今やイタリアを代表する瓶内二次発酵の泡、”フランチャコルタ”。
シャンパーニュにも引けをとらない品質の高さでイタリアの高級スパークリングワインを牽引する存在だ。きめ細かな泡立ちと土壌由来のミネラル感、心地の良い果実味。味わってみれば誰もが「心地よい!気に入った! 」と感じるであろう人気の泡だが、生産が始まったのは1961年とその歴史は比較的新しい。
同じく瓶内二次発酵製法で造られるフランスのシャンパーニュの生産開始年は1729年、スペインのカヴァは1872年と言われていることを考えれば、その差は明らかだ。しかし、フランチャコルタは、生産開始からわずか30年後の1995年に、イタリアの瓶内二次発酵のスパークリングワインとして初めてDOCGに認定されるなど、短期間で成長を遂げている。今回は、この“フランチャコルタ”というブランド確立の一端を担ったモンテ・ロッサ社の歩みを振り返りつつ、今年5月26日に竣工式が行われた「超斬新で」「アヴァンギャルドな」新ワイナリーをご紹介したい。
モンテ・ロッサの名声を高めることに一役買ったのが、現オーナーのエマヌエーレさんが造った看板ワインの“カボション”だ。泡にこだわるエマヌエーレさんは、フランチャコルタにも「クリュ」の概念を取り入れ、*40ヶ月以上の長期にわたる瓶内二次発酵の熟成、さらには一部バリックを使用するという革新的なフランチャコルタを誕生させた。この”カボション”は2004年にイタリアワインガイドのガンベロ・ロッソ誌で年間最優秀スプマンテに選ばれた逸品だ。
*2019年に新たに誕生したカボション・フオリセリエは36ヶ月以上の熟成
モンテ・ロッサ社の生産規模は約50万本。100万本以上を世に送り出すベルルッキやカデルボスコ、ベッラヴィスタと比べると小規模だが、他社と一線を画す特徴が、「泡しか造らない」というこだわりだ。モンテ・ロッサ社は、「泡のみに専念する」ことで独自の存在感を確立したと言えるだろう。
こうして創業からの50年の間に、フランチャコルタという銘柄、そして、自社を代表する”カボション”というブランドを育んできたモンテ・ロッサ社が、次の50年、100年を見据えて新たに建設したワイナリーが5月末にお披露目された。
▲新ワイナリー正面入り口
「よく来たね!! さあ今日はこの新ワイナリー竣工式でゆっくり楽しんでいっておくれ。」
竣工式のワイナリー玄関では、オーナーのエマヌエーレさん自ら出迎えてくれた。
300名以上のゲストを招待し、挨拶にあちらこちら忙しそうながらも、その表情はとても満足気だ。盛大なパーティーでも、いつもと変わらず大好きな葉巻をくわえながら歩き回る様子に、思わずこちらも笑顔になってしまう。
新ワイナリーは730日に及ぶ工事の末にようやく完成。敷地面積7,500㎡、地下9メートルを掘り下げ重力を利用してワイン醸造を行うグラヴィティ・フローを取り入れた最新式だ。コロナによる工事の遅延もあったが、結果的に、モンテ・ロッサの創業50周年の節目でのお披露目となり、竣工式は大盛り上がりとなった。
会場ではエマヌエーレオーナーと息子のパオロが50と大きく書かれた特製フランチャコルタをゲストに提供する場面も。
ワインを提供するバーカウンターはエマヌエーレオーナー自身が大変にこだわって設計したそうだ。
通常の2倍もの奥行があるU字型の設計で、席数もその広さのわりにかなり少なく抑えられている。
「特別なフランチャコルタを飲むカウンターだからね。ゆったりとラグジュアリーなほうがいいだろう?」
カウンターそのものの広さもさることながら、目の前の大きな窓ガラス越しにはイゼオ湖の南に広がるフランチャコルタの丘陵地が見渡せ、至極の一杯が味わえるカウンターとなっている。
「この新しいワイナリーはラグジュアリーなバーカウンター以外にも、人間工学に基づいて、中で働く従業員のことを思いやった作りになっているんだ。スタッフひとりひとりのオフィスデスクも広くて、全てにおいてゆとりを持たせた構造になっている。自然光を最大限に取り入れて、排気音やモーター音などが屋内では聞こえないような工夫もこらしているんだよ。」
本当に居心地のよい空間。地上から地下への3階構造の吹き抜け式階段の天井には、自然光を採り入れる窓がある。方角を計算し、屋根のひさしを的確に配置することで、暑い直射日光は入らないようになっているようだ。大きな観葉植物を飾ることで清々しさが増し、ワイナリーのメイン空間はとても開放感にあふれている。
「環境に与える影響も考えているんだ。ほら、この最新式の発酵タンクを見てごらん。光り輝く特殊なステンレス素材を使っているんだ。表面がすごく滑らかだから掃除する時は温水と蒸気のみでOK。部屋の壁面も水が自動で流れ落ちるなめらかな設計にしたことで、洗剤を使用する必要がないんだ。」
