豚肉、鶏肉は細かく切っておく。(*肉類は挽肉を使ってもいい。)
- フライパンにエクストラ・ヴァージン・オリーヴオイルを引いてセロリ、タマネギ、ニンジンを炒め、しんなりして香りが出たら牛肉、豚肉を加えて炒める。
- 肉の色が変わってきたら七面鳥の肉も入れて、白ワインを加え、水分がなくなるまで煮詰める。
- (4)の粗熱が冷めたらフードプロセッサーにかけミンチ状にする。(*挽肉を使った場合でもフードプロセッサーにかけてミンチ状にする。)(写真b 参照)
- (5)におろしたパルミジャーノ・レッジャーノ、卵、ナツメグ、塩、コショウ、レモンの皮を加えて混ぜ、冷蔵庫で冷ます。(写真c,d 参照)
- 種を取ったオリーヴの中に(6)を詰める。(写真e 参照)
- (7)を小麦粉、溶き卵、パン粉の順で付け180℃に熱したエクストラ・ヴァージン・オリーヴオイルで揚げる。
- キツネ色になったら油を切って皿に盛り付ける。