お料理説明・背景
初めてのモリーゼ州の取材は2014年の6月。会う人誰もが、穏やかに感じたと取材メモに書かれていた。
ジュゼッピーナさんのご主人のルイジさんは、取材先の各所を紹介してくれて本当にお世話になった方。ボネーフロ出身の二人は、ルイジさんが22歳、ジュゼッピーナさんが18歳のときに知り合い、その後結婚。ルイジさんの仕事の関係で、カナダで10年間暮らした後、ボネーフロに戻り暮らしている。2002年の大地震のから10年以上も経っていたのに、保障問題が解決していなく、まだ仮設住宅暮らしだった。でも、そんな家に招いてくれて、取材をさせてくれたことが何よりうれしいことだった。
小さな仮設住宅でも整えられた部屋。壁にはお気に入りの写真や絵が掛けられ、飾られた花が部屋を明るくし、そこには二人の暮らしがちゃんとあったのが印象的だった。そしてジュゼッピーナさんは終始笑顔で、いつもニコニコと穏やかだった。
週末にはルイジさんの弟ジーノさん家族と、必ずどちらかの家で食事をするという。この日はジーノさん家族がやってきた。 取材は慣れないジュゼッピーナさんが少し照れながら料理をするのを、ジーノさんの奥さんフランカさんが手伝って、息の合った二人でバッカラを使った2品(パスタソースとグリル焼き)とそれ以外に1品の3品を用意してくれたのだった。
アドリア海側の町テルモリから内陸に50kmほど入ったところにあるボネーフロ、魚といえばバッカラ(干しダラ)を使った料理が主流だとルイジさん。大きなバッカラを丁寧に戻して使えば、パスタのソースやフリット、オーブンで焼いたり、ほぐしてラビオリの具材にしたりと展開は実に豊富だから、大勢で集まる時はよく食べる。ジュゼッピーナさんも、手間はかかるけどおいしいので、それらの料理が好きで、得意と話していた。
今回はバッカラのパスタに、南イタリア特有のパン粉のふりかけモリーカをかける。トウガラシの産地らしく、しっかりピリ辛に仕上げたモリーカを最後にかけることで、味にアクセントを加えた。 学校が終わった甥っ子たちも加わり、6人で囲む小さなテーブルには、家族が揃って無事でいられることへの感謝と大切さがひしひしと伝わってきたのだった。
*残念ながら今は連絡を取ることができずに、現在の状況をお伝えすることができません。保障問題が解決して、新しい家で元気に暮らしていることを願うのだ。
文:イタリア好き編集長 マッシモ 写真:萬田康文
材料
ブカティーニ・アル・バッカラ・コン・モリーカ(10人分)
バッカラ(戻したもの) | 1kg | |
---|---|---|
・タマネギ | 1/2個 | |
・ニンジン | 1本 | |
・セロリ | 1/2本 | |
・トマトソース | 1500cc | 市販のもので可 |
・ブカティーニ | 1kg | |
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル | 適量 | |
・塩 | 少々 | |
【コンディメント・ディ・モリーカ】 | ||
・乾燥したパン | 適量 | なければパン粉 |
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル | 適量 | |
・ニンニク | 適量 | |
・唐辛子 | 適量 |
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作り方
下ごしらえ
- バッカラは1日3回水を変えながら3日間水に漬けて戻しておく。
- コンディメント・ディ・モリーカを作る。エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイルをひいた鍋に、ニンニクと唐辛子を入れてこげないように弱火でいため、香りが出てきたところにパン粉を加える。(写真a 参照)
- キツネ色になるまでいためたら出来上がり。(写真b 参照)
作り方
- 鍋にエクストラ・バージン・オリーヴオイルをひいてみじん切りにしたタマネギ、ニンジン、セロリを入れ、塩をひとつまみ加え、香りが出て野菜がしんなりするまでいためる。(写真c 参照)
- 1にトマトソースを入れて、弱火で1時間(~2時間程度)煮込み、塩で味を整える。ただし、塩はバッカラの塩味も考慮して入れすぎない。煮込み時間の目安は、トマトが深い色に変わり、オイルの膜ができたころが目安に。(写真d 参照)
- 別の鍋に湯を沸かし、1%の塩を加えてブカティーニをゆでる。
- パスタをゆでている間に、適当な大きさに切ったバッカラを2に入れて温めておく。(写真e,f 参照)
- ブカティーニとソースを合わせて皿に盛り、鍋から取り出したバッカラを添えて、モリーカをかけたら出来上がり。(写真g 参照)