幻のデザートワイン!? 琥珀色に輝く「トルキアート」を求めて
ある晩、食事会の終わりに美しい琥珀色の甘口ワイン「トルキアート」を口にした。初めて聞く名前だ。まろやかで濃厚な甘みと干しブドウの香りが実に印象的だった。
聞くと、このトルキアート“Torchiato di Fregona DOCG”はプロセッコの主要品種グレラなどからできているという。プロセッコで有名なヴェネト州トレヴィーゾ県の一角、小さな小さな田舎町に唯一のワイナリーがあり、生産量は年間1万5000本とごくわずか。にもかかわらず、先日のFOODEX JAPAN 2023に出展されるほど注目度が増しているようだ。
ちょっと気になったのでワイナリーに行ってみた。
3月中旬、ワイナリーのあるフレゴーナの丘は、まだ肌寒さが残っていた。背後にカンシーリョ山が広がるおかげで、年中、風通しが良くブドウ栽培に最適なエリアである。
ワイナリ―に足を踏み入れると、陰干し中のブドウが所狭しと積み重ねられていた。
「9月に収穫したから、もう6か月。ちょうど来週あたりから搾り始めるのよ」
と案内してくれたのはルイーザさん。
Torchiato di Fregona DOCGを名乗るには3つの土着品種、ワインとしてのベースとなるグレラ、フレッシュな酸味を与えるヴェルディーゾ、 スパイスのようなアロマをもつボスケーラがそれぞれ35%、20%、25%以上含まれていなければならない。
それらを収穫後6か月間陰干しにすることでブドウから水分が抜け、糖分が凝縮される。搾った果汁は発酵に1か月⇒木樽とステンレスタンクに分けられ熟成2年⇒さらにボトリング後に熟成5か月を要し、収穫から最低3年の月日を経てトルキアートはようやく完成だ。しかしながら、このワイナリーでは熟成期間を1年ほど長くとることでより深い味わいに仕上げている。
また、ブドウ畑は点在しているが、品種ごとに畑を分けることはせず、どの畑においても全3種のブドウを栽培している。これも特徴の一つ。3つの品種が生長過程でも相互作用し、同じグレラでも、プロセッコ用とは違う出来になるそうだ。
収穫は全て手摘みで、厳選された最良の房のみを採る。さすがプロの目である。
「搾るのも全て手作業。昔ながらのトルキオ(圧搾機)を使って3回は搾らないといけないから大変よ。男性陣に任せているわ」
ブドウの皮に付いた実の部分が一番おいしいため、それを捨てまいとこそげ取るように搾り尽くす。なかなかの重労働を、主に7人の男性たちで担っているというのだがー
実は、この「7人」がトルキアートを語る上でのキーワード。
「このワインは1600年代、忘れられて放置されたブドウから偶然出来上がったものだと言われているの。何百年も続く伝統を消すわけにはいかないって、皆で立ち上がったのよ」
とルイーザさんは言う。
つまりはこうだ。それまではこの地域の生産者たちが個々にトルキアートを造っていたものの、しっかりとした販売ルートがなく、トレヴィーゾ県界隈で消費されるのみであった。このままではいずれ消滅してしまう、と危機を感じていた生産者7家族で2012年にコンソーシアムを設立。協力し合って1つのブランドを打ち出すことにした。それが冒頭のPIERA DOLZAというわけ。
Torchiato di Fregona DOCGのワインはPIERA DOLZAしか存在せず、このワイナリーでしか造られていないというのも納得だ。
ちなみに、PIERA DOLZAとは昔、この地域で使われていた石材ベースの共同トルキオのこと。ロゴのモチーフにもなっている。
団体設立効果は絶大で、数々の賞を受賞したり、海外への輸出も始まったり。東京の展示会にまで辿り着いたわけだから、ビックリである。プロモーションにも力を入れ、知名度や販路を広げることで生産量も拡大していきたいというのが皆の思いだ。
デザートワインとして焼き菓子にもよく合うが、この地域の特産チーズなどとも相性抜群!トルキアートで食後にちょっと優雅なひとときをいかが。
Un ringraziamento a
Cantina Produttori Fregona