「Dettagli fanno la differenza 細部が違い生み出すんだ。」
これは、エマヌエーレ氏のワイン造りの哲学だが、こういった環境への配慮にも彼の価値観が通じていると実感した。
雄大な空間に細心の配慮を取り入れたこだわりのワイナリーを新たに構えたモンテ・ロッサ社だが、今後、規模を拡大する予定などはあるのだろうか。
「生産本数は当面変えずに、より品質の高いフランチャコルタ造りを目指すよ。この新ワイナリーは20才になる息子のパオロや28才の甥の新たな未来の扉という意味もあるんだ。」
なるほど、小規模ながらも品質の高い泡を造るというこだわりは継承されるようだ。
もともとある醸造所は、カボション専用となり、歴史ある迎賓館としての役割も担うらしい。
竣工式のエマヌエーレさんのスピーチでは、50年のモンテ・ロッサの歴史に思いを馳せて、涙をこらえて喋れなくなるシーンがたびたび見られた。
「ここには私たちと同じようにスパークリングワインを造る生産者が多数いらっしゃっているが、私はあなたたちを決して競争相手とは思っていない。常に互いに学び合う大切な仲間だと思っている。」
こういった仲間意識もフランチャコルタというブランドが急速に発展した要因のひとつなのかもしれない。
新たなステージを迎えたモンテ・ロッサ社が造るフランチャコルタへの期待ふくらむ1日となった。これまでの50年の歴史を引継ぎ、次なる50年に向けてモンテ・ロッサ社が環境や細部にこだわりぬいたアヴァンギャルドなワイナリーで生み出されるフランチャコルタ・・・特別な日に開けて、こまやかに立ちのぼり消えていく泡を楽しみながら、無数の人との出会いや輝く未来に思いを馳せてみてはいかがでしょう。
モンテ物産
http://www.montebussan.co.jp/
▼モンテロッサ社はこちら↓↓▼
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シャンパーニュにも引けをとらない品質の高さでイタリアの高級スパークリングワインを牽引する存在だ。きめ細かな泡立ちと土壌由来のミネラル感、心地の良い果実味。味わってみれば誰もが「心地よい!気に入った! 」と感じるであろう人気の泡だが、生産が始まったのは1961年とその歴史は比較的新しい。
同じく瓶内二次発酵製法で造られるフランスのシャンパーニュの生産開始年は1729年、スペインのカヴァは1872年と言われていることを考えれば、その差は明らかだ。しかし、フランチャコルタは、生産開始からわずか30年後の1995年に、イタリアの瓶内二次発酵のスパークリングワインとして初めてDOCGに認定されるなど、短期間で成長を遂げている。今回は、この“フランチャコルタ”というブランド確立の一端を担ったモンテ・ロッサ社の歩みを振り返りつつ、今年5月26日に竣工式が行われた「超斬新で」「アヴァンギャルドな」新ワイナリーをご紹介したい。
~フランチャコルタにおけるモンテ・ロッサの存在感~
モンテ・ロッサ社の創業は1972年。現オーナーの両親、パオロ&パオラ・ラボッティが立ち上げたワイナリーだ。規模は小さいながらも、品質の高さを認められ、フランチャコルタの造り手の中ではやくも重要なワイナリーとなったのだろう。1990年に発足したフランチャコルタ協会の初代会長をパオロ・ラボッティが務めたことからも、他ワイナリーからの信望があったことが伺える。モンテ・ロッサの名声を高めることに一役買ったのが、現オーナーのエマヌエーレさんが造った看板ワインの“カボション”だ。泡にこだわるエマヌエーレさんは、フランチャコルタにも「クリュ」の概念を取り入れ、*40ヶ月以上の長期にわたる瓶内二次発酵の熟成、さらには一部バリックを使用するという革新的なフランチャコルタを誕生させた。この”カボション”は2004年にイタリアワインガイドのガンベロ・ロッソ誌で年間最優秀スプマンテに選ばれた逸品だ。
*2019年に新たに誕生したカボション・フオリセリエは36ヶ月以上の熟成
モンテ・ロッサ社の生産規模は約50万本。100万本以上を世に送り出すベルルッキやカデルボスコ、ベッラヴィスタと比べると小規模だが、他社と一線を画す特徴が、「泡しか造らない」というこだわりだ。モンテ・ロッサ社は、「泡のみに専念する」ことで独自の存在感を確立したと言えるだろう。
こうして創業からの50年の間に、フランチャコルタという銘柄、そして、自社を代表する”カボション”というブランドを育んできたモンテ・ロッサ社が、次の50年、100年を見据えて新たに建設したワイナリーが5月末にお披露目された。
