マンマのレシピ

マンマの紹介

  • アンナリータ・デパウリス(Anna Rita DePaulis)さん
  • ラツィオ州ポメツィア市在住
  • 【得意料理】自家製ジャムを使ったクロスタータ

お料理説明・背景

ラツィオ州のドルチェを語る上で欠かせないのは、チャンベッリーネ・アル・ヴィーノでしょう。『アル・ヴィーノ』とはワインを成分に含むという意味で、チャンベッリーネを作る上でワインは欠かせない材料となります。赤ワインなのか白ワインなのか気になる方もいらっしゃるでしょう。実はどちらのレシピも存在します。ただし、私が住むラツィオ州では白ワインタイプが人気!
ラツィオ州は写真のように白ワインのヴァリエーションが赤ワインに比べて圧倒的に多く、食事にも白ワインがよく合わせられるからかもしれません。ちなみに赤ワインはトスカーナで使用されている場合が多いようです。 そしてトスカーナではアニスやシナモンで香り付けをしたり、ナッツを加えたりするレシピも多いようですが、ラツィオのものはいたってシンプル! 白ワインとオリーヴオイルの香りだけで十分に楽しめます。

ラツィオで白ワインを使用するのは歴史的、地理的理由があります。そもそもこのチャンベリーネ・アル・ヴィーノは、カステッリ・ロマーニ地方の発祥とされています。そしてその中でもフラスカーティという説が強いのです。フラスカーティといえば白ワイン。古代ローマ時代からの銘酒として知られ、イタリアで初のDOCワインのひとつとして認定もされています。必然として生まれたドルチェと言っても過言ではないですよね。

小麦粉と砂糖、オリーヴオイルとワインという、とてもシンプルかつ身近な材料で作れることもあり、その起源はフラスカーティの白ワイン同様に古代ローマ時代にも遡ります。そしてカステッリ・ロマーニ地方ロッカ・ディ・パーパでは、結婚式の引き出物としての大事な役割まで果たすようになっていきました。当時はまだ砂糖が貴重だった時代。結婚式のような機会でもない限り、なかなか庶民には食べることができなかったようです。

カッペリとオレガノ現在では、食後のデザートとして、特に大人のデザートとしてレストランで出てきます。少し固めのチャンベッローネは、食後酒やコーヒーなどにつけながら柔らかくしながらいただきます。ワインが入っているせいもあり、子供が口にすることは少ないようです。 自宅で作るよりもレストランのドルチェやお土産としてもてはやされているチャンベッリーネ。週末やバカンスシーズンにカステッリ・ロマーニ地方を訪れる人がその素朴な味わいに惹かれてお土産に買っていくことも多いそうです。

ちなみにチャンベッリーネとはチャンベッラの小さいものという意味。チャンベッラは浮き輪やドーナツを意味するので、小さな浮き輪、もしくは小さなドーナツという形のままの名前ということになりますね。シンプルで味わいの深いチャンベッリーネ。ローマ生まれ、ローマ育ちのアンナリータのレシピをご紹介していきましょう。使用するワインももちろんカステッリ・ロマーニ地方のものです。

レポート:平賀 つぐみ(Tsugumi Hiraga)
日系航空会社にて国際線CAを12年、その間2年程フィレンツェに料理留学したのを機に料理の世界に目覚める。イタリア料理以外にも懐石料理、ヴェトナム料理を学ぶ。2008年に渡伊。コルドンブ ルーでの非常勤講師を経て、自宅でイタリア家庭料理教室を主宰中。 野菜ソムリエ、現在はイタリアワインソムリエ取得中。 Instagram(@roma_italy_tsugumi)

材料

チャンベッリーネ・アル・ヴィーノ (約25個分)

・薄力粉280g
・砂糖50g甘党の方は60~80g
・白ワイン100ml辛口がおすすめ
・オリーヴオイル100ml

作り方

  1. 大きめのボウルに50gの砂糖、白ワイン、オリーヴオイルの順に加え混ぜ合わせる。(写真a 参照)
  2. 薄力粉を加え、べたつきがなくなるまでしっかりと混ぜ合わせる。(写真b 参照)
  3. 生地を木の台に乗せさらに5分ほどこね上げる。(写真c 参照)
  4. 生地を丸くまとめる。(写真d 参照)
  5. 生地を少しとり、1cm幅かつ10cmの長さになるように棒状に伸ばす。(写真e 参照)
  6. 先端同士をつなぎ合わせて小さなドーナツ型に形成する。(写真f 参照)
  7. 片面のみに砂糖を押し付けるようにまぶし、まぶした部分が上になるよう鉄板に、間隔を開けながら並べる。(写真g 参照)
  8. 180度に予熱したオーブンで約30~35分、きれいなきつね色になるまで焼く。(写真h 参照)
  • a. 砂糖、白ワイン、オイルの順に混ぜる
  • b. 薄力粉を混ぜ合わせる
  • c. 生地を台の上でこねる
  • d. 丸くまとめる
  • e. 棒状に伸ばす
  • f. 先端同士をつなぎ合わせる
  • g. 片面に砂糖をまぶす
  • h. オーブンで焼く

お料理ポイント

小麦粉の量は絶対量ではなく、あくまで目安となります。湿度や水分量により変わりますので、生地が手に付いてこない状態になるまで入れるようにしましょう。
白ワイン、今回はカステッリ・ロマーニ地方の土着品種、マルヴァジーア・プンティナータを使用しています。焼き上がったあとは、粗熱をとりしっかりと冷ましてからいただきます。お好みで白ワインやリキュール、コーヒーなどに染み込ませながら召し上がってもおいしいです。