若い世代が活躍中 未来へとつなぐサスティナブルなワイン造り
最近ヴェローナ界隈でワイナリーを訪れる機会が何度かあり、ワイン業界にも今話題のSDGsの波が広がっているのを感じています。特に若い世代が手間隙を惜しまず、品質へのこだわりを持っているのが見て取れるものです。
歴史ある大手ワイナリーが素晴らしいのも確かですが、個人的には家族経営規模のワイナリーを訪問するのが好き。ブドウ畑に囲まれて生産者と直接話し、ワイン造りにかける情熱を知ると、いただくワインもより美味しい気がしてきます。
さて、ヴェローナには赤のヴァルポリチェッラ、白のソアヴェ、のように有名なDOC(統制原産地呼称)エリアがいくつかあるのですが、この度お届けするのは白ワインの産地ルガーナ(LUGANA)から。
イタリア最大の湖、ガルダ湖の南にDOC地域、ルガーナがあります。ロンバルディア州ブレーシャ県とヴェネト州ヴェローナ県の州境に位置し高低差があまりなく、ワイン生産地としては狭域です。
ガルダ湖は北の一部がトレンティーノ地方で、北側に連なっている山々のおかげで冷たい北風が遮断され、オリーヴやレモンも栽培されるほど比較的温暖な気候。そんな中、Trebbiano di Lugana (Turbiana)という品種のブドウほぼ100%で造られるルガーナは、香り豊かでフルーティーな味わいが世界中で人気となっています。
今回訪問したオリヴィーニ家(Famiglia Olivini)は、1970年に祖父が始めたワイン畑を受け継いだ孫たちが活躍中。と言うと、簡単そうに聞こえますが、実際、私の知り合い農家のおじいちゃんのように「古い手法に固執して、専門的な大学で勉強した孫の改良案を一切聞いてくれない!」なんていう一筋縄にいかないケースもあるわけで。環境に配慮した画期的な技術や装置を次々と取り入れていくオリヴィーニ家は継承の良い成功例と言えそうです。
ビオワインという言葉では認定されていなくても、化学製品を極小にまで抑えビオワインの基準以上の品質を満たしているオリヴィーニ家のワイン。基本的に無農薬栽培で、ブドウの生長を脅かすハダニ駆除の方法はフェロモントラップ。フェロモン剤を染み込ませた紐を垂らしてオスを惑わせ、本物のメスがどこにいるのかをわかりにくくすることで繁殖を防ぎます。
また、ブドウの温度管理も徹底し、収穫後のブドウはすぐに冷蔵室に保管して発酵を防ぐほか、ブドウを破砕する前に特殊なチューブの中を通して10度まで冷やすのだとか。冷たいほうが香り高い仕上がりになるようです。
発酵や熟成を行う際に貯蔵するのはステンレスタンクが6割。ステンレスタンクは温度を一定に保てるほか、密閉性が高く外気を遮断するメリットもあるため今や白ワイン造りの主流ですが、オリヴィーニ家ではタンクの上に残る隙間に窒素の注入も行い、酸化防止に余念がありません。
さらに残り4割には木樽を使って最終的に混ぜ合わせることで木樽のフレーバーも取り入れています。瓶詰めの直前にろ過して不純物を極力減らし、酸化防止剤の添加もごく微量に抑えるのだそうです。
そんな風に生産環境を有機農法に整えながら、新たに生み出されたというワインを試飲させてもらいました。伝統的なワインを作り続ける裏では、あれやこれやと混ぜ合わせを試みて、何年もかけて新たなワインを作ろうとする生産者たち。結果が出るのは何年か経って熟成された後なので気が遠くなりそうですが、なんだか楽しそうでもあります。そしてこの春ついに、2018年のブドウで満足のワインができたみたい!
