マンマのレシピ

マンマの紹介

  • リーナ・ミリオーレ(Lina Miglione)さん
  • シチリア州ノート在住
  • 手打ちパスタを使ったパスタ料理

お料理説明・背景

リーナさんを最初に取材をしたのが2013年。当時はご主人のアンジェロさんがその12年前にカンティーナと農業を始めたノートに、出身地アグリジェントから家族で移住して2年足らずの時。大学を卒業したばかりの長女マリリーナさんと、まだ学生だったの次女フェデリカさんの二人の娘もカンティーナを手伝っていた。

イワシと野生フェンネルのソースは、本来はパレルモの料理。でも今はシチリア全土でよく食べられるようになった。パスタはブカティーニ(真ん中に穴の空いたロングパスタ)が定番のようだが、今回のカヴァテッリのようなショートパスタでもよく食べる。リーナさんへのインタヴューメモにも、日曜日にはカヴァテッリやオレキエッテを打って家族で食事すると書いてあるので、家族は好んでカヴァテッリだ。取材の当日は、二人の娘も一緒にカヴァテッリを作っていたが、リーナさんが一所懸命に手解きをしていたのを覚えている。まだまだだったのだ。

野生のフェンネル(イタリア語ではフィノッキオ・セルヴァティコ)は白い球根が付くものとは別もの。葉と花が咲いた後の種はフェンネルシードになる。より香りが強いのが特徴で、季節になると道端でもよく見かける。この日も畑の畦道にアンジェロさんとマリリーナさんで採ってきたものを使った。

リーナさんは2016年に伊勢丹のイタリア展で開催した「マンマの料理フェスタ」に次女のフェデリカさんと来日してもらい、このパスタを提供して大人気を集めたのだ。
そしてさらに、『イタリア好き』マンマのパスタソースシリーズの一つ「マグロのラグーソース」のレシピもリーナさんのレシピを再現しているのだ。

リーナさんはカンティーナを訪れる客にワインテイスティングと合わせて料理を提供している。僕も何度か訪ねていて、親しくさせてもらっているけれど、行くたびにニーナさんがキラキラと素敵になっているなあと感じるのは、人生が充実している証なのかもしれない。アンジェロさんの造るワインもとてもすばらしいので、自由に旅ができるようになったらぜひ一度訪れて欲しい。

文:マッシモ 写真:萬田康文

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材料

イワシと野生フェンネルのカヴァテッリ(4人分)

【カヴァテッリ】
・セモリナ粉500g
・卵1個
・塩ひとつまみ
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル小1
・ぬるま湯200cc
【ソース】
・野生のフェンネルの枝2~3本野生でなくても可
・タマネギ1/2個
・イワシ塩漬け350g真イワシ+アンチョビでも可
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル小1
・フェンネルの茹で汁適量
・松の実大1/2
・干しブドウ大1
・トマトソース大2
【モリ―カ】
・硬くなったパン適量
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル適量

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作り方

  1. カヴァテッリを作る。(下記参照)
  2. ソースを作る。(下記参照)
  3. 鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩を入れ、カヴァテッリを入れて約5分茹でる。(※パスタの固さを確認してあげる)(写真o 参照)
  4. 茹で上がったらザルで水気を切り、ソースの中へ入れよく絡め、さらにモリーカも加えて混ぜ合わせる。(写真p 参照)
  5. 皿に盛りつけ、仕上げにもう一振りモリーカをかけて出来上がり。

カヴァテッリを作る

  1. 平らな台の上にセモリナ粉を出し、真ん中をくぼませて卵を落とす。(写真a 参照)
  2. フォークで卵をほぐしながら、塩、エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイルを加えて混ぜ、ぬるま湯を少しずつ加えながら粉を混ぜていく。(写真b 参照)
  3. 全体に水が回り混ざってきたら、手で混ぜ合わせて粉っぽさがなく、滑らかな生地になるようにこねていく。(写真c 参照)
  4. 生地の表面がツルッとして耳たぶくらいの固さになったらこねあがり。ラップをして30分寝かす。(写真d 参照)
  5. 打ち粉を振った台の上で寝かした生地を適当な大きなに切り、直径1㎝くらいの棒状にしてナイフで1cm程度の幅に切っていく。(写真e,f 参照)
  6. 親指を使って潰すように前後に動かし、真ん中がくぼみ、両端がくるっと丸い形にする。(写真g 参照)
  7. 成形したカヴァテッリをトレイの上に並べて30分ほど乾かす。(写真h 参照)

ソースを作る

  1. 鍋にたっぷりの水を沸かし、野生のフェンネルの枝を入れ茹でる。(写真i 参照)
  2. 枝がしんなりしてきたらザルにあげ、水気を切って細かく刻む。茹で汁は取っておく。(写真j 参照)
  3. フライパンにエクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル大2を入れ、みじん切りにしたタマネギをいため、しんなりしてきたら茹で汁をお玉1杯(約50cc)加える。(写真k 参照)
  4. 細かく刻んだフェンネルを入れてさらにいためる。(写真l 参照)
  5. 全体になじんだらほぐしたイワシの塩漬け、松の実、干しブドウ、トマトソースを入れて少し煮込み、さらにフェンネルの茹で汁をお玉1(約50cc)と、エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル大2を加えて仕上げる。(写真m 参照)

モリーカを作る

  1. 固くなったパンをフードプロセッサーで細かくする。
  2. エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイルを引いたフライパンに(1)を入れてカリッとキツネ色になるまでいためる。(写真n 参照)
  • a. セモリナ粉の真ん中をくぼませ卵を落とす
  • b. 卵をほぐしながらオイルを加える
  • c. ぬるま湯を加えながら混ぜる
  • d. 耳たぶくらいになったら寝かせる
  • e. 1㎝くらいの棒状にする
  • f. 1㎝幅に切っていく
  • g. 親指を使って丸い形にしていく
  • h. 30分ほど乾かす
  • i. フェンネルの枝を茹でる
  • j. 水気を切って細かく刻む
  • k. タマネギをいため茹で汁を加える
  • l. フェンネルを加えていためる
  • m. イワシ、松の実、干しブドウ、トマトソースを加えていく
  • n. 細かくしたパンをカリッといためる
  • o. カヴァテッリを茹でる
  • p. ソースと絡める

お料理ポイント

塩漬けイワシは、片口イワシ(アチューゲ Acciuge)と真イワシ(サルデ Sardina)のものがあり、この時マンマが使ったのは真イワシ。生のイワシを使う場合はコクだしにアンチョビを加えても。
貧しいチーズと言われる「モリーカ」はシチリア料理には欠かせない素材の一つ。ニンニクの香りを付けたり、トウガラシでピリ辛にしたりなど、味も自由にいろいろと試してみて。