~これからの未来を切り開く「アヴァンギャルドな」新ワイナリー誕生~
「よく来たね!! さあ今日はこの新ワイナリー竣工式でゆっくり楽しんでいっておくれ。」
竣工式のワイナリー玄関では、オーナーのエマヌエーレさん自ら出迎えてくれた。
300名以上のゲストを招待し、挨拶にあちらこちら忙しそうながらも、その表情はとても満足気だ。盛大なパーティーでも、いつもと変わらず大好きな葉巻をくわえながら歩き回る様子に、思わずこちらも笑顔になってしまう。
新ワイナリーは730日に及ぶ工事の末にようやく完成。敷地面積7,500㎡、地下9メートルを掘り下げ重力を利用してワイン醸造を行うグラヴィティ・フローを取り入れた最新式だ。コロナによる工事の遅延もあったが、結果的に、モンテ・ロッサの創業50周年の節目でのお披露目となり、竣工式は大盛り上がりとなった。
会場ではエマヌエーレオーナーと息子のパオロが50と大きく書かれた特製フランチャコルタをゲストに提供する場面も。
ワインを提供するバーカウンターはエマヌエーレオーナー自身が大変にこだわって設計したそうだ。
通常の2倍もの奥行があるU字型の設計で、席数もその広さのわりにかなり少なく抑えられている。
「特別なフランチャコルタを飲むカウンターだからね。ゆったりとラグジュアリーなほうがいいだろう?」
カウンターそのものの広さもさることながら、目の前の大きな窓ガラス越しにはイゼオ湖の南に広がるフランチャコルタの丘陵地が見渡せ、至極の一杯が味わえるカウンターとなっている。
「この新しいワイナリーはラグジュアリーなバーカウンター以外にも、人間工学に基づいて、中で働く従業員のことを思いやった作りになっているんだ。スタッフひとりひとりのオフィスデスクも広くて、全てにおいてゆとりを持たせた構造になっている。自然光を最大限に取り入れて、排気音やモーター音などが屋内では聞こえないような工夫もこらしているんだよ。」
本当に居心地のよい空間。地上から地下への3階構造の吹き抜け式階段の天井には、自然光を採り入れる窓がある。方角を計算し、屋根のひさしを的確に配置することで、暑い直射日光は入らないようになっているようだ。大きな観葉植物を飾ることで清々しさが増し、ワイナリーのメイン空間はとても開放感にあふれている。
「環境に与える影響も考えているんだ。ほら、この最新式の発酵タンクを見てごらん。光り輝く特殊なステンレス素材を使っているんだ。表面がすごく滑らかだから掃除する時は温水と蒸気のみでOK。部屋の壁面も水が自動で流れ落ちるなめらかな設計にしたことで、洗剤を使用する必要がないんだ。」
「Dettagli fanno la differenza 細部が違い生み出すんだ。」
これは、エマヌエーレ氏のワイン造りの哲学だが、こういった環境への配慮にも彼の価値観が通じていると実感した。
雄大な空間に細心の配慮を取り入れたこだわりのワイナリーを新たに構えたモンテ・ロッサ社だが、今後、規模を拡大する予定などはあるのだろうか。
「生産本数は当面変えずに、より品質の高いフランチャコルタ造りを目指すよ。この新ワイナリーは20才になる息子のパオロや28才の甥の新たな未来の扉という意味もあるんだ。」
なるほど、小規模ながらも品質の高い泡を造るというこだわりは継承されるようだ。
もともとある醸造所は、カボション専用となり、歴史ある迎賓館としての役割も担うらしい。
竣工式のエマヌエーレさんのスピーチでは、50年のモンテ・ロッサの歴史に思いを馳せて、涙をこらえて喋れなくなるシーンがたびたび見られた。
「ここには私たちと同じようにスパークリングワインを造る生産者が多数いらっしゃっているが、私はあなたたちを決して競争相手とは思っていない。常に互いに学び合う大切な仲間だと思っている。」
こういった仲間意識もフランチャコルタというブランドが急速に発展した要因のひとつなのかもしれない。
新たなステージを迎えたモンテ・ロッサ社が造るフランチャコルタへの期待ふくらむ1日となった。これまでの50年の歴史を引継ぎ、次なる50年に向けてモンテ・ロッサ社が環境や細部にこだわりぬいたアヴァンギャルドなワイナリーで生み出されるフランチャコルタ・・・特別な日に開けて、こまやかに立ちのぼり消えていく泡を楽しみながら、無数の人との出会いや輝く未来に思いを馳せてみてはいかがでしょう。
http://www.montebussan.co.jp/
▼モンテロッサ社はこちら↓↓▼
https://www.montebussan.co.jp/wine/monterossa.html
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