Trebbiano di Luganaに交配種マンゾーニ(Incrocio Manzoni)6.0.13.をブレンドした新作の白ワインは、ルガーナのフルーティーさよりも草花のような香りが特徴的なドライ好みの美味しさ。生の魚介類ともよく合いそうなので、次回の日本帰国時には寿司や刺身と合わせて味わうのが楽しみです。
イタリア旅行の際は、味の好みや産地などによって訪問するワイナリーを決める方がほとんどだと思いますが、取り組みやコンセプトに注目するのもおもしろいかもしれません。
歴史ある大手ワイナリーが素晴らしいのも確かですが、個人的には家族経営規模のワイナリーを訪問するのが好き。ブドウ畑に囲まれて生産者と直接話し、ワイン造りにかける情熱を知ると、いただくワインもより美味しい気がしてきます。
さて、ヴェローナには赤のヴァルポリチェッラ、白のソアヴェ、のように有名なDOC(統制原産地呼称)エリアがいくつかあるのですが、この度お届けするのは白ワインの産地ルガーナ(LUGANA)から。
イタリア最大の湖、ガルダ湖の南にDOC地域、ルガーナがあります。ロンバルディア州ブレーシャ県とヴェネト州ヴェローナ県の州境に位置し高低差があまりなく、ワイン生産地としては狭域です。
ガルダ湖は北の一部がトレンティーノ地方で、北側に連なっている山々のおかげで冷たい北風が遮断され、オリーヴやレモンも栽培されるほど比較的温暖な気候。そんな中、Trebbiano di Lugana (Turbiana)という品種のブドウほぼ100%で造られるルガーナは、香り豊かでフルーティーな味わいが世界中で人気となっています。
今回訪問したオリヴィーニ家(Famiglia Olivini)は、1970年に祖父が始めたワイン畑を受け継いだ孫たちが活躍中。と言うと、簡単そうに聞こえますが、実際、私の知り合い農家のおじいちゃんのように「古い手法に固執して、専門的な大学で勉強した孫の改良案を一切聞いてくれない!」なんていう一筋縄にいかないケースもあるわけで。環境に配慮した画期的な技術や装置を次々と取り入れていくオリヴィーニ家は継承の良い成功例と言えそうです。
ビオワインという言葉では認定されていなくても、化学製品を極小にまで抑えビオワインの基準以上の品質を満たしているオリヴィーニ家のワイン。基本的に無農薬栽培で、ブドウの生長を脅かすハダニ駆除の方法はフェロモントラップ。フェロモン剤を染み込ませた紐を垂らしてオスを惑わせ、本物のメスがどこにいるのかをわかりにくくすることで繁殖を防ぎます。
また、ブドウの温度管理も徹底し、収穫後のブドウはすぐに冷蔵室に保管して発酵を防ぐほか、ブドウを破砕する前に特殊なチューブの中を通して10度まで冷やすのだとか。冷たいほうが香り高い仕上がりになるようです。
発酵や熟成を行う際に貯蔵するのはステンレスタンクが6割。ステンレスタンクは温度を一定に保てるほか、密閉性が高く外気を遮断するメリットもあるため今や白ワイン造りの主流ですが、オリヴィーニ家ではタンクの上に残る隙間に窒素の注入も行い、酸化防止に余念がありません。
さらに残り4割には木樽を使って最終的に混ぜ合わせることで木樽のフレーバーも取り入れています。瓶詰めの直前にろ過して不純物を極力減らし、酸化防止剤の添加もごく微量に抑えるのだそうです。
そんな風に生産環境を有機農法に整えながら、新たに生み出されたというワインを試飲させてもらいました。伝統的なワインを作り続ける裏では、あれやこれやと混ぜ合わせを試みて、何年もかけて新たなワインを作ろうとする生産者たち。結果が出るのは何年か経って熟成された後なので気が遠くなりそうですが、なんだか楽しそうでもあります。そしてこの春ついに、2018年のブドウで満足のワインができたみたい!
Trebbiano di Luganaに交配種マンゾーニ(Incrocio Manzoni)6.0.13.をブレンドした新作の白ワインは、ルガーナのフルーティーさよりも草花のような香りが特徴的なドライ好みの美味しさ。生の魚介類ともよく合いそうなので、次回の日本帰国時には寿司や刺身と合わせて味わうのが楽しみです。
イタリア旅行の際は、味の好みや産地などによって訪問するワイナリーを決める方がほとんどだと思いますが、取り組みやコンセプトに注目するのもおもしろいかもしれません。