知られざるヴェローナ伝統素材 町を彩る“赤大理石”
今年は観光地に人があふれ、多くのイベントも再開したイタリア。ヴェローナにおける天然石の祭典「マルモマック」も例外ではありません。
ヴェローナの展示場と言えば、VINITALYという春のイタリアワイン見本市が世界的に有名ですが、同じ会場で9月末に行われる天然石のメッセも業界では知られた存在。2年のブランクを経て今年56回目を迎えました。
煌びやかな天然石の数々は、見ているだけでも自然の神秘のようなものが感じられます。
富裕層向けの商材ならでは、各社のブースは仮設にもかかわらず高級バーのような装いです。
細かな造形が圧巻の彫刻展示も。
また、会場内には大型機械や小型の道具セクションもあり、日本から研磨関連の企業が2社出展していたのも嬉しく感じました。
さて、イタリアの天然石といえばカッラーラの大理石
だけではありません。
ヴェローナでこのマルモマックが行われるのは、やはり歴史的に天然石を使ってきた町だから。山岳地帯レッシーニアではピンクや赤の石が採れ、いわば伝統産業の1つ。実は町中にその石が多用されています。
古代ローマ時代に建てられた約2000年前のアレーナも、内外ともにいわゆる「ヴェローナの赤大理石」からできたもの。
中世の頃、ヴェローナを支配していたスカラ家の霊廟にも使われています。
さらにドゥオモをはじめ、町の至る所に点在する教会も。
ヴェローナの外でも、歴史的に北イタリアの大きな教会などにはよく使われる素材でした。
メインストリートや広場の地面も、ピンクがかっていたらそれはヴェローナ特有の石。階段や床などマンションの共有部分の内装や公園や庭のベンチに使われていることも多々あります。
この赤大理石が丈夫なのは、アレーナのお墨付き。1億5000年前までこの一帯は海だったため、アンモナイトの化石を探すのも楽しいものです。
さて、ヴェローナ最大級の「赤大理石」の採石場、ファザー二・チェレステ社にお邪魔してみると、赤い山肌が。
標高700m地点を中心に広がっていて、形成された時代により4種類の石に分けられるらしいです。
一見、濃い茶色っぽくも見えますが、磨きをかけることでツヤツヤの光沢感がある朱色の石へと生まれ変わっていきます。しかも、切る方向や加工の施し方によって何パターンにも変化し、味わいが全く異なるのです。
高級感ある色合いは海外セレブにも人気で、撥水性に優れ、湿気に強い性質を生かしてキッチンやバスルームなどに使われることも多いそう。
しかしながら、この採石場を父と一緒に守るルカさんによると、この産業は下火なんだとか。採石場が残っているのは4か所のみです。1980年代までは流行りだったものの、この濃い色が古い印象を与え、現代の家に合わせにくいのが一因。今となっては比較的安価でどんな色にも自由に染められるセメントの方が主流となっています。
伝統と時代の流れの間に葛藤が生じるのは、仕方ないのかもしれません。が、たとえブームが去っても、歴史と伝統という土台がしっかりしているものは決して消えない、とルカさんは信じています。
ヴェローナを散策していると至るところに見受けられる赤大理石。お越しの際はぜひ注目してみてくださいね。
ヴェローナの展示場と言えば、VINITALYという春のイタリアワイン見本市が世界的に有名ですが、同じ会場で9月末に行われる天然石のメッセも業界では知られた存在。2年のブランクを経て今年56回目を迎えました。
煌びやかな天然石の数々は、見ているだけでも自然の神秘のようなものが感じられます。
富裕層向けの商材ならでは、各社のブースは仮設にもかかわらず高級バーのような装いです。
細かな造形が圧巻の彫刻展示も。
また、会場内には大型機械や小型の道具セクションもあり、日本から研磨関連の企業が2社出展していたのも嬉しく感じました。
さて、イタリアの天然石といえばカッラーラの大理石
だけではありません。
ヴェローナでこのマルモマックが行われるのは、やはり歴史的に天然石を使ってきた町だから。山岳地帯レッシーニアではピンクや赤の石が採れ、いわば伝統産業の1つ。実は町中にその石が多用されています。
古代ローマ時代に建てられた約2000年前のアレーナも、内外ともにいわゆる「ヴェローナの赤大理石」からできたもの。
中世の頃、ヴェローナを支配していたスカラ家の霊廟にも使われています。
さらにドゥオモをはじめ、町の至る所に点在する教会も。
ヴェローナの外でも、歴史的に北イタリアの大きな教会などにはよく使われる素材でした。
メインストリートや広場の地面も、ピンクがかっていたらそれはヴェローナ特有の石。階段や床などマンションの共有部分の内装や公園や庭のベンチに使われていることも多々あります。
この赤大理石が丈夫なのは、アレーナのお墨付き。1億5000年前までこの一帯は海だったため、アンモナイトの化石を探すのも楽しいものです。
さて、ヴェローナ最大級の「赤大理石」の採石場、ファザー二・チェレステ社にお邪魔してみると、赤い山肌が。
標高700m地点を中心に広がっていて、形成された時代により4種類の石に分けられるらしいです。
一見、濃い茶色っぽくも見えますが、磨きをかけることでツヤツヤの光沢感がある朱色の石へと生まれ変わっていきます。しかも、切る方向や加工の施し方によって何パターンにも変化し、味わいが全く異なるのです。
高級感ある色合いは海外セレブにも人気で、撥水性に優れ、湿気に強い性質を生かしてキッチンやバスルームなどに使われることも多いそう。
しかしながら、この採石場を父と一緒に守るルカさんによると、この産業は下火なんだとか。採石場が残っているのは4か所のみです。1980年代までは流行りだったものの、この濃い色が古い印象を与え、現代の家に合わせにくいのが一因。今となっては比較的安価でどんな色にも自由に染められるセメントの方が主流となっています。
伝統と時代の流れの間に葛藤が生じるのは、仕方ないのかもしれません。が、たとえブームが去っても、歴史と伝統という土台がしっかりしているものは決して消えない、とルカさんは信じています。
ヴェローナを散策していると至るところに見受けられる赤大理石。お越しの際はぜひ注目してみてくださいね。