お料理説明・背景
取材は2010年9月でした。ウンブリア州テルニ県の小さな村マッキエ。そこで食品から生活用品までを扱う、村では貴重な店を営んでいるのはフィリッピさん一家。ご主人の作るサルシッチャは、塩とコショウ、ニンニクだけのシンプルな味付けだが、おいしいと評判でローマからも買いに来るというファンもいました。
二人娘の一人、フランチェスカさんは、『イタリア好き』のマンマのパスタソースシリーズの「キャベツとサルシッチャのソース」のレシピを提供してくれたマンマです。そのサルシッチャのレシピがパパのレシピです。
今回紹介するレシピは、うどんのような太麺にたっぷりの黒トリュフソースをからめたパスタです。ウンブリアは黒トリュフの産地としても有名。
取材のときは、フランチェスカさんのご主人ファウストさんがトリュフ狩りに連れて行ってくれました。緑のハートともいわれるウンブリア州は、自然豊かなところ。ジープに乗って進むと、鹿やイノシシとも出会う森で、トリュフ犬を引き連れて狩りをしたのを思い出します。
マンマ、ブリジアさんは、季節の贈り物黒トリュフを使って、家族皆が大好物のマンフリーコリ・アル・タルトゥーフォを作ってくれました。いつもは店番をしていて忙しいマンマ、ブリジアさんですが、休みの日には家族揃って食事をするので、二人の娘さんも手伝って料理をして、食卓は賑やかになります。
マンフリーコリとは「不細工な紐」という意味で、小麦粉と水、塩だけで作る不揃いの太麺。もちっとしっかり歯応えのあるパスタに黒トリュフのソースが絡み、味、香り、ボリューム言うことなしの一品です。トリュフは地元猟師の特権で、たっぷり使っていますが、我々日本では、そうもいかないのが残念です……。
もう一品紹介してくれたのは、バルバッツァ・コン・サルヴィアでした。バルバッツァとは方言で、グアンチャーレ(豚の頬肉の塩漬け)のことで、フィリッピさんの自家製。
薄切りにしたグアンチャーレを、オリーヴオイルで炒めてセージとワインビネガーで味付けします。グアンチャーレの独特なうま味と香りに、セージとワインビネガーが絶妙にマッチして最高なんです!
ブリジアさんは数年前に他界されて、店も閉店してしまいましたが、フィリッピ家の味は、フランチェスカさんとフィリッポさんが営むアグリトゥリズモで受け継がれています。
文:イタリア好き編集長 マッシモ 写真:萬田康文
材料
マンフリーコリ・アル・タルトゥーフォ(4人分:1人前150gのパスタ)
・小麦粉 | 400g | グラノ・テネロ〈軟質小麦〉または薄力粉 |
---|---|---|
・水 | 200cc程度 | 適宜加減する |
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル | 80cc | |
・サマー黒トリュフ | 50~100g | トリュフの熟成具合によって調整(写真は分量の3~5倍ほどある) |
・ニンニク | 1片 | |
・赤唐辛子 | 1本 | 唐辛子の辛さによって調整 |
・塩 | 適量 | ソースの味付けとパスタをゆでる用 |
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作り方
マンフリーコリを作る
- 小麦粉で土手を作り、フォークと手を使いながら少しずつ水を入れながらまとめていく。(*水加減は様子を見ながら適宜調整)(写真a,b 参照)
- 耳たぶほどの固さになったら濡れた布巾で生地を包み20~30分置く。(写真c,d 参照)
- 適当な大きさに切って2~3mmの厚さになるように伸ばしたら紐状に切り、端から転がすように丸めていく。(写真e,f 参照)
- 成形したパスタには粉を振っておく。(写真g 参照)