マンマのレシピ

マンマの紹介

  • マティルデ・サンティーニ(Matilde Santini)さんとエレナ・コンティ(Erena Conti )さん
  • トスカーナ州シエナ出身
  • 【得意料理】パテ・ディ・フェガト、トルタ・ジュリオ

お料理説明・背景

「たっぷりチーズがとろけて、おいしいの、家族みんな目がないわ!」その通り、トルタを焼き始めると、ちょうど帰省していた姉のイゾッタさんや、お父さんまで、焼き上がりはまだかとキッチンを覗きに来る。

このメニューはサンティーニ家の定番であり、また冬のバカンスでスキーに行っていた時よく作った思い出のメニューでもある。雪山で冷えた体にうれしい熱々のチーズとポテトがおいしいのよね、と1台5役の真っ赤な「マルチ・カッター」を手際よく使いながら話してくれたのは、娘のマティルデさん。バカンス中はのんびりしたいもの、これはパパッとできるからいいわ。ほんとよく作ったわね、とマンマのエレナさん。

家族集合ジャガイモのタルトは、加える材料は地域によって違うものの、イタリア全土で食べられている料理。大きく分けて、ジャガイモに小麦と卵をつなぎにして焼くタイプと、チーズをつなぎとして焼くタイプがあり、サンティーニ家ではチーズ入り。

チーズはトスカーナの名産ピエンツァのペコリーノチーズを使う。これに、アリオーネ・デッラ・ヴァル・ディ・キアーナというニンニクを加えるのがサンティーニ流。

アリオーネ・デッラ・ヴァル・ディ・キアーナこのニンニクは、シエナ県のヴァル・ディ・キアーナだけで取れる希少なもので、普通のニンニクより大きく、旨味はニンニクそのもの、しかし香りはキツ過ぎず爽やかで、食べた後にニンニク臭が残ったり、胃もたれがしたりということがないという、願いも叶ったりの素晴らしい食材なのだ。ただ、この地方でしか取れないこと、旬の時期が限られていることで、トスカーナ州以外に出回ることが少ない。取材日は秋、春から夏が旬のアリオーネはそろそろ姿を消し始めた頃。でも、せっかく日本の皆さんに紹介するなら、ぜひアリオーネを使いたいと、町中の八百屋を探して買っておいてくれたのだ。もちろん、アリオーネがなければ普通のニンニクでもオッケー。卵やチーズの味を消さないように、控えめに入れると良いとのこと。

母娘の宇焼き方の違いさて、材料を「マルチ・カッター」でささっと切ったら、フライパンで焼き上げるのだが、ここで母娘にこだわりの差が。エレナさん(写真左)は、具をフライパンいっぱいに広げて、底面に焼き目がついたら、お皿を使って裏返す。一方、マティルデさんは、小さめに広げて、底面と側面にもしっかり焼け目がついてきたら、フライパンを振ってポンと裏返す。エレナさんの方はトロトロとした食感で、マティルデさんの方はモチモチとした食感になる。どちらが正解という訳でもないの、どっちもおいしいし、これは好みよね。仲良し母娘は顔を見合わせて笑う。さあ、皆さんはどちらがお好みだろうか?

レポート:藤原 亮子(Ryoko Fujiwara)
イタリア・フィレンツェ在住フォトグラファー&ライター。東京でカメラマンとして活動後、'09年、イタリアの明るい太陽(と、おいしい食べ物)に魅せられて渡伊。現在、取材・撮影・執筆活動をしつつ、イタリアの伸びやかな景色をテーマに写真作品も制作中。

材料

ジャガイモとペコリーノチーズのトルタ (4人分)

・ジャガイモ350g
・タマネギ中1個
・アリオーネ・デッラ・ヴァル・ディ・キアーナ1片ニンニクのすりおろし小さじ1/2でも可
・ペコリーノチーズ350g
・塩少々

本レシピでマンマが使用している『マルチ・カッター』は赤くてかわいいイタリアキッチンツール「Pomo d'oro(ポモドーロ)」からお求めいただけます。

作り方

下ごしらえ

  1. ジャガイモの皮をむいて、水にさらしておく(写真a 参照)

作り方

  1. ジャガイモ、アリオーネ、チーズをそれぞれマルチ・カッターでカットする。(写真b,c,d,e 参照)
  2. タマネギをみじん切りにする。(写真f 参照)
  3. 鍋にオリーヴオイル(分量外)を入れ、タマネギを炒める。(写真g 参照)
  4. タマネギに火が通ったら、ジャガイモとアリオーネを入れ、塩を加えて炒める。(写真h 参照)
  5. 少量の水を加えつつ、中火で約10分ほど炒め、ジャガイモに火を通す。(写真i 参照)
  6. チーズを加える。チーズがとろけたら火から下ろす。(写真j 参照)
  7. フライパンにオリーヴオイル(分量外)を入れ、6のタネを、1.5~2cmの厚みで流し入れる。(写真k 参照)
  8. フライ返しで押し付けるように形を整えたら、まず蓋をして2~3分蒸し焼きにする。(写真l 参照)
  9. 蓋を外して、底面の焼き具合を見て火加減を調節しつつ、底面がカリカリに焼けたら裏返して、反対面も同じように焼き色がつくまで焼いて出来上がり。(写真m,n 参照)
  • a. 皮をむいたジャガイモを水にさらす
  • b. ジャガイモすを千切りにする
  • c.アリオーネをすりおろす
  • d. チーズの皮を切り落とす
  • e. マルチ・カッターでおろす
  • f. タマネギをみじん切りにする
  • g. 鍋にオイルを入れタマネギを炒める
  • h. ジャガイモとアリオーネを加える
  • i. 少量の水を加えつつ炒める
  • j. チーズを加えとろけたら火から下ろす
  • k. フライパンにタネを流しいれる
  • l. 形を整え蒸し焼きにする
  • m. 底面がカリカリに焼けたら裏返す
  • n. 小さめに作ってもOK

お料理ポイント

表面がしっかりカリカリになるまで焼くのがコツ。火が強すぎると焦げてしまうので、弱火~中火で調整しながら焼くよい。