お料理説明・背景
最近では、スーパーのお米のコーナーによく見かける黒米。イタリア語ではリーゾ・ヴェーネレ(Riso venere)と言いますが、見た目は真っ黒のお米です。
イタリアでは北イタリアのヴェルチェーリ(Vercelli)で、色々な種類のお米が耕されていて、このリーゾ・ヴェーネレ(Riso venere)は1997年に品質改良されて作られたお米です。20年前までイタリアでもまだ珍しいものではありましたが、近年スーパーのお米コーナーでは必ず売られている商品で、お料理の探究心がある人やいつもと違う一品を作りたいときに重宝されます。
イタリアで食されるお米には、炊き上がりが日本のように柔らかくなるお米と、炊き上がりにコシが残り型崩れしないお米があり、食感が異なります。
黒い色なので「どんな味か?」と興味をそそられますが、黒米もリゾット用のお米も後者となり、お米自体に特別な風味はないため、チーズや野菜でいろんな味付けをして食べるのがベストです。リゾットはもちろん、夏場は生野菜をふんだんに入れた冷製ご飯サラダ(Insalata di Riso)などに使われます。前者の柔らかく炊き上がるお米はミネストローネに加えたり、ライスコロッケ(Arancini)などに使います。ちなみにイタリア在住の私は、このお米を使って白米として炊いて食しています。
さて、今回のレシピはフランチェスカの中でも一番のお得意料理で自信作のレシピです。 「黒米(リーゾネーロ)のアスパラガスソース海老添えは、お母さんから教わったの?」と聞くと、「私は伝統料理からアレンジしたり、どこかで食べたものからヒントを得たりして、自己流にお料理もするのよ」と返事がありました。このレシピも彼女がアレンジして作ったものですが、きっかけは、夕食前に友人カップルが突然来ることになり、自宅にあった食材からインスピレーションを得て出来た一皿だそうです。
ウンブリア州は内陸にあるためお魚料理は海沿いの地域に比べると少なく、お肉料理がメインとなりますが、近年は流通の良さから新鮮なお魚はスーパーでも購入する事ができます。彼女が初めて作った時は冷凍海老を使用していますが、今回ご紹介するのは新鮮な海老を使って、おいしさをワンランクアップさせるレシピです。お客様をおもてなしするには間違いなく味でも見た目でも魅了できる一品です。 どうぞ、みなさまお試しあれ!
20代前半にヨーロッパを旅行中にイタリアに一番魅了される。数度目のイタリア旅行でウンブリア州にある陶器村デルータを訪れた際、マヨルカ焼きの絵付師になりたいと感じ、1年後の95年に渡伊。ロマーノ・ラニエリ師に師事しながらフリーの絵付け師として活動。現在はアーティスト活動しながら、長年のイタリア在住の経験を生かし企業通訳を始め個人旅行の通訳や旅のコーディネーターとしても活動中。ロコタビ(YUKO):https://locotabi.jp/loco/yukospagliccia。
作り方
- 黒米を炊くため、お鍋に3リットルの水を入れコンソメも加える。アスパラガスの根に近い部分を切り入れておく。(写真a 参照)
- 1に黒米を加え、塩を適量加えたら、沸騰するまでは強火で、沸騰後は中火で約12分ほど煮る。(写真b 参照)
- 半分のエビの皮をむく。フライパンにオイルを入れ海老をいためたら、塩を適量ふりかける。(写真c 参照)
- アスパラガスは長さ3cmほど、タマネギは細かく切ったら、オイルを入れた鍋に入れ、全体にオイルが絡まったら、ひたひたまで水を加え、沸騰したら弱火で軟らかくなるまで茹でる。(写真d 参照)
- 黒米が茹で上がったらザルに移し、湯で汁は捨てアスパラガスは除いておく。(写真e 参照)
- 再び熱いうちにお鍋に黒米を入れバターとパルミジャーノ・レッジャーノを入れてよくかき混ぜる。(写真f 参照)
- 型にバターを塗る。(写真g 参照)
- バターを塗った型に、6の茹で上がった黒米を半分まで入れる。(写真h 参照)
- 8に皮をむいていためておいたエビを2等分に切り、均等に入れる。(写真i 参照)
- 更に黒米を入れ、100度に温めておいたオーブンに10分入れる。(写真j 参照)
- 4のアスパラガスの粗熱がとれたらミキサーにかける。(写真k 参照)
- 生クリームと牛乳を加え、更にかき混ぜる。(写真l 参照)
- 最後にエビのいため汁も入れたらソースの出来上がり。(写真m 参照)
- 黒米を型からお皿に移し、アスパラガスのソースを上にかける。(写真n 参照)
- 残りのエビを上に飾って完成。
お料理ポイント
今回ご紹介してるのはリーゾ・ヴェーネレ(Riso venere)黒米ですが、エネルギー価値が高く、パスタよりもたんぱく質成分が多く、グルテンフリーでもあり、健康食とされています。お米が茹で上がった後、バターを加えお米に柔らかさと風味をつけますが、少し味わいを軽くされたい場合は、バターの代わりにオリーブオイル120ccを入れてください。またアスパラガスのソースに使う生クリームも200mlのところを100mlと減らし牛乳の量を増やしていただくことで、軽いソースが作れます。 エビは、冷凍のむきエビをご使用いただくことも出来ます。その場合は解凍後、フライパンでいため、後の手順は同じです。