Via Castagnola 50
31010 Fregona (TV)
Website
聞くと、このトルキアート“Torchiato di Fregona DOCG”はプロセッコの主要品種グレラなどからできているという。プロセッコで有名なヴェネト州トレヴィーゾ県の一角、小さな小さな田舎町に唯一のワイナリーがあり、生産量は年間1万5000本とごくわずか。にもかかわらず、先日のFOODEX JAPAN 2023に出展されるほど注目度が増しているようだ。
ちょっと気になったのでワイナリーに行ってみた。
3月中旬、ワイナリーのあるフレゴーナの丘は、まだ肌寒さが残っていた。背後にカンシーリョ山が広がるおかげで、年中、風通しが良くブドウ栽培に最適なエリアである。
ワイナリ―に足を踏み入れると、陰干し中のブドウが所狭しと積み重ねられていた。
「9月に収穫したから、もう6か月。ちょうど来週あたりから搾り始めるのよ」
と案内してくれたのはルイーザさん。
Torchiato di Fregona DOCGを名乗るには3つの土着品種、ワインとしてのベースとなるグレラ、フレッシュな酸味を与えるヴェルディーゾ、 スパイスのようなアロマをもつボスケーラがそれぞれ35%、20%、25%以上含まれていなければならない。
それらを収穫後6か月間陰干しにすることでブドウから水分が抜け、糖分が凝縮される。搾った果汁は発酵に1か月⇒木樽とステンレスタンクに分けられ熟成2年⇒さらにボトリング後に熟成5か月を要し、収穫から最低3年の月日を経てトルキアートはようやく完成だ。しかしながら、このワイナリーでは熟成期間を1年ほど長くとることでより深い味わいに仕上げている。
また、ブドウ畑は点在しているが、品種ごとに畑を分けることはせず、どの畑においても全3種のブドウを栽培している。これも特徴の一つ。3つの品種が生長過程でも相互作用し、同じグレラでも、プロセッコ用とは違う出来になるそうだ。
収穫は全て手摘みで、厳選された最良の房のみを採る。さすがプロの目である。
「搾るのも全て手作業。昔ながらのトルキオ(圧搾機)を使って3回は搾らないといけないから大変よ。男性陣に任せているわ」
ブドウの皮に付いた実の部分が一番おいしいため、それを捨てまいとこそげ取るように搾り尽くす。なかなかの重労働を、主に7人の男性たちで担っているというのだがー
実は、この「7人」がトルキアートを語る上でのキーワード。
「このワインは1600年代、忘れられて放置されたブドウから偶然出来上がったものだと言われているの。何百年も続く伝統を消すわけにはいかないって、皆で立ち上がったのよ」
とルイーザさんは言う。
つまりはこうだ。それまではこの地域の生産者たちが個々にトルキアートを造っていたものの、しっかりとした販売ルートがなく、トレヴィーゾ県界隈で消費されるのみであった。このままではいずれ消滅してしまう、と危機を感じていた生産者7家族で2012年にコンソーシアムを設立。協力し合って1つのブランドを打ち出すことにした。それが冒頭のPIERA DOLZAというわけ。
Torchiato di Fregona DOCGのワインはPIERA DOLZAしか存在せず、このワイナリーでしか造られていないというのも納得だ。
ちなみに、PIERA DOLZAとは昔、この地域で使われていた石材ベースの共同トルキオのこと。ロゴのモチーフにもなっている。
団体設立効果は絶大で、数々の賞を受賞したり、海外への輸出も始まったり。東京の展示会にまで辿り着いたわけだから、ビックリである。プロモーションにも力を入れ、知名度や販路を広げることで生産量も拡大していきたいというのが皆の思いだ。
デザートワインとして焼き菓子にもよく合うが、この地域の特産チーズなどとも相性抜群!トルキアートで食後にちょっと優雅なひとときをいかが。
Un ringraziamento a
Cantina Produttori Fregona
Via Castagnola 50
31010 Fregona (TV)
Website