お料理説明・背景
食後酒として日本でもおなじみのリモンチェッロは、ソレントあたりのマンマの味が原点だという。
カンパーニア州ソレントでレモン農園とアグリトゥリズモを営むイーダさん家族。僕がイーダさんに最初に会ったのは2009年。そのときはリモンチェッロの作り方を教えてもらった。
ソレントIGPのレモンは、ラグビーボールのような形をしていて、日本でよく見るレモンよりは一回りも二回りも大きい。冬はミクロクリーマーという気候でしっかり冷え込むため、味が濃厚になる。それに加え、花が咲いてから収穫まで1年をかけて育てるため、香りが強いのも特徴だ。そんなレモンで作るリモンチェッロはうまいに決まっているのだ。
ピーラーでできるだけ薄くむいた皮(白い部分が入ると苦くなるので注意)を、スピリタス(96度のアルコール)に2、3日漬けて(黄色が白くなったら)から漉して、グラニュー糖を水で溶いたシロップと合わせて瓶に詰め替え1〜2週間寝かせたらたら、香りのいい最高のリモンチェッロの出来上がり。シンプルなだけに素材のよさが決めてになる。
このときはリモンチェッロとは別に、ご主人のジョゼッペさんが、少し温めた自家製のオリーヴオイルに、たっぷりレモンを絞ってサイコロ状に切ったパンをその中で混ぜ合わせて食べさせてくれたのもとても印象に残っている。シンプルなのに抜群にうまかった。
再会は2020年2月。歳を重ねた分、息子のルイージさんと娘のヴァレンティーナさんが二人を支え、農園もアグリもしっかり営業している。
アグリトゥリズモでは、レモンを使った料理をいろいろ提供していて、写真のソレント風スカロッピーナもその一つで自慢の一品。レモンソースの効いた軽く爽やかな味が食欲をそそる。
ポンペイのあたりで古代ローマ人が観賞用に栽培を始めたとされるレモン。土地に根付く長い歴史を背景に、その価値を今に伝えている。ソレントレモンのよさを知ってもらい、食べてもらうことで、ファンになってもらえればこれほどうれしいことはない。今回紹介するレモンのリゾットもその思いから。ソレント産とはいかないが、無農薬のレモンを手に入れて、さわやかで風味豊かなレモンのリゾットをぜひ試してみてほしい。
*イーダさん家族のことはレモンのティラミスのところでも紹介しています。
文:イタリア好き編集長 マッシモ 写真:遠藤素子 萬田康文(リモンチェッロ)
材料
レモンのリゾット(1〜2人分)
・米 | 70g | できればカルナローリ米 |
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・レモン | 1(小さめなら2個)個 | できれば無農薬 |
・バター | 30g | |
・パルミジャーノ・レッジャーノ | 適量 | |
・野菜のブロード | 500㏄程度 | 顆粒ブロードを湯に溶かしたものでも可 |
・オリーヴオイル | 適量 |
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作り方
- ブロードの中にレモンのピーラーでむいた皮(分量外)を入れて温めておく。(写真a 参照)
- 別鍋にオリーヴオイルとモンの皮(黄色の部分だけを使う。千切り用のピーラーを使うか、むいた皮を千切りにする。)を入れて火にかけ、香りがでたら米を加えてオリーヴオイルでしっかり米をコーティングする。(注:米は洗わない。)(写真b,c 参照)
- 米全体がうっすら透明になってきたら、ひたひたになる程度のブロードを加え20分程度炊く。鍋は常にブクブクしている状態を保ち、途中様子を見ながら米の表面に小さな穴ができたら、ブロードを足しながら炊いていく。(注:このときイーダさんは混ぜない。混ぜ過ぎると米の粘りがでてしまので注意する。)(写真d 参照)
- 米の固さを確認して、よければ火から下ろしてバター、パルミジャーノ・レッジャーノを加え空気をいれながらしっかり混ぜ乳化させる。(写真e 参照)
- 仕上げにレモンの皮を削り、絞ったレモン汁(適量)を加えて混ぜ合わせたら出来上がり。(写真f,g 参照)